と、いっても自信はありませんが。
ゲラルトが神社に戻ってきた。
紫が見当たらず、どこに行ったのかと聞くと、疲れたからと自分のすみかへ戻っていったらしい。
少しの間あきれたゲラルトは、魔法の森のことを話す。
「大体六人ぐらいの子供の死体が魔法の森の中にあった。」
ゲラルトは淡々と報告をする。
いくつもの現場を見てきたウィッチャーにとって悔しいだの悲しいだの、そういう表情はなかった。
ただただあったものを伝えている。
だが、魔理沙はその態度が気に入らないようだ。
「なあ、人が死んでいるんだぜ。それも子供の。もう少し可哀想だとかそうゆうの無いのか?」
「すまんな。あっちの世界では死体なんぞ珍しくないからな。慣れってものも恐ろしい。あと、アリスという奴は家には居なかった。だが、化け物とも戦った痕跡はない。だから生きている可能性は高いと見られる。良かったじゃないか。」
ゲラルトは表情を変えない。
霊夢が間に割って出る。
「早めにその死体の回収と供養、遺族たちへの挨拶や事の説明を済ませましょう。」
一同は人里へと降りる。
案の定、人里には子供の親とみられる人物たちが、うちの子を知らないかと話しかけ回っている。
ゲラルトたちはその親たちの元へ向かう。
「あ、、、あのうちの子を見かけませんでしたか?そ…その子は「一人は眼鏡を掛けていて、もう一人はやけに派手な髪飾りを掛けている奴らか?」
親たちは驚く。
「それはうちの子供です!」
「一体どこで!?」
二人の子供の親が詰めかける。
「そのほかの四人でいつも居ることが多いか?そいつらと男三人の女一人で。」
一同うなずく。
「ああ、ついさっき見かけた。森の奥で中身を派手にぶちまけてな。」
時が止まったかのように皆が固まり、誰もしゃべらなかった。
三十秒たっただろうか。
一人が口を開ける。
「それは…どういうことだ…。あの子たちに何があったんだ…。」
「一緒に来てみるか?ちょうどこの後弔おうとしていたから、人手が欲しいんだが。」
全員が、希望もクソも無い乞食のような足取りで白髪の男について行く。
問題の場所に着いた。
誰一人認めようとしていない。
自分の子供が、紙くず同然に引き裂かれていることを。
葉野菜同然に食い破られていることを。
ある者は泣きじゃくり、ある者は叫び散らかし、ある者は頭がおかしくなっていた。
霊夢が後から連れてきた、上白沢 慧音も合流し、その光景に自身の目を疑った。
慧音は人里の寺子屋という場所で教師をしている。
寺子屋には、年齢は別々であるが、たくさんの子供たちが学びに訪れ、慕われ敬われていた。
この六人も同じである。
慕って敬ってくれた者たちである。
慧音は耐えかねて、その場で今朝の物を残らず出す。
魔理沙が背中をさする。
霊夢が気をおかしくしないように、まるで暗示のように言葉を掛ける。
慧音は落ち着きを取り戻していき、横の白髪の男に訳を聞く。
「ここで一体何があったんだ?」
ゲラルトが日常茶飯事と言わんばかりに説明する。
「森の中へと入り、集団でいたところをあそこの化け物に襲われたというわけだ。」
表情を変えないゲラルトにも驚いたが、森の中に入ったという出来事が勝った。
「こんな森の中に入ることはおろか、人里の外には一歩も出るなと何度も教えたはず、、、。」
「だろうな。だから興味を持った。たいした理由も教えずにただ出るな、と教えたから出ようと思った。子供の好奇心と言うことの聞かなさを甘く見ていたからこうなった。」
ゲラルトはそう告げる。
慧音はわかりやすく絶望している。
「ほかにも、何か原因となった物があるかもしれん。何でも良いから、このことに関係ありそうなことを言ってみろ。」
「そういえば、あの鳥もそうだが、最近珍しいものが現れているって話しを二日前に子供たちが居る前で話したな…。」
「アンタのうちを調べてみても?」
「え、?ああ…良いけども…。」
ゲラルトは人里に戻り、一人の子供の部屋を調べる。
そして、その部屋の本棚からある一冊の本が出てきた。
この幻想郷に似つかわしくない本である。
その本の内容は、ある幸せを呼ぶ青い鳥を探すために旅に出たが、結局幸せは身近にあると言うことを教えてくれる本のようだ。
「だが、自分たちの身近に目立った幸せはなく、この鳥を見つけた方が幸せになると考えていたようだな。そして、運悪く珍しいものが現れたと聞き、それをこの鳥だと思い込んで森へと足を運んだんだろう。」
本の裏を見てみると、鈴奈庵と書かれている。
「その本屋は、よく外から流れ着いた本とかも貸し出しとかしてるみたいよ。」
霊夢が鈴奈庵について軽く説明する。
「外のフィクションものに影響を受け、幸せをつかむつもりが最悪の結果で終わってしまうとは、災難なことだ。」
そんな言い方するなよ、と魔理沙から指摘される。
「そいつは失礼。それで、子供らを殺した奴の首だが、戒めに持っておくか?」
コカトリスの首を取り出すが、一同、殺した奴の顔なんて見たくもないと、強く言い放った。
「そもそもアンタは一体何なんだ?まるでこんな現場は見飽きたかのようにしているが。」
慧音が質問する。
「俺は怪物退治専門家のゲラルト。ウィッチャーだ。いわゆるガイライシャって奴でな。この世界に迷い込んだ俺の世界の化け物共を根絶やしにするよう依頼された。他の依頼でも、金さえ払えば大抵のやつは引き受けるぞ。」
この出来事が彼の世界では日常であり、その出来事を金のために解決する奴が普通にいると聞くと、慧音は今のこの環境に幸せを感じた。