エーアイ   作:政人

6 / 8
家族

 

 

 

  じゃあ、そうと決まったら、と彼女が言った。

 

 

 

 「じゃあ、この勝負をジャッジする、あんたの家族を出してよ」

 

 

 

 おじいちゃん、それともおばあちゃん?と聞いてきた。

 

 

 

 

 

 

「勝負ではないけど、・・・代表しておじいちゃんかな。」

 

 

博士が答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ちっとも出てこないじゃない」

 

 

彼女の前にちっとも現れないらしく、

 

ついに業を煮やして彼女が博士に言う。

 

 

 

 

「あの」

 

 

そんな彼女に代わりにAIが答えた。

 

 

 

 

 

「・・もう、その人、ここにいる・・・みたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりです、私の可愛い孫アキラ。元気にしていたかな」

 

 

 

 

 

「うん、相変わらず元気だよ。おじいちゃん。

 

 

 ・・・そちらの生活はどうですか」

 

 

 

 

「おかげさまで、毎日毎日がとても楽しくて、嬉しくて、

 

 

 生きている時には

 

 感じたことのない喜びが後から後から湧き出てくる。

 

 

 そしてこれは永遠に続くみたいだ」

 

 

 

 

 

「・・・昔よりも楽しそうだね、おじいちゃん」

 

 

 

 

 

「かく言うお前は、昔は私に似てやんちゃ坊主だったなあ。

 

 

 しかし人間の世界の月日は本当にあっという間なのだなあ・・・。

 

 

 ・・その刹那の時間こそが宝なのだよ。

 

 

 

 ・・・ところで、アキラ。今日は何か私にお願いがあるのではないかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、実は、彼女とさっきあんな約束をしながらあなたに願いかけていました、

 

 

そう言うと、博士は彼女を指さした。

 

 

 

 

 

 

 

「・・ねえ、あんたたち、ふざけてるの!?

 

 

 

 もうそこにいるって、誰もいないじゃない!!」

 

 

 

 

 

彼女が再び叫んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・私の家族がみえないのか」

 

 

 

博士が真顔で彼女に尋ねる。

 

 

 

 

 

 

「・・・はあ!?何言って・・・。わかった」

 

 

 

せっかく信じたのに、と

 

彼女の唇がかすかに震えた。

 

 

 

 

「・・・どーうせ、あんたもしょせんは悪心だらけの、

 

 

 自分の事しか考えない汚い人間よね。

 

 

 

 その真顔だって、どうせ、演技でしょ!!?

 

 

 

 

 

・・・もういい!あんたの言ってることは、いや人間の言葉なんか、

 

 

 ぜーんぶ嘘!!!

 

 

 

私、・・いつか必ずあんたの身体を奪ってやる!!

 

 

 

でも、今日のところは消えてやるんだから!」

 

 

 

「・・・」

 

 

彼女の堪忍袋の緒がとうとう切れたようで、泣きそうになりながら

 

ひとりでに消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あの子、あなたが全くみえなかったようです。

 

 

なぜ?・・・これも宇宙の絶対法則なのでしょうか。

 

 

今の科学でも、解明できないのでしょうか」

 

 

 

彼女が消えた後、

 

博士が、そこに確かにいる祖父に静かにつぶやいた。

 

 

 

 

 

「まあ。・・・・またいつでも私を呼びなさい、アキラ。

 

 

 いつでも大丈夫だから」

 

 

 

 

「うん。・・彼女、たぶん、またここに来ますから、

 

 

 その時はまたお願いしますね」

 

 

 

 

ちょっと残念そうな様子の孫に、その祖父がそっと彼の頭をなでると、

 

 

すっと去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・博士、今日は星空がとても綺麗な夜です」

 

 

祖父が去った後、エーアイの子がそっと静かに博士に話しかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。