転生先は超能力少女たちの多重クロス世界でした   作:黒片大豆

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【第4話】敵?それともお友達?なの【前編】

「……感じ悪っ!!」

「イオナさんもそう思いますよね! くっー! ホントに感じ悪いやつ!!」

 

 魔法少女体験コースと称して、巴マミ、鹿目まどか、美樹さやかと、私(神之原イオナ)の4名で廃ビルにやってきた。

 そこに現れた魔女。

 結界の中を進み、魔女本体との対峙。

 

「私一人でやるので、後の二人をお願いします!」

 

 そういうとマミさんは、一人で魔女退治にいってしまった。

 おそらく、未来の後輩たちにいいとこ見せようと、すごく張り切ってる。

 

 で、ちょっと危うい場面もあったものの。無事に魔女退治を終え、グリーフシードをゲット。

 

 マミさんのソウルジェム浄化をし終えたところに、暁美ほむら登場。

 まだ使えるグリーフシードを、マミさんがほむほむに投げる。も、

 

「あなたの獲物は、あなただけのものにすればいい」

 

 と、グリーフシードをマミさんに返却(投げ返す)。

 

 というやり取りは、確かほぼ原作通りだったわよね。

 なので、あえて私はこのタイミングで、暁美ほむらに話しかけてみた。

 

「ねぇ、暁美ほむら。なぜ私のこと知ってるの? それに、なんか皆に言いたいことあるんじゃないの?」

 

 暗闇に溶け込もうとしていた暁美ほむらは、後ろを向いたまま返事した。

 

「……あなたとは何も話すことはないわ、オレンジヘアー」

 

 そして足音を立てて、ツカツカと行ってしまった。

 

 んで、冒頭の台詞に戻る。

 

 

 ……久しぶりに「イラッ」としたわ。話すときくらいこっち向きなさいよ! 

 

「でも、仲良くなれればいいのに……」

 

 この台詞は鹿目まどか。あなたは優しき娘やねぇ。暁美ほむらを大事にしんしゃい。

 

 しっかし。これほどまで『初対面』の暁美ほむらに避けられる理由に、全く心当たりがない。

 魔法少女問題に、バベルという社会組織を持ち込み混乱させたことを恨んでるのかなぁ。

 

 ……私は、今後の事を考えて、彼女たちに私の連絡先を伝えておくことにした。

 

「ねぇ、まどかちゃん、さやかちゃん。私の名刺を渡しておくわね。何か緊急な事があれば、連絡ちょうだい」

 

 そして私は2人の連絡先も入手した。ちなみにマミさんとは、パートナーを組んだ際に既に連絡先交換済だ。

 

「ま、使わないに越したことはないけどね」

「そう……ですね」

「すごーい、バベルの人の名刺だ! 超能力者(エスパー)って、魔法少女みたいでカッコいいですね!」

 

 未だに超能力者(エスパー)に偏見がある本社会で、こう、純粋に憧れてる子もいるのだなぁと、感心しつつ、すこし嬉しかった。

 

 そして私達は、廃ビルを後にし、帰宅の途についた。

 

 

 ##################

 

 

 そしてその夜。

 私の神経をさらに逆撫でする事件が起こった。

 

 超能力(エスパー)犯罪組織、『パンドラ』による、公共電波ジャックだ。

 

 史上最高のエスパー犯罪者、『兵部京介』をリーダーとした犯罪組織。彼らの目的は『能力者(エスパー)を解放し、能力者(エスパー)だけの世界を作る』というもの。

 

 なかなかスケールが大きい話だけど、彼らの組織力はトンでもなくデカイ。

 構成員のエスパー数は不明だし、活動資金とかも潤沢。バベルはパンドラを最重要犯罪組織に指定している。

 

 そんな彼らがテレビ放送をジャック。流されたのはパンドラへの勧誘CM。実に15分。

 

「……ぶち殺す」

 前世に比べてこっちの世界はサブカルが極端に少ない。特にアニメーションは完全にこども向けが主体で本数も少ない。

 そんな数少ない中、抜きん出て出来のよい大人気アニメ『魔法少女! ぜったいチルチル』。

 

 私はこれを見ながらピザを食うのを一週間の楽しみに仕事してるのに。やつら、よりによって『ぜったいチルチル』放送に合わせて電波ジャックしてきた。

 

 ……画面に写る兵部京介をこれほどまで憎んだことはない……。

 

 

 ###################

 

 

 翌日。

 

 バベルに出社したら、受付で案の定。

 昨日の電波ジャックのクレーム電話がひっきりなしだった。

 バベル受付嬢のお二人……常盤奈津子さんと野分ほたるさん。ずっとてんてこ舞いだったわ。それもこれも全てパンドラこと兵部京介の仕業。パンドラ許すまじ。

 

 ちなみに。

 この2人はレベル5の超能力者(エスパー)で、それぞれ透視能力(クレヤボヤンス)精神感応(テレパス)。正面からの不審者は、この2人の超能力でほぼほぼシャットアウトされる。

 

 なお。

 私が『転生者』であり、この世界の原作(ものがたり)を知ってることについては、何故か精神感応(テレパス)では覗けないらしく。三宮紫穂でさえ、私の深層部分は捉えられてない。

 

 ……あんまり知られていい部分ではないから、正直助かる。

 

「あっ!! イオナさん! 局長がお呼びでしたよ!」

 忙しそうな2人に軽く挨拶して、バベルに入ろうとしたとき、常磐さんに呼び止められた。局長直々のお呼びだしとは。

 

 

 

 局長室。

 中に入ると、局長と柏木秘書官、そして、皆本くんが待っていた。

 そこで告げられたのは、予知課が予知した、本日夕方の事故のことだ。

 

「高町なのはと、兵部京介が接触……!」

「うむ、予知確率は78%と高い。そして本件はそれに止まらず……」

 

 局長が柏木さんに目配せし、柏木さんが別のファイルを見せてくれた。

 

「……高町なのは、大ケガ……84%!!」

 予知された時間を見ると、両方とも、高町なのはの学校の下校時間を過ぎて暫くしてからだ。つまり、

 

「兵部と、なのは君が接触したことで、何らかの事故か事件が起こることが想定されます。僕とザ・チルドレン、そして神之原さんで、高町なのは君周辺の警護に当たります」

 

 そう。皆本くんが説明したとおり、今回の任務は高町なのはの警護。

 兵部京介との接触を阻止し、可能なら、兵部を捕らえる。

 

「兵部は何故、高町なのはとコンタクトを試みるのかしら……。この事は、なのはちゃんに説明は?」

「いえ、あまり大事にしないよう、彼女には非公開で行います」

 史上最大のエスパー犯罪者に狙われてる、なんて知れたら挙動っちゃうものね。

 

「ザ・チルドレンはすこし離れた場所で、兵部が近づいてきたら直ぐ動けるよう待機します」

 皆本くんが今回の作戦をまとめ始めた。

 

「神之原さんは、なのは君と普段から連絡を取り合ってるとのことなので、学校の下校時間に合わせて、校門前で待機してください」

「りょーかい。世間話でもしながら、そのままお家まで一緒に付き合うわ」

 

 

 ###################

 

 

 さて。

 そんなこんなで、聖祥大附属小学校は下校時間となり、私は正門が見える道路脇で、大型二輪(バイク)を停め待機していた。

 ……うん、私が男だったら不審者情報掲載待った無しシチュエーション。

 

 さすがのお嬢様学校。お迎えのお車がバンバン到着したり、お付きの人とかもいたり。

 

 そんな折り、高町なのはと、そのお友達が門から出てきた。

 ……周囲に目配せしたが、パッと見、兵部京介の姿はない。まあ、来るなら瞬間移動(テレポート)を使うだろう。

 

「じゃあ、私とすずかは、お稽古の日だから」

「うん! お稽古頑張って!」

 

 なのはのお友達2人は、校門でお別れか。待っていた高級外車に2人は乗っていってしまった。

 

 徒歩で帰宅するなのはちゃん。予知課が正しければ、この帰宅途中で兵部と接触をし、ケガを追うことになる。……うん、今のところ周囲には兵部京介や怪しいやつはいないな……。

 

「ねぇちょっと、あんたが高町なのは?」

「えっ? アリサちゃ……あ、あれ? 」

 

 高町なのはと同じくらいの背丈の女の子。金髪で、声がどことなく、なのはの友達に似ていた。なのはも、一瞬勘違いしたようだった。

 あの娘、どこかで……! 

 

「……しまった!!!」

 私は大型二輪(バイク)のスロットルを全開にし、高町なのはに近づいた。

 

「ちっ!! 高町なのは、ちょっと、面貸してもらうよ!」

 私に気づいた金髪の娘が、なのはの腕を乱暴につかむ。刹那、なのはと金髪の娘は目の前から──消失した。

 一瞬のうちに、目に見える範囲から消え失せたのだ。

 

「やられたっ!!」

 私はバイクを止め、すぐに皆本とザ・チルドレンたちに、通信機で連絡した。

 

『どうした、レオナ君!』

 通信を取った皆本くんが、予定にない私からの連絡に何か察したようだ。

 私は、ただただ謝罪の言葉を述べるしかできなかった。

 

「ごめん! 皆本くん! 『筑紫澪』が、高町なのはを拐っていった!」

 

 

―続く―

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