転生先は超能力少女たちの多重クロス世界でした   作:黒片大豆

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【オリジナル主人公紹介】
神之原イオナ(21)

超度6のパイロキネシスのB.A.B.E.L.特務エスパー。
コードネームは「ザ・オレンジヘアー」。能力使うと、なぜか髪の毛が『オレンジ色』になることが由来。

いわゆる『転生者』であり、この世界が『多重クロスオーバー』世界であることを理解している。


【第1話】原作未明のファーストコンタクト【前編】

「……居ないな……」

 

 神保町にある『倉田ビル』。ビル全体が彼女の住まい兼、蔵書置き場。

 前世の知識として持っていたが……ガチの蔵書狂(ビブリオマニア)の部屋は、まさに「本の密林(ジャングル)」だった。

 

 私は、家主が留守のこのビル4階に上がる階段で、バベルの通信機を拾った。こんなとこに落ちてるってことは、彼女のもので間違いないだろう。見たところバッテリーが切れている。

 ちなみに、ビル入り口の戸締まりはされてなかった。完全解放でご自由にどうぞ状態だったので、ザカザカと本をかき分けお邪魔した次第だ。

 そして4階には、もうひとつの連絡手段である黒電話の受話器が落ちてぶら下がっていた。これでは電話連絡すら不可能だ。

 

「てーことは。神保町を探せば居るわね」

 

 私は黒のライダースーツのポケットから、充電バッテリー取り出し、拾った通信機を充電し始めた。

 あ、ライダースーツは私の仕事着(ユニフォーム)。前世は根暗オタクやってましたけど、能力者として認められたこの世界。だいぶ趣味嗜好が変わりましたなぁ。

 

 さて、ザ・ペーパーこと『読子・リードマン』でも探しに、町に繰り出しますか。

 

 

 ##################

 

 

 すぐ見つかった。

 

 少なくない雑踏の中であるが、尋常じゃない数の本を抱えた女性が信号待ちしてた。遠目でもはっきりわかる。

 彼女は気に入った本でも見つかったのか、法悦の表情を浮かべ心ここに有らずといった感じだ。

 

「読子・リードマンさんですね?」

「……ふぇ?」

 

 黒縁めがねの童顔でボサボサなロングヘアー。

 少し小柄な体型ではあるが、胸はしっかりある。

 それでいて、買ったばかりの数多の本を両手に抱えて、悦に入ってる。

 

 間違えようがない。

 

 私はバベルの身分証を提示しながら話しかけた。

 

「特務エスパー『オレンジヘアー』、神之原イオナです。ザ・ペーパー、大英図書館が全く連絡取れないって、少し騒ぎになってましたよ」

「ふぇ……えええええええ?? でも通信機は鳴ってないし、電話もかかってきてませんよ?」

「……通信機は電池切れ! 電話の受話器は外れてました!!」

 

 ほんと、のんびりした人だ。こういう人は、こちらからハッキリと強く用件を伝えないといけない。ペースの主導権を握るのに限る。

 

「ええええ! ど、ど、どうしましょう私、命令違反になっちゃうんでしょうか……」

「とりあえず。通信機は充電しておきました。すぐにでも折り返し連絡して、理由(ワケ)を話したほうが……」

 

 

 ビーッ!! ビーッ!! ビーッ!!

 

 

 突然、激しい警告音が通信機から鳴り響いた。

 読子・リードマンの通信機と一緒に、私の通信機も鳴った。緊急事態宣言(エマージェンシーコール)だった。

 

『特務エスパーに緊急連絡!!予知能力(プレコグ)が、小型飛行機の墜落事故を予知しました! 発生確率は89%!』

 

 バベルが誇る予知能力者たちによる、事故の未然の防止策。事前に事故がわかっていれれば、被害を最小限に止めること出来る。

 

 例えば、飛行機事故の場合、

 ・ 墜落現場の民間人等の待避

 ・ 念動力(サイコキネシス)などを使った、物理的な墜落阻止

 ・ そもそも、事故が起こる飛行機を飛ばさせない

 

 など対処を行える。

 

『本事故の発生予定時刻は……え、い、1分後!!』

 

 おっと? どれもこれも何も対処出来ないぞ?

 緊急連絡を告げるオペレーターにも焦りが感じられる。

 さらに発せられた墜落事故現場には耳を疑った。

 

『場所は、神保町! 駅前交差点です!』

 

 

 ここやん。

 

 

 ゴォォォォッ!!

 

 

 気づいたら上空に、1機の小型飛行機が激しいエンジン音を響かせ旋回していた。だいぶ高度が低い。

 飛行機の故障か、パイロットトラブルか。今にも墜落してきそうな雰囲気だ。

 

 

 まずい。なんもできん。

 時間もなければ人手もない。

 やるだけのことはやってみるけど、

 私の炎を操る能力(パイロキネシス)は、人命救助向きじゃない!

 

 強力な念動力者(サイコキノ)でもいれば、話は違うのだか……

 

「ひ、飛行機が落ちてくるんですか?」

 

 いた。いたよ。

 

「ザ・ペーパーっ!!お願いっ!!」

 

 私は彼女が引いていたカバンを指差した。私はそのカバンに何が入っているのか知っている。

 そして、彼女が何処まで出来るかを知っている。

 

「神保町を……本屋を守りたかったら、その『紙』で小型機を止めてっ!!」

「は、はひっ!!」

 

「本」を守ってほしいという言葉に感化されたのか、先ほどとは打ってかわって彼女の行動は早かった。

 彼女はカバンを蹴り開けると、中から大量の用紙が散乱した。するとそれらは数多の大蛇のように連なり動き出した。

 一部は交差点に突き刺さり、一方は、周囲のビルの壁にめり込んだ。

 無数の紙が繋がり、それらはあっという間に、巨大なネットを呈した。神保町交差点の上部に紙製の取り網が張られた。

 

「飛行機が墜落しますっ!!皆さん逃げて──!!!」

 

 私は、やれることがないので、声を張り上げ一般人の待避に専念していた。明らかに異音を発する、低空飛行する機体と相まって、蜘蛛の子を散らすように、人々は交差点から離れていった。

 

 その次の瞬間、飛行機のエンジンが爆発した。本体が炎に包まれ、飛行機は真っ直ぐに落ちてきた。

 

 

 ズボォォン!

 

 

 しかし飛行機は、地面に叩きつけられることなく、紙製のネットに包まれた。豪速球を受け止めたキャッチャーミットの音を何十倍も派手にしたような音が街中に響いた。

 紙製とは思えない強度と剛性。紙よりも先に、根本の地面やビルにつながる部分が壊れそうなくらいだ。

 そのまま小型機は、ゆっくりと道路に下ろされた。

 これが、紙を操る念動力者(サイコキノ)(※この世界ではこういう分類をされている)、『ザ・ペーパー』こと読子・リードマンの力である。

 

 しかし、まだ予断が許されない。エンジンから火が出ている。また、操縦者の安否も問題だ。

 

「炎がっ!紙に燃えちゃいますぅ!」

「そこは私に任せて!!」

 

 私の本領発揮の時間だ。私が両手をかざして、炎を捏ね繰り回すイメージを描いた。

 私の髪がオレンジ色に変わっていった。能力を出すと髪の毛が何故かオレンジ色になる。コードネーム『ザ・オレンジヘアー』の由来だ。

 

「よっと」

 

 炎を「消す」ことは、私は出来ないが、『操る』ことはできる。なので、エンジンから出る炎を、コクピットや周囲に広げず、集め、何もない上空に放出した。炎は真っ直ぐに伸び、火柱となった。

 エンジンは爆発しているが、爆発のたびに火柱の高さが伸びるだけで、周辺への影響は抑えられている。

 

(よしっ! あとはパイロットの安否……は、彼女たちに任せましょ)

 

「お待たせ!」

 

 女の子の声が響いた。神保町駅の屋根には、女の子3人分のシルエットが映えていた。

 

 赤茶色のショートヘアーの女の子。

 黒髪でロングヘアー、メガネとベレー帽の女の子。

 薄い紫色の髪のカールヘアーと、こちらもベレー帽の女の子。

 

 ミニスカートのお揃いの制服の彼女たちは、何やらポーズを取っていた。彼女たちなりの「決まり」らしい。

 

「ザ・チルドレン、参上!」

 

「……っとっと、うわっ!!」

 

 突如、私の目の前に男の人が降ってきて、派手に尻餅をついた。よく知った顔馴染み。

 ザ・チルドレンの子守り……もとい、担当主任の『皆本浩一』だ。あまりに急な要請だったため、チルドレンの瞬間移動(テレポーテーション)で一緒に飛ばされたのだろう。

 

「よ、皆本くんお疲れ」

 私は皆本に労いの言葉を掛けた。

「や、やあ神之原さん。……こら葵!急に跳躍()ばすなと何度も言ってるじゃないか!」

 

「ちょっと皆本! 事故対応全部終わってるじゃん!」

「まって薫ちゃん、まだパイロットが中にいるわ」

「ほんなら、ウチの出番やな!」

 

 赤茶毛の娘『明石薫』が叫び、紫髪の『三宮紫穂』が状況分析し、黒髪『野上葵』が素早く行動に移した。

 

 いつの間にか、3人とも姿を消した。と思ったら、私たちの足元に、『気を失っているパイロットと共に』、いきなり現れた。

 

 いつみても、葵の瞬間移動(テレポーテーション)の速さと正確さに驚かされる。

 

「……大変、この人、心臓が止まってるわ」

 

 紫穂は感応能力(サイコメトリー)を応用し、パイロットの様態を手早く確認。

 

「だったら、あたしの力でっ!サイキックぅ心臓マッサージっ!」

 

 念動力者(サイコキノ)の葵が、適切な力で直接心臓マッサージを行った。

 

「いいわ葵ちゃん、息を吹き替えした!」

「よっしゃっ!一丁あがりっ!」

 

 驚くほどの連携プレイ。この少女たちが、バベルが誇る日本の宝、超度7の『ザ・チルドレン』であった。

 

 

―続く―

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