魔理沙とゲラルトの提案で、そいつのもとに殴り込みに行くことになった。
最近丸くなったらしい巫女の影はどこへ行ったのやら。
霊夢と魔理沙は飛び、ゲラルトは走って向かった先は『妖怪の山』と言われる場所だった。
魔法の森よりかは明るいものの、獣の妖怪が多数存在しており、森と同じく基本的に立入禁止の区域だ。
まぁあの三人は、そんなことも気にせずずかずかと山の中に入っていくが。
「クソ…こんな山を自分の足で登っていったらどれだけ時間がかかると思っているんだ…」
愚痴をこぼしながらも山道を登っていく。
と、山の妖怪に見つかってしまった。
「犬の見た目をした妖怪か。遊んで欲しいのなら、さっさと来い。」
妖怪もいわば怪物の一種なので、ゲラルトは銀の剣を抜いた。
妖怪は警戒して近づいてこない。
こちらが何かしらの行動を示さない限り動かないつもりか。
「賢いな。簡単には見切られまいとするか。」
だが、ウィッチャー相手にそれは意味は無いだろう。
イグニの印を半ばなぎ払うようにして発動させる。
前と右前方の妖怪が焼ける。
味方の妖怪に火が付くと同時に、ほかの妖怪共が駆けてきた。
妖怪なだけあって、普通の犬に比べ足が速い。
だがゲラルトのクエンの発動の方が断然早かった。
ゲラルトを中心にうっすら黄土色のドーム状のバリアが張った。
自身のスピードと、クエンのバリアの堅さが相まって、妖怪共は鼻先を強く打った。
それにるんだ妖怪を三匹斬る。
ほかの妖怪達は再び間合いをとった。
「休める暇は与えんぞ。」
イグニを放ち、妖怪を炭にする。
「怖いか?化け物。」
妖怪達は、様子見で動かないのでは無く、緊張で動かなくなっていた。
「構いはしないぞ。」
爆薬を爆ぜさせ、音でおびえきった妖怪共を次々に斬り捨てていった。
もちろん、爆発も役目を果たしている。
「ふむ、興味深い。」
殺した妖怪共の死体を探り、錬金に使えそうな部分だけ取り、その場を後にする。
元々は犬そのものだった個体が多かったためか、素材は怪物及び普通の生き物にも有効なものが作れそうだった。
「図書館で本でも探してみるか。」
妖怪を使った霊薬・オイルの作り方など存在するのだろうか。
そもそもゲラルトの地の本があるのかも不明だが、探してみる価値はあるだろう。
そろそろ出発―と行きたいところだが、
「そこの人間、今すぐ止まれ!」
と、遠くから声がした。
「これ以上山の中へと入るな!立ち去れ!」
若い女の声である。
「姿を見せたらどうだ。」
ゲラルトはひるまず応える。
すると、草むらや木の上から白毛の兵達が現れた。
「ここは妖怪の山だ。人間が立ち入るところでは無い。」
よく見ると耳がはえている。
人狼などの呪縛生物か?
「聞いているのか!」
白毛達が声を荒げた。
「ああ、聞いていたさ。」
「ならばすぐに立ち去れ。」
この白毛達は、よく見ると女ばかりだ。
「この山に少し用があるんだ。すぐには帰れない。」
「…先ほど、犬の妖怪を皆殺しにしたな?」
兵共は見ていた。
「ああ、仕留めなければこちらがやられていた。仕方の無いことだと思ってくれ。」
「妖怪達を全滅させるために来たわけじゃ無いのか?」
「ああ、そうじゃない。」
あくまで目的はお前達では無い。
無意味に争う必要は無い。
と、ゲラルトは告げる。
「…」
「皆、惑わされるな。あいつらと同じ顔をしている。同族だ!あの軍団と同族だ!」
ひときわ精神力の高い少女の白毛がわめく。
「フゥ…」
ゲラルトは穏便に済ませたかったのだが、あっちはそうもいかないらしい。
「スペルカードルールは無用!美しさなど気にせず討ち取るためにスペルカードを駆使してかかれ!」
「急ぎなんだ。さっさと片付けさせてもらうぞ。」
ゲラルトはもう一度銀の剣を抜き、構えを取る。