転生先は超能力少女たちの多重クロス世界でした   作:黒片大豆

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【第4話】敵?それともお友達?なの【後編】

 上空からピンクの光を纏った、高町なのはが突っ込んできた。そのまま黒の獣に体当たりして、地面に叩きつけた。

 この展開に私達以上に驚いていたのは、兵部京介だった。

 

「なにっ! なぜ彼女がここに!」

 すると、兵部の横に金髪の女の子が瞬間移動(テレポーテーション)してきた。

 筑紫澪だ。非常に罰の悪い顔をしている。

 

「ごめんなさい少佐……なのはと話してる間に楽しくなっちゃって……夢中になってる間に、逃げられちゃった……」

 

『なんだよ澪! 彼女をジュエルシードに近づけるなって、それだけの命令すら出来ねーのか?! やっぱり、コレミツかマッスルとペアを組ませるべきだったんだ!』

 

「こらやめろ齧歯類!! ……起こってしまったことは仕方ない。ちゃんと反省し次に生かそうな、澪」

 

 任務を失敗し、半分泣いてる顔をしていた澪の頭を、兵部が撫でた。

 澪は半泣きの顔をあげ、再度謝罪した。

 

 ……うん、一連の行動を見て、私の認識は疑義から確信に変わった。

 

 

 兵部京介は、ロリコン……というより、孫を可愛がるおじいちゃんだな……。

 

 

 そんな、パンドラロリコン劇場を目の前で見せつけられてる間に、空中では大変なことになっていた。

 

 先ほどまで戦っていた黒い獣は、フェイトの鎌による一閃で切り裂かれ、ジュエルシードが出現した。

 それを巡って、今度はフェイトとなのはが争い始めた! 

 

 私は、この場の均衡を無理矢理崩してでも、なのはに加勢すべきと考えた。

 

「皆本くん! なのはちゃんに加勢するわ!」

「……ああ! ザ・チルドレン、出動だ!」

 

「そうはさせないよ、クイーン!」

 

 やはり兵部が動いた。私たちに向かって衝撃波を繰り出した。

 しかし、私はそれに対して、手袋から発火させ炎を出した。炎は衝撃波に乗って帯状に広がったが、私は炎を硬化させ、壁を作り目隠しにした。

 

「葵ちゃん! 薫ちゃん! なのはちゃんをお願い!」

「おう、まかせろ!」

「まかせてーや!」

 

 葵の瞬間移動(テレポーテーション)で炎の壁の外に出て、薫が念能力(サイコキネシス)をフェイトにぶっぱなした! 

 

「サイキックぅ……木の葉乱舞っ!!」

 

 森の木々に映える新緑を根こそぎ取り、それをカッターのように硬化させフェイトに向かって打ち付けた。

 

「くっ!!」

 フェイトは咄嗟に黄色いシールドを展開した。木の葉がシールドに弾かれるが、目眩ましには十分だ。

 

「いまや! なのははん! ジュエルシードの回収を!」

「あ、ありがとう! ……きゃっ!! な、何?」

 宙に浮いているジュエルシードに向かおうとしたなのはの体から、『2本の腕』が生えて、彼女を拘束した。

 筑紫澪の部分テレポートだ。澪の腕をなのはの体近くに瞬間移動(テレポート)させたのだ。

 

「ご、ごめん、なのはちゃん! お友達にならないかって言われたの嬉しかったけど……ごめん!」

「クイーンも少し、悪戯(おいた)が過ぎたようだね」

「兵部……! くっ!!」

 兵部が薫の目の前に瞬間移動(テレポート)してきて、薫の念動力(サイコキネシス)を自身の念動力(サイコキネシス)で相殺しあった。

 

「薫ちゃん!」

「薫!」

 

 紫穂と皆本くんが拳銃を抜いた。が! 

 

『おっと、おいらをお忘れかい!』

 モモンガの桃太郎が、衝撃波を発し、紫穂と皆本くんの拳銃が弾き跳ばされた。

 

「きゃぁっ!」

「くっ!!」

 しかし、これで、私が完全に『フリー』になった。

 

 必要なくなった炎の壁の硬化を解除し、残り炎で長剣を作りだした。

 体制を低く、一気に、なのはを拘束する筑紫澪に駆け寄る! 

 彼女を捉えれば、なのはちゃんは自由になるし、兵部たちの人質としても使えると考えたからだ(この際、やれ『正義』だとかは置いておく!)。

 

 ……が、その作戦は失敗に終わった。

 

 突如、赤毛の獣(セントバーナードくらい)が、茂みから飛び出し、わたしの右腕に噛みついた。

 

「……いってぇぇぇっ!!!」

 あまりの激痛で、炎の長剣はたち消えた。

 そのまま赤毛の獣は、右腕に噛みついたまま私に覆い被さり、マウントをとってきた。

 

「フェイトの邪魔はさせないよ!!」

 若い女の声で、赤毛の獣が喋った。こいつ……! 

 

(フェイトの使い魔!)

 確か、アルフとかいう名前だっけ? 

 セントバーナード並みの大きさの彼女がのし掛かり、私は完全に動きを封じられた。牙が右手に食い込み、血が滲んだ。

 アルフが、わたしの腕を噛みつきながら喋った。

 

「悪いね! こっちの世界の魔法使いさん! ちょっと黙っててもらうよ!」

 そうこうしているうちに、木の葉カッターから解放されたフェイトは体勢を立て直した。

 そして、澪の腕で身動きが取れないなのはに向かって、バルディッシュの光の刃をブーメランのように飛ばしてきた。

 

 これに最初に驚いたのは、筑紫澪だった。

 

「ちょっ……危ないじゃない!! 何考えてるのっ!!」

 澪は急いで腕をひっこめた。

 

『Protection』

 

 自由を得たなのはは急いで防護呪文を張り、迫り来る電気の刃を受け止めた。しかし、刃の勢いは衰えない。

 

「くぅぅぅっ!」

 

『Saber explosion』

 

 フェイトのバルディッシュがコードを発動。その瞬間、なのはが押さえていた光の刃が大爆発を起こした。

 

 

 ドオォぉぉン! 

 

 

「な、なのは君!」

「なのはちゃん!!」

 爆発の煙の中から、なのはが落ちてきた。彼女は気を失っているようだ。

 このままでは頭から地面に叩きつけられてしまう。

 

(くっ! 彼女を……なのはを助けないと!)

 

 しかし私はデカ犬に押さえつけられ全く動けない。右腕の傷も案外深い(労災申請しよ)。

 

「うちに任せて!」

 葵が飛び出し、落下中のなのはの所に瞬間移動(テレポート)し、なのはを抱えて地面に再度瞬間移動(テレポート)した。

 

「……よしっ、これでとりあえず大丈夫やな……えっ!!」

 地面についた葵が空を見上げると、フェイトが、さらに追い討ちをかけようとしていた。

 

「……ごめん」

 ぼそり、と、フェイトが呟いた。同時に、フェイトの回りには帯電した雷球からビーム状の光が発射され、葵となのはを襲った。

 

「……あかんっ!! 間に合わんっ!」

「……葵っ!!」

「葵っ!」

「葵ちゃん!」

 

 

 ドドドドドっ! 

 

 

 フェイトが放ったビームは、しかし全く直撃しなかった。

 

 曲線状に曲げられ、葵となのはの周りの地面に着弾しただけだった。

 彼女たちの前には、兵部京介が立っていた。

 

 彼の念動力(サイコキネシス)によって、フェイトの攻撃は全て弾かれたのだ。

 

「ひ、兵部少佐……」

「危なかったね」

 いつもの飄々とした銀髪の青年は、服についた土埃を軽く叩き、空に浮くフェイトを見上げた。

 

「……おいおい、さすがにちょっとやり過ぎじゃないか? クイーンたちを傷つけるのは許さないよ」

 

「……」

 

「君はお母さんになんて命令されているか知らないが……。それより、早くジュエルシードの回収をしたらどうだい?」

「……!!」

 

 一瞬、『お母さん』という言葉に表情を暗くしたフェイトであったが、直ぐに元の顔つきに戻り、宙に浮くジュエルシードを回収していった。

 

「あ、葵っ! なのは君!」

「あおいーっ! なのはーっ! 無事かっ!」

「葵ちゃーん! なのはちゃーん!」

 

「おっと、クイーンに皆本が来ちゃうと、また面倒だ……さっさと帰ろう」

 

 シュン! 

 

 瞬間移動で、澪の近くに現れた兵部。

 そこに、空からゆっくりフェイトも降りてきた。

 

 そして、私の腕を咥え込んでいた赤犬……アルフも、腕から口を離すとジャンプで兵部たちの近くに集まった。

 

『よいしょっと。これで目的は達成したな~』

 ふわりとモモンガ……桃太郎が、兵部の肩に着地した。

 

「じゃあね、バベルの諸君と……高町なのは君。パンドラはしばらく、エスパー解放活動と平行して、ジュエルシード回収も行うよ。今回はほんの挨拶代わりさ」

 

 兵部たちの足元が光輝く。瞬間移動(テレポーテーション)よる光だ。

 

「ま、まて! パンドラの目的は何?! 何でジュエルシードを集めるの!?」

 私は傷ついた腕を押さえながら叫ぶも、この質問は完全シカトされた。

 ……が、消える寸前に、兵部が意味深な一言を残していった。

 

「……今後、()()()()()()に進むのかね、オレンジヘアー」

 

 

 えっ。

 

 

 私の知る世界って……それって……

 

 

 

 #################

 

 

 

 その後、緊急要請を受けたバベルのレスキューによって、私と高町なのはは病院に担ぎ込まれた。

 幸いにも、私の傷は腱や骨には達しておらず、後遺症になることはなさそう。

 なのはも、直ぐに目を覚まし、念のため検査を受けた。

 

「なのは! ごめん! 到着が遅くなって……」

 病室で検査待ちしている横に、フェレットが座っていた。ユーノくんだ。

 

「ううん、ユーノくん悪くないよ。私が、ユーノくんの制止を振切って、ジュエルシード回収にいっちゃったから……」

 うつむくなのは。

 私も、なのはと、それとユーノにも謝罪した。

 

「ごめん! 大人がついていながら、なのはちゃんを守れなかった……こんな怪我までさせてしまって」

「ううん! 私……あの娘が何か抱えてるような気がして……何かあの娘の力になりたい」

 あの娘……フェイトのことね。

 

「なのはちゃん。ジュエルシード集めだけど、パンドラが裏で繋がってるのがわかった関係上、バベルに全部任せることも出来るわよ……?」

「いえ、私にもやらせてください。それに、あの娘も何で集めているのか、ちゃんと確かめたいんです」

 

 でしょうね。そういうと思った。

 なのはは、言葉を続けた。

 

「それには、私ももっともっと強くなりたい……。ユーノくん、もっと上手な魔法の使い方教えて!」

 

 

―続く―

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