ウィッチャーが幻想入り   作:そうめんつゆだく

32 / 43
巫女同士の合戦がついに始まった。
勝負の結末は博霊の巫女の強烈な攻めでおしまいかと思われたが、ナグルファーからの横槍が入り、彼女は地に落ちることとなった。


第三十二話

「えっ…?え…?」

もう一人の巫女、早苗は困惑する。

(何…あの船から飛んできたの?何であの船が?霊夢さんを撃つ必要が?それに…)

早苗は振り返り、自分の神社を見つめる。

(神奈子様はこうなることを知っていた?)

軽蔑なのか恐怖なのか畏怖なのか分からない視線を神奈子という者に向ける。

(存亡が関わっている戦いだけど、これはあまりにも―)

「卑怯とは言うなよ。」

耳元で加奈子の声がする。

「存亡が関わっている。それ故だ。奴の信仰を奪い取る以前にお前の存在が消されてはたまらん。」

勝てば良い、という心構えは感じ取れない。

苦渋の決断といったとこだろう。

「奴を早めに手当てしてあげな。あのままじゃほんとに死んじまう。」

「わ、分かりました。」

早苗は霊夢の元へ降りる。

「今の私たちじゃ力になれない…すまないな、博霊の巫女。」

神奈子は誰にも聞こえない声量でそうつぶやく。

 

場所は変わって。

ナグルファーの上には一人の鴉天狗が降り立った。

「あなたたち…ほんとにいい加減にしてくださいよ。普段は温厚な私でも、そろそろ堪忍袋の緒がちぎれます。」

静かに怒る彼女の名は射命丸 文。

普段は新聞記者として活動しており、山の警備など二の次だったが、今回はそうもいかない。

「椛の奴、戦闘なんかしてないで哨戒らしく上に告げればよかったものの…」

思わず椛への愚痴が漏れる。

椛は元は戦闘員では無く、手に負えない者と判断した場合、上へと告げる役職にある。

しかし、今回は処罰に恐れ、自身で戦うことを決意し、行動不能となった。

ほかの連中はというと…

霊夢達の元へ向かったはいい。

しかし不運にもそこでワイルドハントらの襲撃に遭い、全滅。

当然といえばなんだが、死者も多数いる。

故に上層部へと連絡が行き遅れている。

文だけがこの場に居る状況となった。

「普段は戦闘なんか控えるんですがね…しょうがないです。ここに来なければよかったと思わせてやりますよ。」

扇を突き出す。

「(……。)」

何を言っているのかさっぱり分からない。

だがしっかり敵意はあるようだ。

ワイルドハントらは、一斉に剣を抜く。

その途端、強烈な風か吹いた。

「どうしました?強大な天狗相手に腰を抜かしましたか?」

すぐさま立ち上がろうとするも、再び猛風が吹き、立ち上がることが出来ない。

「そりゃっ!」

立ち上がれない相手に文は容赦なく弾を撃つ。

「(…、…)」

兵らは数発は被弾しながらも、剣と頑丈な鎧で防いでいく。

「あややや。あまり効果は無いようですね。まあ、ごっこじゃないし、しょうがないか。」

一度は驚くが、すぐさま納得したようなそぶりを見せる。

「これならどうでしょう。『幻想風靡』!」

すぐにそう叫んで、文は目に追えぬ速さで兵と兵との間を通り抜ける。

強烈な風が吹いたかと思うと、通り抜けた後の近くの兵がズタズタに裂かれた。

少し離れた者も、貫かれた痕を付け、絶命する。

「(……!)」

一兵は船内に居る兵に何かを伝えた。

そいつはすぐに細切れにされたのは言うまでも無い。。

「弾幕を打てない奴らを殺すのはこんなにも楽なんですね~。しかも、飛べもしない。」

高みの見物、といった感じで文は佇んでいた。

「あや?あれは…」

こちらにもう一つ影がやってくる。

「あなたは…巫女と一緒に居た魔法使いじゃないですか。」

魔理沙がこちらにやってきた。

「いや、あいつら二人だけで始めやがってよ。水を差すのもあれだから、こっちにやってきた。」

「まあ、基本は一対一でしょうね…こいつらは別として。」

複数の竜巻に対処できず、慌ただしい様子のワイルドハントを見て言う。

「手出しは無用か?」

「ええ。あと、出てってください。」

「完全にやっつけるまで、安心できんだろ。ここに居とくぜ。」

「ハァ…」

文からため息が漏れる。

「もう良いです。好きにし―」

文が言いかけたとき、

「危ねぇ!」

魔理沙が叫ぶ。

「ッ!」

だがそれに対応できない文では無かった。

「何です?今の。」

文は問う。

「魔法だ。あいつらが今撃ってきた。」

「魔法…」

文は船を見る。

そこには、自身の身長と同じくらいの杖を持った者がいた。

次に、文の発生させた竜巻を一気に消す。

「あれがあっちの魔法使いって事か。」

魔理沙が興味津々に見つめる。

「いいですね。このままだと張り合いが無いってもんですよ。」

文は、ちょうど魔法使いの目線の位置に降下した。




ここから裏話的なものです。

この作品のネタバレも少しします。

必要の無い方は読み飛ばしてくれてOKです。

注 説明下手くそです。










神奈子がワイルドハントに攻撃させたわけは二つあります。
一つは原作の通り、博麗神社から信仰を奪うために霊夢を倒すためです。
二つは早苗のことを思ってです。
霊夢との戦いでは大きな危険はありません。
しかし危険なのはその後です。
ワイルドハント達が目的を達成する条件として、霊夢の殺害が課程の一つなんです。
あまりネタバレするといけないので、詳しくは言えませんが、ワイルドハントの計画にちょうど乗ったという形にしておけば、敵か賛同者か分からないままにして攻撃対象になるのを遅らせておくためです。
早苗が普通に勝負に勝利した場合は、ナグルファーを敵だと認識し、乗り込みにいくと予想し、そうならないためにもやったわけです。
勝利して気分最高潮の早苗は神奈子の言うことも聞かなそうですしね。
霊夢の手当に行かせたのもナグルファーに行かせないためですね。
幻想入りしてきたばかりの早苗や神奈子は信仰がほぼ無し、という状態であるため、今ワイルドハント達と戦ったら、加奈子自身はまだしも早苗が危ないし、早苗を守りながら戦う余裕もないと神奈子は考えました。
早苗がわざと負ければいいのでは?と考えましたが、わざと負けるのは早苗にとってよくないと思い、せめて早苗の勝ち?という雰囲気にしたいと加奈子にこうさせました。
あと、前回の神奈子のにやりとした描写ですが、はじめは神奈子に屑要素を付け足そうとしましたが、加奈子には合いませんでした。
なのでこれは早苗に優しく話しかける形に変換していただけたら幸いです。
それと、ワイルドハントが幻想郷の住民の言葉が分からないところですが、
ゲラルトはあっちの世界の言葉を話す。
ワイルドハントもあっちの世界の言葉を話せる。
ゲラルトはこっちに来る際、紫に言語の境界をいじられた。
つまりゲラルトは言葉を理解できるし、他の人もゲラルトの言葉を理解できる。
ただ、ワイルドハントらは境界をいじってもらえていない。
つまり言葉が理解できず。幻想郷の人も理解できない。
といった具合です。
最後らへんに出てきたワイルドハントの魔法使いですが、カランシールではありません。
霊夢に被弾した弾も、文に撃ったものの流れ弾ではありません。
分からないところがございましたら、コメントでお申し付けください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。