ウィッチャーが幻想入り   作:そうめんつゆだく

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シルヴァンの件が済んでからずっと後を付けていた少女。
ゲラルトに一つの提案をするが、少女は「幻想郷の力関係をひっくり返し、貧弱な自身達が幻想郷の覇権を握る」という、なかなかに大きな夢を持っていた。
協力を迫られたゲラルトは冷静さを欠いていなかった。


第四十話

少女は不敵な笑みを浮かべ、ゲラルトに手を差し伸べている。

「わざわざ勧誘しに来てくれたことに大変恐縮だが、こんなことをするのに必要性が感じられん。断らせてもらう。」

丁寧に皮肉を混ぜ、ゲラルトは少女の誘いを断る。

少女の笑みはもうどこかへ消えた。

「そうか…そうかい。」

少女の機嫌が明らかに変わった。

「それに、仮に下剋上が達成したとしてお前が幻想郷の頂点に居続けるようには思えな―」

「もう、いい。この話はおしまいだ。」

いじけたように、ゲラルトの話を遮り言葉を発した。

今に見てろ…馬鹿にしやがって…

そうつぶやき、少女は足早に元来た道を戻っていった。

ゲラルトも再び歩き出そうとしたとき、

「おっと!」

すれ違おうとした人間が大胆に転び、何かがゲラルトに掛かった。

その人間は昼間から酔っ払っており、掛かったものの正体は酒だった。

「あらら~ゴメンね兄ちゃん。足下に注意が足りなかったよ。ンハハハ!」

袖で濡れた跡を幾らか拭いた後にその人間はゲラルトの横を過ぎていった。

「…」

転んだ、というよりはひっくり返った、といえるような挙動だった。

また、さっきの人間の足下にメダルが微量な反応を示したため、あの少女の仕業だということはすぐに気付いた。

日が沈みかけている。

レミリアが目を覚ましていることだと思い、紅魔館へ戻る。

 

帰って早々、レミリアに先ほどの寝ぼけた態度は忘れるよう強く言われたが、別に広めようとしているわけでは無いゲラルトは生返事を繰り返していた。

「え、えーと。あの亡霊?騎士団達の動向を調べて欲しいとの事よね。ちょっと待ってて、能力を発現してみるわ。」

レミリアが目を閉じ、数十分が過ぎた。

結果を急ぐわけでも無く、レミリアは能力の発現に集中し、ゲラルトは紅茶を飲みながら図書館の本を読んでいた。

様々な妖怪について書かれた本を読んでおり、それに対応するための手法などを考えていた。

「ふむ…ディメリティウムは足りるだろうか…補充が出来なかったのが痛いな…」

そう言って次のページをめくった頃に、レミリアが口を開いた。

「…見えたわ。」

本にしおりを挟み、ゲラルトはレミリアの話を聞こうとする。

「何が見えた。」

「全部説明するから。まずあいつらは、すぐに進行してくることは無いわ。目立ちすぎて熱りが冷めるのを待つみたい。『待て』が出来るような犬には見えなかったわ。」

レミリアは冷め切った自分の紅茶を飲む。

「それと、あいつらが旧地獄へ向かったあとなんだけど、『何か』を解き放っていたわね。見たことないものだったわ。数も相当な。」

「…見たり感じたものを共有できれば良いんだがな。」

細かな特定は出来ないと、ゲラルトはそんな事を漏らす。

「そんな感じのことが出来る錬金術が貴方の世界にあるって、パチェが言ってたわ。そのためだけに腕を一つやれる気にはなれないけど。」

レミリアは右手をぷらぷらさせる。

「その先はどうだ?」

「なんかぼやけてて、それにあんまり覚えてないわ。」

能力への障害が酷すぎて、覚えていないらしい。

「最近、血を摂ってないからかしら。」

ぽつりとそんなことを言うと、

「俺の仕事を増やしてくれるなよ?」

全力で止めるわけではなさそうだが、ゲラルトが反応した。

「ウフフ。なんとか、うまくやるわよ。」

そう言ってレミリアは茶菓子を口に入れた。

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