しかし、魔理沙が言うにいつもとは様子が違うようだった。
そんなことを考えていると、レミリアの妹、フランドールがやってきた。
遊んでほしいといい始め、魔理沙から押し付けられたゲラルトは仕方なく遊ぶこととなった。
「ゲラルト」
名前を呼ばれたゲラルトは、その方向へ顔を向ける。
「用心してね。」
霊夢からそう告げられた。
「フランが普通じゃないことはわかりきっている。」
そう言って向き直り、フランと対峙する。
「スタートって言ったら始めね!3,2,1…」
フランは弾幕を張る準備をし、ゲラルトは強張らず、柔軟な構えをとる。
「スタート!」
フライング気味にフランが弾幕を繰り出す。
自分の家などお構いなしにあらゆるものを壊しながらゲラルトに迫る。
だが、屍鬼どものとびかかり程脅威は感じられない。
スムーズに弾幕の間をくぐり抜けていく。
だがフランは自身のスペルカードを発動する。
「禁忌『カゴメカゴメ』!」
縦横斜めに弾幕が張られ、それが波紋状に崩れる。
速さは変わりないものの、避けにくさは先ほどとはに比べ物にならない。
さすがのゲラルトでもきつかった。
四方八方から襲い掛かる弾幕を避けるのに、一瞬の隙が生まれた。
フランから目を離したうえに、完全に背を向けた。
その隙を見落とさず、フランは一気に詰めかける。
吸血鬼の脚力だ、踏みだしたスピードが酒場の酔っぱらいとはまるで違う。
そこから出る蹴りも当然比べるまでもないだろう。
ゲラルトはかろうじて気づき、ブロックするも、衝撃に足が耐えられてない。
ホヴの村で行われた、闘技大会の相手よりも強いかもしれない。
ゲラルトがのけぞったところをフランは、無理矢理に同じ足で蹴り飛ばす。
すぐそばの柱に激突したゲラルトは、平然を装っているが、腕の激痛と先ほどの蹴りで内心穏やかではなかった。
今度はゲラルトが詰める。
詰めるのに合わせて、フランが拳で迎え撃つが、ゲラルトはそれをよけてフランの腕をからめとる。
肩の関節を外し、拘束をほどいてそのまま殴りぬける。
フランは吹き飛ばされるが、関節を外されたほうの腕で受け身をとる。
立ち上がるまでにはけがは完治していた。
フランは再び飛びかかるが、ゲラルトはその勢いを利用してフランを投げ飛ばす。
壁にぶつかったフランは少し時間をかけて起き上がり、もう一つスペルカードを唱えた。
「禁忌『フォーオブアカインド!』」
フランの姿が4つに増えた。
ゲラルトは思わず苦しい表情をする。
「アハハ、その顔が見たかったな~。」
一斉に弾幕を放出する。
今まで何とかなっていたほどの弾幕は、4人ともなればかなりの密度となり、ゲラルトに疲れが募るばかりだ。
そして、4体とも同じ技を発動させる。
「禁忌『レーヴァテイン』!」
4人とも炎の剣のようなものを手に取る。
「ぐっ…」
ゲラルトはクエンを発動させる。
4つの剣の猛攻を防いでいるが、このままでは気力が尽きてしまう。
仕方がないと思い、ゲラルトは自身も剣を手に取り、クエンを勢いよく解除し、フランらがひるんだところを狙い、一体を切り捨てる。
偽物だったようで、それは霧に還った。
もう一人が切りかかるが、ゲラルトが矢を放つ。
手首と翼の根本付近にあたり、剣を落として地に墜落する。
すかさずゲラルトは首を切り落とす。
「なかなかやるじゃない。人間のくせに。」
「悪いが、とっくに人間はやめている。」
フランが話しかけたのは悪態をつくためではなかった。
もう一人を背後に忍ばせ、不意を突こうとした。
がしかし、眉間に矢が刺さり、未遂に終わる。
「でも本当もすごいわ。あんだけ攻撃したのに、大してダメージは負わせていない。相当な場数を踏んできたのね。」
フランは笑う。
「あなた、魔理沙に次いで最高ね!さあ、まだまだ遊びましょ?
耳まで裂けそうな口を開きながら、フランは迫り来る。
が、
「残念だが、お断りさせてもらう。」
ゲラルトはもう乗り気ではないようだ。
この戯れをゲラルトは終わらせる。
力任せの素人と、達人の剣の打ち合いの結末は火を見るより明らかであった。
壮絶な技量を前に腕を切り落とされたフランは、イャーデンの陣の中に閉じ込められじっとしている。
下手な遺存種を超えるほどの相手に、ゲラルトは危険視せざるを得なかった。
なんかフランの印象が前回と若干違いますね…
姉の前ではあんな感じと解釈してください。