しかし、彼女の家を遠回しに汚いと罵ってしまったため、思わぬ依頼を受けることになった。
「ほれー。そんな調子じゃ、見つけたいもんも見つからんぞぉー。見つかったとしても貸してやらんぞぉー。」
魔理沙は椅子に座り、足を組みながら箒でゲラルトの頭をたたいている。
そのゲラルトは、雑巾で床の掃除をしている。
床にも本が山積みになっていたのだが、魔理沙いわくパチュリーから『借りている』とのことなのでぞんざいに扱って本に傷を付けたりしたら、関係ないパチュリーが可哀想なので、不本意ながら丁寧に掃除に取り組んでいる。
「クソ…少しは手伝ってもいいんじゃないか?」
「何言ってんだ。依頼内容は「手伝って」じゃなく、「やれ」なはずだぜ?あ、それともそれが私に対する依頼なら、さっきの額の倍で手を打ってやるぜ。」
「いけ好かない野郎だ。」
「人の家罵ったお前同罪。」
話している時間が無駄だと思い、ゲラルトは口を閉じて作業を進めた。
「あとはこの製作器の群れだが…」
軽く見たところ、ゲラルトの世界の製作器ではない。
製作器は、少しでも悪くなると、それから生み出した霊薬やその他錬金物も質が悪くなるので、これも慎重に扱わなければならない。
まあ、万が一壊したら魔理沙に不当な請求額を求められることになりそうだから、と言う理由がゲラルトにとって一番妥当だろう。
だが、薬の類いが蓋に固まって本体とくっついているので、使い物にはならないが。
「もう少し綺麗に扱えないのか。」
ゲラルトが呆れたように言う。
「自分の者をどんなに使って、どんな風になろうが他人には関係ないだろー。ほんと、ケチを付けるのが好きだなー。」
「そういうわけじゃない。」
ゲラルトは、二つのことを一気に否定できる言葉を発した。
「ん?…」
掃除のさなか、ゲラルトはある者を発見する。
「おい、これをどこで見つけた。」
ゲラルトの手の中にある物は、かつてワイルドハントとの決戦の時に使用した『太陽の石』だった。
「神社の隅に落っこちてたんだ。なんか珍しそうな物だったからもらっといたんだー。霊夢は興味なさそうだったし。」
一息ついた後、ゲラルトは話し始める。
「魔理沙。これは『太陽の石』というものでな。紅魔館に襲撃しに来た連中を覚えているだろ?」
「ああ、確かワイルドハントとか言ってたな。」
「この石は魔法を掛ければ、奴らをおびき出すための道具になる。」
「え…」
魔理沙の顔が青白くなる。
「幸い、その魔法を知り、掛けられる奴は一人しか居ない。しかし、この石の作動条件もそいつしか知らない。こんな石を様々な魔法を多用する者のそばにおいておけば、作動する可能性もあるだろう。」
「私はそんな爆弾みたいなのを家に入れてたのか…」
魔理沙は驚き、あまり声が出ていない。
「なあ、その石預かっててくれないか?私いろんな魔法の実験とかするから、もしもの時が怖いんだ…」
「まあ、その方が安全だろう。」
ゲラルトはポケットに石を入れた。
「しかし、なぜこの石が幻想郷にある?」
ゲラルトは、ふと疑問に思った。
「それは、幻想郷がとりあえず何でも受け入れる所だからだぜ。幻想入りする経緯としては、主に紫にスキマをつなげてもらうか、忘れ去られるかのどちらかだ。この石については、私は後者を推すぜ。紫がこんな者を幻想郷に入れる理由がないからな。」
「ふむ…」
ゲラルトが少し考え、
「それは、死人も例外ではないのか?」
「ああ、あっちで死んだ奴も幻想郷に来る事があるぜ。」
「なるほど。それでワイルドハント共がここに来たってわけだな。」
ここに居る理由が分かったが、ここの住人を襲った理由が分からない。
ゲラルトに対する復讐なら分かるが、幻想郷の住人を襲った理由は何だろうか。
「こればかりは本人達に聞かなければ、分からんな。」
ゲラルトは考えるのを諦めた。
明けましておめでとうございます。
今回はあまり面白味の無い回となっております。
投稿するのが遅くなって、申し訳ありませんでした。
なぜか、今年の年末、元旦はサーッと通り過ぎていった気がします。
笑ってはいけないが無かったからかな…?