転生先は超能力少女たちの多重クロス世界でした   作:黒片大豆

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【第3話】デパート、開戦【後編】

 あーそっか。ここに繋がるのか。

 

 キュゥべえの声に導かれデパートの未使用フロアに近づいて行くにつれ、『嫌な雰囲気』に飲まれそうになった。

 そしてフロアに入った瞬間、完全に別空間に入り込んだ。直感で、これが『魔女』の空間なんだな、と理解した。

 

 私はとりま目の前の、髭が生えた毛玉や、先端にハサミを持つ棘なんかを『なんとなく嫌』という理由で全力で燃やした。

 一方マミさんは、キュゥべえと一緒に誰かが居ることをいち早く察知し、キュゥべえと彼女たちを助けにいった。

 

(……その、キュゥべえと一緒にいる子達って……やっぱり『あの子達』?)

 

 その予感は的中。

 

「キュゥべえを助けてくれたのね。ありがとう」

「あの……私呼ばれたんです、この子に」

「あなたたちは一体……」

 

 私が巴マミに追い付いたとき、彼女は、ピンクと青色の髪の子たちと話していた。彼女たちは見滝原中学の制服……巴マミと同じ学校の制服を着ていた。

 

 ピンク髪の子は、心配そうにキュゥべえを抱いていた。キュゥべえは傷だらけで、息も絶え絶えだ。

 

「そうね、自己紹介しないとね……」

「!? マミちゃん、でもその前にっ!」

 

 周囲に湧いてきた使い魔たち。

 私は炎を長剣状に硬化させ、水平に薙いで切り伏せた。

 マミはジャンプし上空から、大量のマスケット銃を作り出し一斉放火した。

 

「すごい……」

 ピンクの髪の子が感嘆の声をあげた。

 

 使い魔は瞬く間に消滅していった。

 と、同時に、魔女の空間は解けていき、なにもない平凡な空き部屋に戻っていった。

 

「……マミちゃん、魔女は?」

「……魔女には逃げられたみたい」

 

 少し悔しかったのか、肩をすくめた。

 

 

 スタッ。

 

 

 結界が晴れた目の前に、比較的シックな衣装の、黒い長髪の子が立っていた。『暁美ほむら』と『巴マミ』との初会合だ。

 

「……」

 

 暁美ほむらは、何かを言いたげだったが、巴マミは開口一番、彼女に警告した。

 

「魔女は逃げたわ、今回はあなたたちに譲ってあげるから、見逃してあげる」

「私が用があるのは……」

 

 暁美ほむらの発言は、さらに強い巴マミの声に被せられた。

 

「見逃してあげる、って言ってるの。余計なトラブルは無いほうがいいじゃない?」

 

 ……さてさてさてさて。確か私の記憶が正しければ……この後、暁美ほむらはなにも伝えず帰ってしまうはず。

 ここで、ある程度話し合える機会があれば、今後訪れる『バットエンド』回避の布石になるんじゃないかな。

 

「……ちょっとまって!」

 

 私はそう思って、この会話に割って入った。そして話を続けた。

 

「マミちゃんも落ち着いて。彼女、何か大切なことを伝えに来たんじゃない?」

「……まあ、神之原さんがそこまで言うなら……」

 

「その必要はないわ、さようなら、オレンジヘアー」

 そういうと、暁美ほむらは踵を返し帰ってしまった。

 

 ……あれ……選択ミスったかなぁ。なんか、ほむらちゃんの私を見る目が凄い鋭く怖かったんだけど。

 てか、自己紹介してないのに、なんで私のこと知ってるの……? 

 

 

 #####################

 

 

 デパートでの一件の後、私と、ピンク髪の子『鹿目まどか』、青髪の子『美樹さやか』は、巴マミのマンションにお邪魔した。

 

 一人暮らしとは思えないほど広く立派なマンション。ちょっと羨ましいが、事情を知っていると……なんか胸が締め付けられる。

 

「僕が君たちの願い事を、なんでもひとつ叶えてあげる! どんな奇跡だって起こしてあげるよ!」

 ケーキと紅茶をご馳走になりながら、まどかとさやかに『魔法少女』についての説明会が始まった。ついでに私も同席。ケーキめちゃウマ。

 

「でもそれと引き換えに、魔女と戦う使命を担うことになるわ、そして、これがソウルジェム」

 マミさんは自分のソウルジェムを皆に公開した。それは淡く黄色く、そして綺麗に輝いていた。

 

「魔女は呪いを振り撒く存在さ。普通の人間には見えないし、超能力による未来予知でも見つけられない」

 

「……そういうわけで、バベル特務エスパーの私は巴マミちゃんに協力を依頼してるって理由(わけ)。あ、私は魔法少女じゃないわよ」

 

 魔法少女って年齢でもないし(21、独身)。

 

「……マミさんたちは、そんな怖いのと戦ってるんですか……」

 かなり怯えた様子の鹿目まどか。そりゃ死ぬかもしれないんだもの。普通の反応よね。

 

「ええ、だから魔法少女になり願いを叶えることは、死と隣合わせなの。だからあなたたちは、慎重に選んだ方がいいわ」

 

 あなたたちは……ね。マミさん、結構重い選択だったからねぇ。

 そしてキュゥべえが、魔法少女の現状について補足した。

 

「最近は魔女だけでなく、それに似た怪物に襲われることもあるんだ。たしか、ザケンナーと呼ばれてたね。僕個人として、実に興味深い……」

 

「そこで提案だけど、しばらく私達の魔女退治に付き合ってみない? 今なら特務エスパーの保護観察付きよ」

 

 巴マミが、私にウインクしてきた。……同盟を組んだ身ですから、お手伝いはしますよ。それに……

 

「……まあ、未成年をそんな危ない場所につれてくのに、保護者(おとな)がいないわけにはいかないでしょ」

 

 私は巴マミの提案に乗った。元々乗るつもりだったし。

 ……なにより、暁美ほむらの、あの反応が気になる。なぜ私のことを知っていたの……? 

 

 まどかとさやかは、お互い「えっ」と顔を見合わせたが、どうもまんざらでもないようだ。

 また明日、この四人で会う約束をして、今日のところは解散となった。

 

「……うわぁっ! もうこんな時間! 急がないと!」

 

 美樹さやかが急に時間を気にし始めた。

 それをみて、鹿目まどかも「あっ」と気がついたようだ。

 

「病院の面会時間……」

「あら、誰かのお見舞い?」

「えへへ……まあ」

 

 マミさんの質問を少しごまかす感じの、美樹さやか。

 ま、『幼なじみで片想いの相手』なんて、恥ずかしくて言いにくいだろうしね。

 

「昨日、転院したから、いつもより時間がかかるの忘れてた! 間に合うかなぁ……」

 

 ……転院? そんな話あったっけ? 

 

「どこの病院? 私の大型二輪(バイク)なら乗っけてるわよ?」

 私は転院先の病院が気になって、半分興味本位、半分親切心で提案した。

 

「え! ほんとですか!」

「あ、だめだよ、さやかちゃん。あそこは、公共機関でしか入れないよ……」

 

 ……えぇ。

 私はつい、取り出してたバイクのキーホルダーを滑り落としてしまった。

 

「そこって、もしかして……」

 

「はい、最先端医療を受けることになって……学園都市の、第七学区にある病院なんです」

 

 




【次回予告】

無事、初めての魔法少女体験コースを終えた夜。
私は一人、心底ぶちギレてた。
そして、高町なのは の運命的な出会い……。

【イオナ】
(あれ……? なのはちゃんと話してる金髪の子……どこかで見たような)

【???】
「ごめん、なのはちゃん! お友達にならないかって言われたの嬉しかったけど……!」

【兵部京介】
「パンドラはしばらく、ジュエルシード回収を手伝うよ」

次回、「敵? それともお友達?」
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