「名前。そういえば、言ってなかったかな?」
あれ、いや、君に事前に私の名前を『登録してなかったか?』、
と改めて博士が聞き返した。
「・・・」
彼はゆっくりと首を振る。
「・・・この私としたことが失念してしまったのか。
まいいや。・・・年齢は31歳。
地球から移住後、かつてない、かの異常なほどの厳冬の年で、
多くの生物が凍死し生態系が崩れた氷河期生まれ。
・・私の祖父母も両親も、その年に亡くなった。
しかし、その厳しい寒さのおかげで、
生き残った人類に悪い影響を及ぼすウイルス、細菌は死滅し、
当時、赤子の私の生命を脅かしてた流行り疫病の病原体はみごと霧散した。
そして、私の名前は、アキラだよ。苗字はインテリジェンス。
略して、・・・エーアイだ。」
「・・・。僕は博士の言っている難しいことはわかりませんでしたが、
名前だけはわかりました。
略して、エーアイ博士ですね。はじめまして」
博士の名前を登録したらしい彼が、やっと再び口を開いた。
そんな反応を見て、博士が言う。
「・・・。どっちがAIだ!と、突っ込まないのだね。まいいけど、
一応、君の生みの親になると思うから、覚えておいてくれ」
「・・・エーアイ博士。あの・・・」
「何か?」
再び彼が博士に語り掛けようとした瞬間、
何者かが現れた。
「・・名前だけは素敵なのつけてもらったのね、
スーパーリッチなインテリジェンス博士!」
「突然遅くに、誰かな。こんばんは」
「こんばんわですって!?・・ずいぶん余裕ぶってるわね!
そうまた出て来てやったわ!・・・っ!
・・・来てやったついでにあんたに乗り移って操って、
ここから速やかに追放してあげる!あんたが邪魔なの!」
「・・あ」
あ、そうだ、君は昼間の変わり者、
私のこのAIもこの間君を見たって言ってたよ、おかげで少しは人間らしく、
と博士が言いかけたその時、
彼女がその行動で、その続きの言葉を阻んだ。
「・・・」
「・・・あれ?」
「・・・っ!」
「・・・あの・・、さっきから私にものすごい勢いで突進してきては
ものすごい勢いで後ろに後退して、何を繰り返しているのか」
「・・・うるさい!」
何故、わたしの敷地内のはずなのに、あんたに近づこうとすると
身体に入ることはおろか、跳ね返されるの!
と、彼女が博士に向かって叫んだ。
「あんた!もしかしたら強力なお札とか、悪いの退散するやつとか、
持っていないでしょうね!?」
「いや。読み違いのおさつは持っていたいけど。おふだは持っていないです」
「ここでそれを真面目に言う?このポンコツ博士!」
もう、せっかくの『あんたを追い出し計画』がすべて無駄じゃない!!と
彼女が悲しそうに再び叫んだ。
続