転生先は超能力少女たちの多重クロス世界でした   作:黒片大豆

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一人でも読んでくれている人が居る限り、続けていく所存。


【第9話】-とある書物の空想逸話(フェアリーテイル)-【その3】

「……どっひゃああああああっ!!」

 ド派手にふっ飛ばされた地下書庫。

 爆発はまるで噴火のごとく。地上にも届いた。

 

 私はそうね、言う慣れば『高橋留○子飛び』状態で地上に飛び出したわ。

 

「……こんのっ!」

 我ながら情けない格好であったが、しかし、油断などできない。ギャグ漫画よろしく地面に人型の穴は開くこと無く。私は体制を立て直して、地面に着地した。

 

 薫ちゃんと葵ちゃん、それに読子さんは、無事かしら。

 

 派手に舞う土埃。

 地上には、バベルと警備員(アンチスキル)の面々が現場検証中だった。一斉に彼ら全員が、爆発の発生源を見据えた。

 

 その刹那。

 そこから飛び出してきたのは……小型の滑空マシンだ。

 

「はーっはっはっはっは!」

 なんとも耳障りな高笑い。

 

「な、なんですのっ!」

 白井黒子さんが、突然のことに一瞬呆気にとられた。

「爆発!? みなさん、一旦退避を……」

 非常事態を察した皆本くんが、全員に退避の音頭を取った。

 

「みんなっ! 『()()』は』偉人よっ!!」

 

 私は声を張り、この場全員の人物に警告を発した。

 

「……ちっ」

 私の言葉にいち早く反応したのは、ドレイクさんだ。

 彼は素早く、携えていた機銃を構え、ふわりと浮くその偉人──オットー・リリエンタールの滑空機(グライダー)に向けて斉射した。

 

「きゃあああっ!! い、いきなり発砲だなんて! 非常識すぎますわ!」

 近くに立っていた黒子さんが、マシンガンの音に驚いて耳をふさいでいた。

 

「……常識が通じない相手だ」

 ドレイクさんが放った銃撃は、しかし、そのグライダーには全く当たらなかった。この葉が風に舞う如く、ゆらゆらとしかし機敏に、弾丸はすべて避けられた。

 

「はっ! 風が弾丸に当たるものかっ!」

 そのグライダーから声がした。オットーの挑発だろう。さあ、もっと撃ってこいと言わんばかりに、焼けた図書館の上空を旋回していた。

 

 さすが、『偉人』だ。通常武器では一筋縄では行かない。

 ……だけどさ、『この世界』では、あんたらの世界と違って、偉人並みの『異能力者』は山ほどいる。それこそ、いま眼科に据えている『私』なんかも……ねっ! 

 

 私は手袋で火種を作り出し、それを一気に燃え上がらせ……。

 

「……ドレイクんさああああああああん! 本を奪われましたっ」

 それをぶっ放そうとした瞬間、爆発があった土埃から、彼女が目の前に飛び出してきた。

 見事に砂にまみれていた。黒髪が土まみれた。

 おおいっ! タイミングよっ! 

 

「もう見えている、ザ・ペーパー」

 半分泣きそうな読子さんのほうは全く向かず、ドレイクは空を舞う偉人から目をそらさなかった。

 

「こんおおおおおおおおおっ!」

 次いで、読子さんが飛びだしてきたところから現れたのは、薫ちゃんと葵ちゃん。こちらも違わず土埃まみれ。

 

「逃がすもんかっ! サイキックぅ……トルネードっ!」

 薫ちゃんが両手から再度、衝撃波が放たれた。しかし、オットーの乗る機械には当たらなかった。

 ふわふわと、しかし機敏に動くオットー・リリエンタールを捉えるには至らなかったのだ。

 

「はっはっは! 風は滑空王の味方だ!」

 私達をバカにするかのごとく、空中を素早く動き回る。そうね、いうなれば『五月の蠅』。

 

「くっ! 早すぎて捉えられませんわ!」

 手に金属の矢を握ったまま、白井黒子が嘆いていた。

 

「ほな、これでどうや!」

 すると、葵ちゃんが近場に転がっていた岩を転移させた。ただ、数は一個二個ではない。

 

 大量の岩が、滑空王に襲いかかる……しかし、奴には当たらなかった。

 なんてやつ。僅かな空気の流れを読んでいるのか!? 

 

 私も何か迎撃をしようと、炎を操る能力(パイロキネシス)を改めて発現させた……その時。

 

「まずい、逃げられる!」

 私は、オットーの機械から異常な熱源を感知した。ブーストみたいのが作動するのだろうか。

 

 すると、私の言葉にいち早く対応してくれたのが、皆本くん。

 

「薫っ! 物理攻撃は避けられる! 重力波だっ!」

「……オッケー、皆本っ! サイキックぅグラビティープレ……!」

 

 なるほど、物理的な攻撃を読まれてしまう。なら、風が鑑賞しない重力攻撃ならっ! 

 多分、皆本くんの選択は正しかったのだろう……横から『邪魔』が入らなければ。

 

「おわっ!!」

「な、んだあっ!」

「きゃああっ!」

 

 突然、巨大な氷の柱が生えてきた。と、同時に、凍てつく寒さが肌を刺す。

 この能力には、嫌というほど覚えがあった。

 

「……あのパーカー女かっ!!」

 私があたりを見渡すと、ソイツはいた。

 両手をかざして、不敵な笑みを浮かべこちらに向いていた。

 

「オットー・リリエンタール、遊び過ぎだぞ」

「ふん!!」

 すると、オットーのマシンから何か「ニョキ」と生えた。私が感知した熱源は、その筒状のものからであった。

 

(いけない! ブースターだ!)

 その一瞬に、私は能力発現させた。

 そして本来、ブースターによって一気に加速するはずだったエンジンは不発に終わり、停止した……『片方だけ』だが。

 

「だめ! 片方しか止められないっ!」

 オットーは、さすがドイツの滑空王と呼ばれただけある。エンジンが片側だけでも、ブースターに点火しここからの脱出を試みたのだ。

 

(なら、これでっ!)

 ブースターが点火し、奴はこの場から飛び出さんとした。そこを私は、咄嗟に、ブースターから上がる僅かな炎を『伸ばして掴んだ』。

 私は炎を固くさせた。そのまま、炎を辿ってエンジン部まで固めるつもりだったんだけど……。

 

「あ、やべ」

 紐みたいに伸ばし、駆動部のお尻部分につながる炎。私は、それに手が絡まった状態のまま、空に放り出された。能力が駆動部に干渉される前に、奴は飛び立ったのだ。

 

 そして、私はさらに想定外のことを受ける。

 

「わたしの本!! 返してくださいっ!!!!!」

 

 がしっ! と、私の足にしがみついた人物がいたのだ。

 読子=リードマンの、本への執着の異様さを忘れていたわ。

 

(……むぐううううう! 肩がっ! 死ぬっ!!)

 私は……私達は、オットーの滑空機に一本の紐で繋がれた状態で、高速移動する空に飛び立つことになった。

 

 両腕、はずれる。死ぬ。

 

「何だ貴様らっ! ええい! 何処かに叩きつけてやる」

 まずい! 流石に感づかれた。

 

 そのままオットーは、超加速で移動した。

 その場所は……学園都市の中央、商業施設の近く。

 

 ビル群が立ち並び、その他に大きな建物も多い。

 

 そうそう。例えば、発電用の風車とか。

 

 

 その風車が、まさに眼下に迫ってきた。オットーは、ぶら下がっているだけの私達を、その風車に叩きつけるつもりだろう。

 

(万事休す!!)

 両腕は塞がり、しかも足元には読子さんがしがみついている。

 火種を使って炎の壁を作ろうにも、それができない構図。

 

 なにより早すぎて、そんなこと構える余裕すら無い。

 そして私達は、風車が回る中心に叩きつけられた。

 

 

 

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