アリスも相当な実力者であり、瞬く間に全滅させていた。
ここでもウィッチャーと魔女の相性は良い。
ゲラルトのやつもそう感じているだろう。
イェネファーが見たら、どんな顔をするだろう。
「これで、終わりかしら?」
脳天に風穴のあいたエンドレガを見ながら、アリスは訪ねる。
「ああ、助かった。あんたがいなかったら、もっと酷い状況になってたかもしれん。」
ゲラルトは礼を言う。
「どういたしまして。じゃあ早速、こんなことになった経緯を教えてくれるかしら?」
ゲラルトは、エンドレガ達と対峙することとなった経緯をアリスに説明した。
そして今度はゲラルトが質問する。
「その男なんだが、来る道中見かけなかったか?」
するとアリスが、
「その男かは知らないけど、里の方に走っていく人間なら見かけたわよ。なんか薄ら笑ってたけど。」
ゲラルトはやれやれ、と思いながら息を吐く。
「何か、隠しているな。」
ゲラルトは、早急にその男の元へ向かった。
里に戻ると、何か人だまりがあった。
「何かあったのか。」
ゲラルトが訪ねる。
「こ…これを見てくれよ…。」
そこには、喉と腹に刺し傷のついている女性が一人居た。
瞬きも呼吸もしないことから、そうゆうことなのだろう。
「いつ頃に見つけた。」
「ついさっきだ。ただただこの道を通りかかったらこんな…こんなことに…。」
「ちょっとどいてろ。」
ゲラルトが群衆をのけて、死体のそばへ寄る。
「ふむ…まだ血が新しい。服に染みている血がまだ乾いていない。おそらく、発見する直前に刺されたのだろう。」
さらに感覚を研ぎ澄まし、あたりを見渡す。
「衣服は乱れておらず、探った痕跡もない。強姦や窃盗などの目的ではない。周りに…凶器となるものは捨てられていない。だが、ご丁寧に足跡を残してくれている。」
ゲラルトは立ち上がり、その足跡を追った。
たどり着いた先は、民家の中でも古く、清潔感のない家だった。
かまわずゲラルトは押し入る。
「な…何だ!」
そこには、水道で洗い物をしている、森であった男がいた。
「久しぶりだな。」
ゲラルトが声を掛ける。
「ああ…そうだな…。しかし、人のうちに勝手に入ってくるなんて、ずいぶん野暮じゃないか。」
何か、警戒して、男はその場を動こうとしない。
「すまんな。少し聞きたいことがあってな。そにしても、今更掃除なんて始めるのか?」
別の着物に着替え、先ほど着ていた服と食器、調理器具を洗っている。
「ああ、そろそろしないといけないなって…」
目が合わない。
「ほう…友人が怪物に襲われているにもかかわらず、のんきに家の掃除か。」
「…」
「それに、洗い物は別々に洗った方が良くないか?しかも、そんな力を込めていたら、繊維が傷む…」
「五月蠅いな!要件があんならさっさと言え!」
急に男が怒鳴り出す。
「道ばたの女のことだが、殺したのはお前だろう。」
男の勢いが急に無くなった。
「な…何のこと…」
「とぼけても無駄だ。知らないだろうが、ウィッチャーは洞察力に優れている。生半可な悪事などお見通しだ。」
「ふざけるな!証拠はあんのか!」
「まだ認めないか。では、お前の本心に聞くとしよう。」
「?何言ってー」
ゲラルトは、『アクスィー』の印を発動した。
男はアクスィーの術中にはまる。
「さて…あの女を殺したのはお前だな?」
「…あの女…俺よりあいつをとるって…俺…絶対…次絶対勝つって…勝てる波が来てるって言ったのに…」
「友人を森に連れ出したのもお前か?」
「森に落とし物した~って…それで虫の巣をつついて…すぐに隠れて…」
虚ろな調子で男は続ける。
「畜生…俺に…ついてればこうならずにすんだのに…」
「もう良いだろう。どんな処罰が下るかは分からないが、あるべき所に突き出すからな。」
ゲラルトは殺人犯の腕をつかみ、自警団の元へと連れて行く。
「お手柄じゃない。」
アリスが顔を出し、ゲラルトに声を掛ける。
「もらうはずの報酬は、すべてパーだがな。」
アリスが手を出し、
「少しだけど、これ。錬金素材の足しにでもしてくれたら嬉しいわ。」
錬金に使える植物を一袋ほど、受け取った。
「それと自警団の人たちから、事件への協力の感謝として、謝礼が出るはずよ。思い出したときにでも行ってみなさい。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
ゲラルトは、一端帰路につく。
勝つ、というのはいわゆる博打です。
博打打ちが近くに居ないので、想像で書きましたが、うまく書けているでしょうか?
男の友人ですが、前々話にあった『どうやら得た食料を巣に運んでいるようだった。』の表記でエンドレガの餌と化しています。
ごめんね、友人君