ウィッチャーが幻想入り   作:そうめんつゆだく

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森の魔法使いの依頼を済ませたゲラルトは、人里で妙な少女と出会った。
彼女は永江衣玖と名乗り、一人の天人の目付役をしているらしい。
彼女が下界に降り立った理由は、これから訪れる幸いに用心せよとのことであった。


第二十五話

「何だったんだあの女は…」

衣玖が飛んでいった空を見上げ、ゲラルトはそうつぶやく。

「驚異…ワイルドハントのことだろうか?だが、奴らより数倍厄介なのも現れる可能性も高い。」

今は悩んでいてもしょうが無いと、ゲラルトはまず衣玖が言っていたことを慧音にを話そうと思った。

 

「尋ねたいことがあるんだが。」

ゲラルトは慧音の家がどこにあるのか分からないので、人里の者に聞いてみることにした。

「ん?ああ、慧音ならあっちの角で見かけたよ。」

頬のあたりまで襟が立っている少女に話しかけた。

髪の色や格好が人里の人間と違うので、何かしらの妖怪か、とゲラルトは思った。

慧音を呼び捨てにしていることから、慧音との間柄は良いのだろうか。

「すまないな。」

「ん。」

ゲラルトは礼を告げ、足を進めた。

 

「やあ慧音さん。」

「やあ。」

「よっ!今日もべっぴんさんだねぇ。今日も仕事がはかどるってもんだい。」

「ふふっ。おじさんは口がうまいな。」

「先生こんにちはー。」

「こんにちは。毎日元気で良いことだ。」

前にも話したが、慧音は人里でとても慕われている存在だ。

人々からの信頼も厚い。

と、慧音がゲラルトに気がついた。

何か話があると感づいたのか、先ほどまで話をしていた周りの人に断り、こちらへとやってきた。

「何かあったのか、ゲラルト。」

先ほどの笑顔とは打って変わって、真剣な表情をしている。

「ああ、実は―――――」

 

ゲラルトは天人の目付のこと、これから起こるであろう出来事の規模を慧音に説明した。

「…どちらも信じがたいが、何せここは幻想郷だし、現にいろんな怪物がここにやってきているし…」

幻想郷だから、で済ますのは適当すぎないか、とゲラルトは思った。

「だが、いつ起こるのか分からないのであれば、対策のしようが無くないか。」

「ああ、そこなんだ。どんな奴が来るかも分からん。それに、人里に現れでもしたら被害は尋常じゃないぞ。」

「そう…だよな…どうするか…」

慧音が眉間をつまみ、必死に考える。

「今俺は幻想郷のすべてを知っているわけでは無い。それで、だ。化け物共は森だけじゃなく他の所にも湧いているだろう。俺が出向いて人々が避難できるような場所を探すのはどうだ?」

「ああ、任せて良いか?」

「任せておけ。こっちこそ、その間の人間の世話は頼んだぞ。」

「分かった。」

たいした策では無いが、これが今できる行動であった。

「さて、そろそろ周りの奴の目が痛いので、おいとまさせてもらう。」

人里は本来人外は受け付けない場所だ。

ゲラルトの珍妙な目や姿を見て人と思える者は少ないだろう。

「ああ、そうだな。いつの日かゲラルトもここに居て良いようにも務めるからな。」

「それはありがたい。」

人里にも気軽に入れるようになれば、ゲラルトは大分楽に過ごすことが出来るであろう。

だが、それはいつになるのかは分からない。

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