レミリアに運命を見てもらってから数週間が経った。
紅白の巫女と白黒の魔女の様子はどうかと、ゲラルトは守矢神社へ向かう途中だった。
山の様子はすっかり元通りとなっており、早いところは紅葉が進んでいる。
ゲラルトを監視するような視線は絶えないが、特にアクションを起こすわけでも無いため無視して進んでいった。
おそらく、視線の正体はあの白髪共だろう。
襲ってこないのは、文が何か弁解してくれたものだと思った。
「『恐るるに足りず』か『要警戒』か…」
ぼそりとそんなことを言っている内に、神社へと続く石段が見えてきた。
「お、来たか。」
魔理沙がゲラルトに気付いた。
霊夢も外に出ている。
しかし、守矢のあの三人は居ない。
「丁度よかった。これから呼びに行くところだったのよ。」
「容態は?」
「見ての通りだぜ。」
「そうか。」
二人とも、旧地獄へ行く準備は整っていた。
「こんな短いスパンで現れるかは分からないけど、遅れるよりかはましよね。」
「地底にも宿ぐらいあんだろ。行ったこと無いが。」
「それで、場所は分かっているのか?」
「それについてだが、よくわかんねーんだ。」
「なに?」
「そんでもって、こいつを頼る」
「紫様にこいつと言うな。指を差すな。」
そこには紫とその式、藍がいた。
「さっさと準備して。こっちだって大変なんだから。こうしてる暇なんて無いんだから。」
紫が素早くスキマを開く。
「私はともかく、藍とか、他の妖怪も諸事情で一緒に行けないわ。一応スキマをつなげて離れても会話はできるようにしてあるから、はやく入って、もうっ。」
(あーあー、もしもーし。)
ゲラルトの耳から声が聞こえる。
「お、パチュリーか。」
魔理沙や霊夢にも聞こえているみたいだ。
「藍とパチュリーにつなげてあるわ。分からないことがあったらその二人に聞いてちょうだい。」
「分かったわ。それじゃ、行くわよ。」
霊夢が先陣を切り、スキマへ入っていった。
続いて魔理沙も入る。
「…?ゲラルト?どうした?」
なかなか進まないゲラルトに藍が問いかける。
「これは、『門』と別に考えて良いのか?」
「確率で死にはしないわよ!とっとと行きなさい!」
「クソ…門は嫌いだ。」
目を塞ぎながら前進する。
「だから別物だって行ってるでしょ!」
紫が言い切る前に、ゲラルトがスキマに飲み込まれた。
しばらくすると、地に足が付いた。
そこでゲラルトは塞いでいた目を開け、周りを見渡す。
「ここはどこだ?」
パチュリーがそれに答える。
(そこは『旧都』って呼ばれる場所よ。なんでも、忌み嫌われている妖怪が住み着く場所だとか。)
よくみれば、すれ違う者は角が生えていたり、肌は赤かったり青かったり、人間らしい者は一切見当たらない。
「なるほど。あてが無くなれば、ここに頼るのも良さそうだな。」
「今のところ、ここでの貴方の印象は良さげよ。」
「それはありがたい。」
「やっと来たのね。」
二人が目の前に現れる。
「そんなに怖いものかしら?」
霊夢は悪気は一切なしで聞いてくる。
「いや、俺の世界だとよくないことが頻繁に起こるもんでな。」
「トラウマを植え付けられちゃったって事か。」
魔理沙が「気の毒に。」と肩に手を乗せる。
「…それで、何処に向かえば良い?」
(まずは地霊殿という場所を目指してくれ。そこに旧地獄を仕切る者が居るはずだ。)
「聞き込みをするしかないか。」
「酒代をねだられそうだわ…」
「変に喧嘩ふっかけられたりな…」
「そんときゃゲラルト、アンタが頼りよ。」
「何でも面倒ごとを押しつけるな。」
藍が小さく(やれやれ…)とつぶやいた。