1話1話が長いため、前中後編の3部に分けました。
以前にお読みいただいているかたには内容が重複しております。
中身は変わっておりません。ご承知おきください・・・・・。
今回のチルドレンたちの対応は、奇跡的なレベルで上手く進んだ。
いつもなら飛行機の1つや2つ、爆発してもおかしくない。毎回、報告書を書き上げる皆本には同情する。
しかし今回は、人命救助も一段落し、飛行機火災も落ち着いてきた。
私は火種となる熱を、燃料タンクから距離をとるよう操作した。
バベルの処理班や、救急車なども既に駆けつけ、事後処理が始まっていた
「あーあ。せっかく出動したのに、出番無しかー」
「まあ今回は、発生時間が余裕無さすぎやし」
文句を垂れる明石薫を、野上葵が宥める。
「でも、墜落する飛行機を
三宮紫穂が話しかけてきた。
ザ・チルドレンとは何度も共同で仕事しており、よく知った仲だ。
「あ、いや今回は私じゃなく……」
「あのぅー。私はもう帰っても大丈夫でしょうかぁ?」
なんとも気の抜ける声の主。
先ほどまでの活躍が嘘のよう。
「こ、困ります読子さん。いくら非常勤といっても、特務エスパーは事後報告の義務が……」
皆本が焦ってる。この事故の解決に一番寄与した特務エスパー(非常勤)が、何も報告無しに帰ろうとしているのだ。
読子・リードマンっぽいといえばそうだが……。
「非常勤の特務エスパーなんていたのね」
「あのオネーチャン、案外いい体つきしてるなぁ……グフフ」
「ほんま、大人って大変やな、毎回毎回、報告書なんて作るもんや無いって」
うん、そうだね。君たちの『活躍』は全て皆本が報告書を作ってくれてるんだよザ・チルドレン。しっかり労ってあげてね。
私は、読子さんと皆本の間に割って入る。
「まあまあ、お二人様。今回の件は私も当事者だから、報告書は私がまとめるわ」
さっきまで困り顔だった読子さんが、分かりやすく明るくなった。
「わあ、助かりました……私、早くこの子達をお家に連れて帰りたくて……」
この子達、というのは、先ほど抱えていた本の事だろう。
「本当にいいんですか?」
「まあ任せてよ、ザ・ペーパー」
本音を言うと超絶ヤダ。
(でも、ここで読子・リードマンに恩を売っておくのも手だな……)
この『多重クロスオーバー』世界を生き抜くには、手広く味方をつけておいた方がいい。
私の直感ではあるけどね。
そんなことを考えながら事後処理が行われている現場をみた瞬間、
『 嫌 な 違 和 感 を 覚 え た 』
同時に、なんとも奇妙な、軽い耳鳴りと目眩がした。
「んっ?」
「えっ」
「いつっ!」
「? どうした?薫、葵、紫穂?」
チルドレンたちの小さな異変に、皆本が気になり声をかけた。
「いや、ちょっと頭痛が……」
「薫ちゃんも? 私もよ」
「え? 紫穂もか? ウチは少し耳鳴りがあんねん」
ザ・チルドレンたちも先ほどの違和感に充てられたのだろう。僅かな体調不良を訴えた。
「皆本くん。私も今、軽く目眩がしたわ」
「私もちょっとフラってしました……」
私も念のため体調を伝えたら、読子さんも同じような目眩を起こしていた。
この場で何も感じていないのは、皆本浩一──
「念のため救護班に診てもらおう。高レベルエスパーは頭痛が命に関わることがある」
皆本が、救護班のほうを向いた。
私は、ふと空を見上げ。
そして、違和感の原因を感じ取った。
空がいつの間にか、黒い雲に覆われていたのだ。
そして、救護班や、現場の事故処理班。警察たちまでも。
みんな、意識を失って倒れていた。
(これって……もしかして!)
私は何となく、この雰囲気に覚えがあった。
そしてそれが確実のものとなった。
突如として、墜落した飛行機が黒く不気味に輝きだしたのだ。
「うわぁっ!なんだぁ!?」
「! 皆本くん、離れて!」
私は叫んだ。
チルドレンたちも、違和感が何か敵の攻撃ではと警戒した。
読子さんも、右手に紙を扇状に広げている。
私も、ポケットからライターを取り出した。火種があれば、私の
そして『それ』は姿を表した。
『ザケンナー!!』
黒い光に取り込まれた小型飛行機から手足が生え、不細工な顔が現れ、雄叫びをあげた。
(ザケンナー!! なんでこんなとこにっ!)
「うおぉぉ?なんだこいつ!?怪獣??」
「え、え? 何? なんですかぁ??」
間髪いれず、その化物……ザケンナーが、私たちに向かって攻撃を仕掛けてきた。振り上げた腕を叩きつけてきたのだ。
ガキィィン!
しかしザケンナーの腕は、超硬と化した『紙』に防がれた。読子・リードマンが咄嗟に防御体制を取っていた。
そしてザケンナーの真横に、
「いきなり攻撃かよ! なら、こっちもお返しだ!」
薫が右手を付き出した。
「サイキック! トルネードっ!!」
小型機と同程度の巨体が吹き飛び、ビルの壁に激突した。ビルの壁が崩れ派手に土埃を上げた。
「へへん! どうだ!」
しかし次の瞬間、薫たち目掛けてザケンナーが瓦礫から飛び出してきた。元々が飛行機のためか、空を滑空する速度は、目で追えないほど早かった。
『ザケンナー!!』
「まずい! 避けて!」
「あかん! 早すぎて避けきれん……」
「サイキックシールドっ……間に合わな……」
『ルミナス! ハーティエル、アンクション!!』
光の輪が、ザケンナーを虹色の光で包みこんだ、するとザケンナーの動きが急に止まった。
ドゴォォォン!!
と同時に、真横に『黒』と『白』の閃光が走った。
実際には、二人の少女がザケンナーに『飛び蹴り』をぶっぱなしていた。
ザケンナーは派手に吹っ飛び、今度はビル1棟をなぎ倒した。
ザケンナーを蹴り跳ばした『黒』と『白』。そして、虹色の光を放った、『黄色』の髪の少女たち。
彼女らは可愛らしいフリルな衣装を靡かせ、私たちの目の前に着地した。
私はもちろん、彼女たちに見覚えがあった。
「光の使者、キュアブラック!」
「光の使者、キュアホワイト!」
「「ふたりはプリキュアっ!!!」」
「闇の力の僕たちよ!」「とっととお家へ帰んなさいっ!」
「輝く命! シャイニールミナス! 光の心と光の意志、すべてをひとつにするために!」
―続く―