「ウィッチャーさん、お連れの方々が目を覚ましたよ。」
神奈子の呼びかけにより、ゲラルトは魔理沙達のいる部屋に訪れた。
「おはよう。ゲラルト。」
「おーっす。」
「おはようございます。」
ビクともしなかった二人が一夜にして目を覚ました。
「思ったより元気そうだな。」
この妖怪娘ならまだしも人間となればあと二日は寝ていてもおかしくないんだが。
どれだけからだが頑丈なのだろう。
「それよりアンタ、アレのこと良いの?」
霊夢が文に向けて呼びかける。
「ああ、そうでした。ゲラルトさんでしたね?」
文が思い出したような仕草をし、ゲラルトに話しかける。
「ああ、そうだが。」
「私、『文々。新聞』という新聞を手がけております、『清く正しい』がモットーの射命丸 文と申します。」
「新聞?」
ゲラルトが聞き慣れない言葉に首をかしげる。
「お前の世界には無かったのか?なんかほら、情報とかその絵とか紙に書いて配る奴。」
「掲示板みたいなものか。」
「あー、まぁそんなものだが。」
「それがなんだ?」
「実はですね…」
おもむろに首に下げた四角い何かを構え、
「あなたのことを記事にさせて欲しくて。」
新聞のネタになって欲しいとのことだ。
「それは別にかまわんが。」
ゲラルトは何食わぬ顔で承諾した。
「え!良いんですか!」
頼んだ側であるはずなのに、文が驚いている。
「いや~こんなにあっさりOKがもらえるとは思いませんでした。では早速…」
昨日の神奈子達のごとく文はゲラルト質問攻めにした。
「ご協力ありがとうございました。では、また。」
「もう傷は良いのか?」
「このくらいの傷なんて後に気がつけば治ってますよ。それじゃ。」
颯爽と文は飛んでいった。
「しかしアンタもよく嫌がらずに取材OKしたわね。」
霊夢が軽く感心したように言う。
「似たような奴が知り合いにいてな。特段嫌というわけでは無かった。それにあいつは清く正しいをモットーにと言っていた。」
「残念だが、清く正しいの部分は疑うべきだぜ…」
魔理沙がため息をついてそう言う。
「ガセや誇大情報をばらまいたらしばきあげれば良いでしょ。」
霊夢が無理矢理納得させるようにそう言った。
「今日は良いネタがたくさん入ったわ~。天魔様にちゃっちゃと報告して制作に取りかかりますか。」
気分上々で文は戻っていった。
その道中に、
「あれ?」
文が何かに気づく。
「飯綱丸様じゃありませんか。」
文の上司と思われる者と出会った。
「おお、文か。」
「どうしたんですか?こんなとこで。」
文が尋ねる。
「どうしたも何も…先の集団が及ぼした被害状況を見に来たんだ。」
「あ~あいつらですか。」
「その怪我は?」
「その集団らにやられちゃいました。」
「そうか…」
「一晩したら気がつきましたから、そんな大きな怪我じゃ無いですよ。」
「相当大きな怪我だろう…お前は?」
今度は飯綱丸が聞く。
「私は今回の騒動でいくつか判明したところがありましたので、その報告に向かうところです。」
「…」
飯綱丸は少し黙る。
「飯綱丸様?」
「文、報告は私に任せてくれ。お前はどうせこの後新聞制作に移るのだろう?」
自分が代行すると提案した。
「え!そんな悪いですよ!」
「実のところは?」
「早く新聞を書きたいです…」
「まかせとけ。」
文は飯綱丸に得たワイルドハントの情報を全て話した。
ゲラルトのことはあえて黙っておくことにした。
「ふむ。分かった。くれぐれもガセには気をつけろよ。」
そういって飯綱丸は飛び去った。
「ふいー。信じてくださる上司に隠し事なんて、心が押しつぶされる気持ちですね。」
お世辞にも心のこもっているとは言えない言葉を発し、文も飛んでいった。