立派な兵士達であろうが、愛らしい見た目をしている。
怪物や先の妖怪と比べ戦いにくい気もするが、そんなのは言い訳にはならない。
この白毛達は、先ほどの戦闘を見ていた。
つまり幾つかの戦い方は通じないのかもしれない。
ゲラルトはこう思う。
白毛達は
(あの能力は見たことが無い…炎に加え、盾までも張れるのか?爆薬も所持している。剣だって飾りじゃ無い。戦闘手段が多すぎる!)
先ほどの戦闘で幾つかの手の内は知ったものの、攻撃の種類が豊富。
さらに、これで全てでは無い気もする。
正直、自分たちには勝機が見られない。
だが、あいつらの仲間をみすみす通すわけにはいかない。
「うおおおお!」
そんな思いが彼女らをかき立てる。
しかし、それでは駄目だった。
感情で動いてしまっては最適解が見えづらくなる。
ゲラルトは天才的な身のこなしと剣術で彼女らの太刀筋を弾き、いなし、反撃を浴びせる。
「ぶっ!?」
くらわせたのは、ゲラルトの拳である。
「幻想郷の住民を殺すとなると、何か問題になるかもしれんからな。最悪でも寝込みは覚悟してもらうぞ。」
ゲラルトが紫に依頼された内容はあくまで自分の世界の怪物の殲滅。
幻想郷の住民を殺しても問題ないのか分からない。
「なめているのかっ…!」
馬鹿にしていると、彼女らに捉えられる。
「俺はここを通りたいだけだ。」
再び構えを取る。
攻撃をブロックし続け、反撃を繰り返す。
剣を振ることはあるものの、致命にならない程度に斬りつける。
「こいつ…!」
数がある分、互角を保っているが単純な剣の腕前ではあちらの方が各段に上。
兵の一人、犬走 椛は焦りを感じている。
最近何も異常が感じられないものだから、河童達と大将棋ばかりしていた。
おかげで腕が鈍った。
油断が外来人の侵入を許し、危険極まりない軍団の侵入を許し、その隙に空を飛んでいた人間達にも侵入を許し、この人間にも悪戦苦闘している。
不法者に妖怪の山を占拠されることと、上からのお叱りの言葉を受けるのが恐ろしくてたまらなかった。
(なんとしてでも失敗を取り返さなきゃ…)
「ねえ、皆」
椛か言葉を発する。
「私がこの人間の相手をする。その間に、ほかの奴達の相手をお願い。」
人間離れしたこの男相手に一人で立ち向かうと言った。
「椛、無茶だ。せめて何人かでも残しておこう。」
仲間がそういうものの
「いや、行って。私は一人の方がやりやすいし、ほかの奴らは多人数だったからそっちに数を足した方が良い。」
とりあえず、何もしなかったということは無くなった。
少しはお叱りも軽減されるであろうか。
「まずくなる一歩手前で、全力で逃げてね。」
そう言って、仲間達は飛んでいった。
「さあ、行きますよ。」
椛が構える。
(狗付『レイビーズバイト』!)
椛は心の中でそう叫び、スペルカードを発動させる。
ゲラルトはそれを感じ取り、横に転がって回避する。
椛が剣を振るったと思ったら、牙状のエネルギーが振るった場所に襲いかかる。
「剣で受け止めていたら、上半身がズタズタだっただろうな。」
体勢を立て直す。
そして、一気に間合いを詰める。
ゲラルトは分かった。
こいつはスペルカードを基本的に連発しない。
印には気力が必要だ。
スペルカードもおそらく体力か何かを原動力としている。
故に命を取られるかもしれない状態で、考えなしでスペルカードを連発するとは思えない。
ゲラルトの剣は椛の盾に防がれた。
しかしすぐに次の攻撃が来る。
防がれても押し込むことはせず、次々と攻撃を繰り返していく。
椛も負けじと反撃を繰り出すが、ゲラルトに難なくはじき返される。
ウィッチャーお得意の剣を逆さに持った攻撃や回りながらの剣撃に動くことはままならずとも、必死に防いでいる。
(易く反撃に出るな!機会を誤れば終いだ!)
ゲラルトの攻撃が止む。
(?)
椛が不思議に思う。
見てみるとゲラルトが何かを飲んでいる。
「流石だ。とても堅実に動いている。このままでは長引きそうだから、狡まがいのことをさせてもらう。」
霊薬を三瓶ほど服用したゲラルトがさらに強くなったことを感じ取り、椛は緊張が解けない。
スペルカード連発の件ですが
フランにとってあれは遊びであり、全力で楽しもうとしていたためフランは乱発しています。
フランがちょっぴりおかしいだけです。