「・・いいや。
お前はどこにも逃げられない。・・あの時は何をしても無駄だったの」
「・・!?」
突然声のした方を彼女がみると、決して忘れることのない、
そこに、目の前に見覚えのある者たちが、いた。
その者たちは彼女に言葉を続けた。
「しかし、・・・あの時は酷いことをしたのかもしれないね。
・・・今は何もしないから、私たちのもとにおいで」
もう一人も彼女に言った。
「・・そう、私の母さんの言う通り、早くこっちに来なよ。
でも、あの時はごめんね。
・・・あの時から、私、夜は毎日良心の呵責で、
悪夢でうなされるようになったわ。
でもよく考えたら、あの時のあんたの父さんがそれを決めたんだから、
私たちじゃなくて、あんたの父さんがすべて悪いでしょ。
とにかく、もう過去のことは何も考えないで、お互い水に流しましょ。
そして、・・・早くこっちにおいでよ!」
「・・!」
そこに亡き継母たちがいた。
彼女らを纏うオーラもまた、悲しみと、憂いと、憎しみに満ち溢れている。
とても禍々しく、とても息苦しかった。
「・・・」
その後の、
彼女たちの生きざま、その末路は、知っている。
『・・・そんな・・・!』
継母の方は、親友といい近づいて来たものに嘘をつかれ、裏切られ、
結局、私のお父さんと結婚して手に入れた、全ての地位と財産を奪われ、
その者を恨みながら
自ら死を選んだ。
その実の子供、目に入れても痛くないと唯一大事にしていた、
私の継姉を道連れに。
わたしは、彼女らに何も手は下してはいない。
いや、悲しくて苦しくて、そして、
凍えそうなほど寂しくて、
それらを、恨む暇もないほど、辛かっただけ。
そして今も。
『・・いいよ。僕のをあげようか』
『・・私の家族がみえないのか』
ふと
あのAIとポンコツ博士の言葉とあの時の真剣な眼差しが、
が何の脈絡もなしに心に浮かんだ。
・・・あの人たちの言う通り、あの時、
もしかしたら、あそこに家族が本当にいたのかもしれない。
でもなぜ、私にはみえなかったのだろう。
・・・いや、わたしの『知っている』ことを遥かに超えた何かが
あの時、あそこに、あったのだとしたら・・・!
「・・早く、こちらに来ないのか。・・・まったく、この鈍間な子は」
彼女が、その、今目の前に存在している親子に静かに言った。
「・・・いいえ、私、そちらには行かない。
だって、あなたたちのその言葉、本心じゃないのバレバレだし
(そもそも死んじゃったら嘘、つけるのかしら?)、
第一、私の大好きな美しくワクワクするものじゃないから、
アナタたちに興味がないの。
・・・生きているときに、たまたますれ違ってしまったたちの悪い人たち
ということで、速やかにお互い反対方向向いて、さよならよ!」
続