ウィッチャーが幻想入り   作:そうめんつゆだく

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ゲラルトは、事件の真相を突き止めることが出来たが、それは快いものではなかった。
ウィッチャーは、変異の効果で感情が抑制され、よく冷酷なものだと思われがちだが、最低限の人間の感情を持ち合わせている。
その感情をゲラルトはひねり出し、故人を供養した。


第二十二話

自警団からの謝礼は、また日を改めてから受け取ることとし、ゲラルトは紅魔館へと帰ることにした。

霊薬やオイルなどがほとんど無くなっているのである。

「一回も補充せずに何匹とも戦えばな…」

仕方がなし、と言う顔をする。

紅魔館に霊薬の製作器などあるだろうか。

ないのであれば、香霖堂を訪れることになる。

しかし、いささかあそこは気まずい。

紅魔館に製作器があることを願う。

「やれやれ、この俺が祈りだなんてな。」

自分自身を馬鹿にするように、ゲラルトは鼻で笑う。

 

「そんなの、ありゃしないわよ。」

見事だ。

見事に希望は潰えた。

「なら、置いてありそうな場所はどこか分からないか?」

「香霖堂にならあるかもしれないわよ。」

その店の名前が出てしまった。

「…」

「あら、もしかして、香霖と何かあったの?」

パチュリーが図星を指してくる。

「分かるか」

「ええ、なんとなくだけど。」

ゲラルトが黙り込む。

だが、その時、ゲラルトのそばで本の整理をしていた『小悪魔』と皆から言われるパチュリーの使いが助け船を出す。

「魔理沙さんなら持っているかもしれませんよ。ほら、最初ここにいらっしゃったときのパチュリー様とのやりとりを聞いてたら分かるとは思いますが、魔理沙さん、しょっちゅううちの本などを盗んでいくんですよ。」

「香霖堂も例外ではないと。」

「ええ、なんせ、香霖さんに育てられた人ですからね。たぶん、うちよりも盗っていると思いますよ。」

「なるほど。助かった。」

「いえ、あはは。」

ゲラルトの顔には、製作器の行方ではなく、香霖との接触を避けることが出来たことに関しての感謝の気持ちが表れている。

ゲラルトの「助かった」もその方だろう。

小悪魔はそれを感じ取り、思わず笑ってしまう。

感じ取られたことを感じ取ったのか、ゲラルトは足早に魔理沙の家へと行ってしまった。

 

そういえば、この魔法の森には短い間に幾度も足を踏み入れている。

魔法を扱うものは、魔力の豊富なところと何か縁があるのかもしれんと、ゲラルトは思った。

「大体このあたりの地形は分かってきたぞ。」

迷うことなく、ゲラルトは魔理沙の家へとたどり着いた。

「さて、居るか…」

ドアを3回ノックする。

中からけだるそうな声がした。

「はぁ~いどちら様ぁ~…」

ボサボサ髪の、白黒魔女が姿を現す。

「聞きたいことがあるんだが。」

「ぬお!?ゲラルト!?びっくりしたー。霊夢かアリスかと思ったじゃんかよー。」

くるくるの髪を、手ぐしで直そうとする。

魔理沙といえど、親密な関係以外のものの前では、身なりは気にするようだ。

「…で、聞きたい事って?」

普段どうりの髪型に近づいた魔理沙が尋ねる。

「ああ、実はな…」

 

「お~いおいおいおいおい。なんでもさ、人が盗んでいるんじゃないかって疑うのは良くないぜ?それにさ、私はしっかり『借りて』いるんだぜ。ちゃーんとサインもしてるし借りてる本の名前も記しているし。借りた日にちだって。返却するのが遅いからって、そーゆーのは良くないぜ?いくらなんでも、簡単に人を信じることは命取りになる世界から来たってもよー。」

魔理沙がネチネチと否定する。

「今はそこはどうでもいい。製作器がないかどうか聞きたかっただけだ。」

だが、ゲラルトは気にする様子もなく魔理沙に問う。

「その製作器がどれかわかんないんだよ。入って直接みてくれよ。」

「そうしよう。」

ゲラルトは魔理沙の家へとお邪魔した。

そこは…森だった。

山でもあった。

自由に伸びた草木。

埃やポーションなどをかぶり、さらには破損までしているこちらの世界の製作器。

パチュリーの机の上ををそのまま再現したかのように大量の本が積み上げられている机。

「…お世辞にも綺麗とは言えない酷さだ。」

表情は変えないが、明らかに諫そうな雰囲気を出す。

「お?言ったな。」

魔理沙の眉がピクリと動く。

そしてゲラルトのポケットにおもむろに硬貨を入れ込むと

「ウィッチャー、依頼だ。この家を掃除しろ。」

いたずらに、魔理沙が笑う。

製作器が必要な今、可能性があるここを無視できるはずもなく、ゲラルトは渋々この依頼を受ける。




魔法の森出し過ぎですね~…。

そろそろ他の舞台も登場させなければ…。
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