あーそっか。ここに繋がるのか。
キュゥべえの声に導かれデパートの未使用フロアに近づいて行くにつれ、『嫌な雰囲気』に飲まれそうになった。
そしてフロアに入った瞬間、完全に別空間に入り込んだ。直感で、これが『魔女』の空間なんだな、と理解した。
私はとりま目の前の、髭が生えた毛玉や、先端にハサミを持つ棘なんかを『なんとなく嫌』という理由で全力で燃やした。
一方マミさんは、キュゥべえと一緒に誰かが居ることをいち早く察知し、キュゥべえと彼女たちを助けにいった。
(……その、キュゥべえと一緒にいる子達って……やっぱり『あの子達』?)
その予感は的中。
「キュゥべえを助けてくれたのね。ありがとう」
「あの……私呼ばれたんです、この子に」
「あなたたちは一体……」
私が巴マミに追い付いたとき、彼女は、ピンクと青色の髪の子たちと話していた。彼女たちは見滝原中学の制服……巴マミと同じ学校の制服を着ていた。
ピンク髪の子は、心配そうにキュゥべえを抱いていた。キュゥべえは傷だらけで、息も絶え絶えだ。
「そうね、自己紹介しないとね……」
「!? マミちゃん、でもその前にっ!」
周囲に湧いてきた使い魔たち。
私は炎を長剣状に硬化させ、水平に薙いで切り伏せた。
マミはジャンプし上空から、大量のマスケット銃を作り出し一斉放火した。
「すごい……」
ピンクの髪の子が感嘆の声をあげた。
使い魔は瞬く間に消滅していった。
と、同時に、魔女の空間は解けていき、なにもない平凡な空き部屋に戻っていった。
「……マミちゃん、魔女は?」
「……魔女には逃げられたみたい」
少し悔しかったのか、肩をすくめた。
スタッ。
結界が晴れた目の前に、比較的シックな衣装の、黒い長髪の子が立っていた。『暁美ほむら』と『巴マミ』との初会合だ。
「……」
暁美ほむらは、何かを言いたげだったが、巴マミは開口一番、彼女に警告した。
「魔女は逃げたわ、今回はあなたたちに譲ってあげるから、見逃してあげる」
「私が用があるのは……」
暁美ほむらの発言は、さらに強い巴マミの声に被せられた。
「見逃してあげる、って言ってるの。余計なトラブルは無いほうがいいじゃない?」
……さてさてさてさて。確か私の記憶が正しければ……この後、暁美ほむらはなにも伝えず帰ってしまうはず。
ここで、ある程度話し合える機会があれば、今後訪れる『バットエンド』回避の布石になるんじゃないかな。
「……ちょっとまって!」
私はそう思って、この会話に割って入った。そして話を続けた。
「マミちゃんも落ち着いて。彼女、何か大切なことを伝えに来たんじゃない?」
「……まあ、神之原さんがそこまで言うなら……」
「その必要はないわ、さようなら、オレンジヘアー」
そういうと、暁美ほむらは踵を返し帰ってしまった。
……あれ……選択ミスったかなぁ。なんか、ほむらちゃんの私を見る目が凄い鋭く怖かったんだけど。
てか、自己紹介してないのに、なんで私のこと知ってるの……?
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デパートでの一件の後、私と、ピンク髪の子『鹿目まどか』、青髪の子『美樹さやか』は、巴マミのマンションにお邪魔した。
一人暮らしとは思えないほど広く立派なマンション。ちょっと羨ましいが、事情を知っていると……なんか胸が締め付けられる。
「僕が君たちの願い事を、なんでもひとつ叶えてあげる! どんな奇跡だって起こしてあげるよ!」
ケーキと紅茶をご馳走になりながら、まどかとさやかに『魔法少女』についての説明会が始まった。ついでに私も同席。ケーキめちゃウマ。
「でもそれと引き換えに、魔女と戦う使命を担うことになるわ、そして、これがソウルジェム」
マミさんは自分のソウルジェムを皆に公開した。それは淡く黄色く、そして綺麗に輝いていた。
「魔女は呪いを振り撒く存在さ。普通の人間には見えないし、超能力による未来予知でも見つけられない」
「……そういうわけで、バベル特務エスパーの私は巴マミちゃんに協力を依頼してるって
魔法少女って年齢でもないし(21、独身)。
「……マミさんたちは、そんな怖いのと戦ってるんですか……」
かなり怯えた様子の鹿目まどか。そりゃ死ぬかもしれないんだもの。普通の反応よね。
「ええ、だから魔法少女になり願いを叶えることは、死と隣合わせなの。だからあなたたちは、慎重に選んだ方がいいわ」
あなたたちは……ね。マミさん、結構重い選択だったからねぇ。
そしてキュゥべえが、魔法少女の現状について補足した。
「最近は魔女だけでなく、それに似た怪物に襲われることもあるんだ。たしか、ザケンナーと呼ばれてたね。僕個人として、実に興味深い……」
「そこで提案だけど、しばらく私達の魔女退治に付き合ってみない? 今なら特務エスパーの保護観察付きよ」
巴マミが、私にウインクしてきた。……同盟を組んだ身ですから、お手伝いはしますよ。それに……
「……まあ、未成年をそんな危ない場所につれてくのに、
私は巴マミの提案に乗った。元々乗るつもりだったし。
……なにより、暁美ほむらの、あの反応が気になる。なぜ私のことを知っていたの……?
まどかとさやかは、お互い「えっ」と顔を見合わせたが、どうもまんざらでもないようだ。
また明日、この四人で会う約束をして、今日のところは解散となった。
「……うわぁっ! もうこんな時間! 急がないと!」
美樹さやかが急に時間を気にし始めた。
それをみて、鹿目まどかも「あっ」と気がついたようだ。
「病院の面会時間……」
「あら、誰かのお見舞い?」
「えへへ……まあ」
マミさんの質問を少しごまかす感じの、美樹さやか。
ま、『幼なじみで片想いの相手』なんて、恥ずかしくて言いにくいだろうしね。
「昨日、転院したから、いつもより時間がかかるの忘れてた! 間に合うかなぁ……」
……転院? そんな話あったっけ?
「どこの病院? 私の
私は転院先の病院が気になって、半分興味本位、半分親切心で提案した。
「え! ほんとですか!」
「あ、だめだよ、さやかちゃん。あそこは、公共機関でしか入れないよ……」
……えぇ。
私はつい、取り出してたバイクのキーホルダーを滑り落としてしまった。
「そこって、もしかして……」
「はい、最先端医療を受けることになって……学園都市の、第七学区にある病院なんです」
【次回予告】
無事、初めての魔法少女体験コースを終えた夜。
私は一人、心底ぶちギレてた。
そして、高町なのは の運命的な出会い……。
【イオナ】
(あれ……? なのはちゃんと話してる金髪の子……どこかで見たような)
【???】
「ごめん、なのはちゃん! お友達にならないかって言われたの嬉しかったけど……!」
【兵部京介】
「パンドラはしばらく、ジュエルシード回収を手伝うよ」
次回、「敵? それともお友達?」