ウィッチャーが幻想入り   作:そうめんつゆだく

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ゲラルトは白毛の兵の一人と一騎打ちをすることになった。
少しばかり鍛錬不足だと言うが、あいつにすぐにやられず持ちこたえているだけで実力は十分にあると言えるであろう。
それ故に、ゲラルトは容赦をしなくなった。


第二十九話

「ふぅ…」

霊薬三つは流石に無理があるか。

効果とともに中毒症状がうっすら表れ始めている。

「さて、やるか。」

再び距離を詰める。

「っ!!」

椛が盾で受け止めるも、力が増加している。

「ぐう…」

戦法は先ほどと変わらないが、一つ一つの衝撃がすさまじく強化されており、耐え続けるのは困難だ。

次の攻撃を間一髪で避けるが、避けた瞬間、衝撃波が飛んできた。

ゲラルトがアードの印を放ったのだ。

木に打ち付けられる。

「な…ぐぅ…」

背中を強く打ち付けた。

椛は盾は所持しているが、防具は布一つなため衝撃は緩和すること無くそのまま椛に伝わった。

歯を食いしばる口から唾液が出ている。

痛みでそのことにも気づいていない。

「ふぅーっ、ふぅーっ。」

息を荒げる。

「ギブアップしたいのなら言って良いんだぞ。」

ゲラルトが挑発をかます。

「まだまだ…!」

椛は諦める気は無いようだ。

今度は椛から攻めに入る。

片方の腕に盾を持っているためもう片方でしか剣を持てないが、それ故の小回りのきいた連撃を繰り出す。

それをゲラルトは防いでいき、反撃を仕掛ける。

少し屈み、椛の腹部にアードを唱える。

「うぶぅっ」

丸まった姿勢で、椛は吹き飛ばされる。

霊薬で強化されたアードの印は椛の内部に相当なダメージを与える。

うずくまった椛に、ゲラルトが近寄る。

「殺す気は無い。少しの間だけ、眠ってもらうぞ。」

椛の額に左手を当て、アクスィーの印を掛ける。

目がぐりんと上を浮き、椛は倒れ込む。

岩の陰に椛を移動させ、『白い蜜』を飲みながらその場を後にした。

 

ゲラルトは頂上付近まで達していた。

椛との一戦後、こちらを襲ってくるようなものと出くわさなかったのだ。

白毛達は霊夢達のもとへ行き、妖怪達はゲラルトと戦うのは無謀だと感じたのか、付近をうろつくものの襲ってくる気配が無いのだ。

都合が良いと思っていると、空から声がかかった。

「お待ちください。そこの御仁。」

とっさに見上げると、そこには黒い翼をはやした、人の形をした何かが居た。

「あやややや。安心しました。素直に立ち止まってくれるとは。思ってたより聞かずんぼでは無いようですね。」

左手を後ろに回し、右手で扇を持ち、その扇で口元を隠すその怪物少女は射命丸 文と名乗った。

「何の用だ。」

大体予想が付くが、一応聞く。

「とぼけちゃってぇ~。何用で参ったか心当たりあるんでしょ?」

あははと笑うと、急に真顔になった。

「この山への侵入は許されておりません。直ちにお引き取り願います。」

先ほどのヘラヘラした態度とは打って変わった。

「この山では同時にいろんな事が起こり過ぎています。これ以上面倒を増やさないでください。」

「ずいぶんと排他的じゃ無いか。ここの連中は。」

もちろんゲラルトは引かない。

「うちの知り合いに喧嘩を売った奴がいるんだ。一目見てみたいと思ってな。」

すると、文はやれやれ、といった感じで眉間をつまむ。

「あの連中…ちょっと目を離したらそんなこと…」

「何か知っているんだな?」

しまったと文が口を塞ぐ。

「まあ…私が何を知っていても、あなたを追い出すことには変わりありませんからね。」

「だろうな。」

二人が戦闘態勢を取る。

 

その時

山、まじてや幻想郷中に急にとてつもない吹雪が吹き荒れる。

周りの草や地面、木々が一瞬のうちに凍る。

「えっ!?」

文が空を見上げる。

ゲラルトも釣られてそこを見ると、空には巨大な船『ナグルファー』が現れた。

「何…あれ…?」

文があっけにとられている。

船からは無数の見慣れた連中が下りてくる。

「あ!あいつら船から!」

連中を見るのは初めてではないようだ。

「白髪さん。あなたの相手は後です。先に、あいつらを止めなくちゃいけない!」

そういって、文は猛スピードで船へ飛んでいった。

ゲラルト向かおうとするが、ワイルドハントらが立ち塞がる。

「しつこい連中だな。何を求めてこの地に居る?」

兵達に聞く。

だが、そんなことお構いなしに剣を振りかぶり、向かってくる。

「お前らはそんな奴らだったな。」

ゲラルトも容赦はしないと、剣に爆薬に石弓を準備し、相手以上に相手を屠る気が満々である。

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