弾幕ごっこなるルールを半ば無視してフランドールはゲラルトに襲いかかった。
だが、銀の剣を手にしたゲラルトに、フランドールは腕を切り落とされ戦意を喪失した。
「そろそろうちの妹を解放してくれるかしら?」
二人の遊戯が終わり、ゲラルトのけがの治療が済んでしばらくした後、レミリアは言った。
「ああ。そのかわり、次遊ぶとなったらアンタが相手してくれよ。」
ゲラルトはフランドールとの戯れにどっと疲れがたまったようだ。
ゲラルトはイャーデンを解除する。
「いったぁ~い…」
フランドールはゲラルトに着られた傷を押さえながらぼそりと放つ。
小さな声で、しかも相当なしわを眉間に寄せていることから、振りなどではないだろう。
咲夜が傷の様子を見て察する。
「これは…完治するのはなかなか時間がかかるでしょうね。」
「すまんな。こうでもしないとアンタの妹は止まりそうにないからな。」
「いいのよ。うちのフランが迷惑を掛けたわ。」
「それで、この後はどうするの?」
霊夢がゲラルトに訪ねる。
「まだ必要とあらば化け物共の調査を続けるが。」
ゲラルトはそう言ったが
「今日はもう休んどけ。今日一日で事が起こりすぎてさすがに疲れただろ。」
魔理沙が休むように言う。
「それじゃあ、そうさせてもらおうか。」
「どこにお世話になる予定かしら?」
レミリアが問う。
「人里があるじゃないか。」
しかし、人里は本来人外を受け付けていない場所なのである。
人に擬態できる者はまだしも、ゲラルトは変異した目のおかげで化け物の仲間入りというわけだ。
「さすがにうちは無理よ。二人分のご飯を出せるお金なんてないし。」
霊夢は貧乏を自慢して断った。
「私のとこも…何というか、、、」
「人が入れるほど片づいちゃいないものね。」
アリスが濁りもなく言う。
「う…ま、まぁ間違っちゃいない。私は研究で忙しいからな。」
片すのが面倒なだけだろと、その場に居る全員が容易に想像できた。
「私も、普段なら別にかまわないのだけれど、やりたいことがあってね。泊めることは出来ないわ。」
アリスも断る。
「じゃあ必然的にうちになるわね。」
「そのようだ。問題は無いか?」
「特に。こっちも暇が潰れていい事よ。」
その暇つぶしがさっきのものではなければいいが。
大分日も暮れ、里の者が晩酌を始める頃、
ゲラルト達は少し遅めの晩飯をとろうとしていた。
料理の方はほとんど咲夜が一人で仕上げたものらしい。
まあ、他のメイドがあんな感じだと、そうなるのも必然だろう。
そう考えながら、ゲラルトは料理に口を付ける。
「うまい…なんだこれは。」
リアクションが若干薄いが、当の本人は感動している。
普段から粗末なサンドイッチやドライフルーツ、よくても冷めたローストチキンの生活を送っていたおかげもあるだろうが、咲夜の料理が大変おいしく感じた。
「ビーフシチューは初めてかしら?」
自慢げにレミリアは話す。
「ああ、初めてだ。温かい飯も何ヶ月ぶりかな。」
温かく、濃いめの味付けの牛肉がしみる。
そばにあるバゲットだって、バターの香りが際立つ。
噛めばバターがしみ出して、たまらない。
シチューとともに食べると、なんとも言えない至福感。
バゲットで濃い味が緩和されて食べやすくなり、遠慮のかけらもなく腹が膨れる。
「咲夜の料理がおいしいのは分かるけど、そうがっつくものかしら?」
「いや、すまん。普段はろくなものなんて食べてないからな。」
「良くそれでそんな体を保てるわね。」
「ウィッチャーになった時、どんなときでも化け物を殺せるようになったのかもな。実際に免疫は各段と上がっているからな。」
「免疫の問題かしら?」
レミリアが首をかしげる。
「まあ、何だっていいわ。」
と、考えるのを放棄して、レミリアは食事を再開した。