転生先は超能力少女たちの多重クロス世界でした   作:黒片大豆

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【第9話】-とある書物の空想逸話(フェアリーテイル)-【その4】

 激しい激突音が脳内に響く。

 体が強く壁に当たり、即死級の衝撃を受けることになる。

 

 はずだったが。

 

 その衝突の寸前。私達は、『紙の球体』に包まれた。それは固く、風車の中央に叩きつけられるも、壊れたのは風車側だった。

 

「た……助かった」

 読子さんの能力だ。彼女はあの瞬間、紙で私達を包み、守ってくれた。

 

 紙でできた壁はほどなく、サラサラと崩れ、散らばった。

 

 私達は、折れた風車の上に立っていた。命綱なしで立つには少々冷や汗ものであるが、正直、そんなこと言ってられない。

 

「くっそ!」

 やつに逃げられたことも悔しかったが、いま私達の眼下では大騒ぎである。

 なんせ、風車が一本折れて落下したのだから。

 

「一般の人、巻き込まれてないかしら」

「私の本〜〜(泣」

 

 ……まあ、この人は、そっちよね。

 

 しかし、遠目で見てみると、まだ奴は学園都市の上空を旋回していた。

 

 本を持ってすぐ逃げられるとばかり思っていたが、どうも、何かを待っているようだ。

 フード女の命令かしら。

 

 すると、「バババババ」と、風を切る音。どうやら、自衛隊か何かのヘリが応戦にきたらしい。

 

「……えええええっ!!」

 いきなり彼ら、機関銃をぶっ放してる! ちょっとちょっと、市街地よここ!? 

 しかも、明らかに周りの建物を巻き込んでいるじゃない! 

 

 なんとか止めたいけど。けど、そんなことこの位置では不可能だ。

 

 ……ああんもう! しかも小回りがきくオットーに翻弄されて、ただただ周囲に被害を被っているだけじゃない! 

 

 くう、飛翔系の能力を持っている人がほしい! 

 

 という私の粗末な願いは、叶えられた。

 

 

「ディバイン……バスターっ!」

 

 

 私の視角から桃色の光が放たれた。しかし、初撃はオットーに紙一重で避けられてしまう。

 

『イオナさん!』

「なのはちゃん! ……そうか。今日もあなた学園都市(ここ)に来てたのね!」

「ふええええっ! なんですかこれ、声が頭に……」

 

 なのはちゃんのテレパスだ。私の頭……と、ついでに読子さんの頭に響いてきた。

 同時に、私は、ビル群を縫うように空を飛んでいたなのはちゃんを視認した。

 

『いきなり攻撃が始まっちゃって……私、なんとかしてみます!』

「だめ! そいつは大振りな攻撃は当たらない!」

 

 私の警告が届いたのかは解らなかったが、なのはちゃんとオットー・リリエンタールが空中戦をおっぱじめた。

 しかし、彼女の動きはぎこちなく、結果、直ぐにオットーに取り付かれた。

 

 やはり、『人間』を相手取れるほど、なのはちゃんも覚悟が出来ていない。

 

『おのれ魔女め! そんな飛び方、許せん!』

『きゃあああっ!!』

 なのはちゃんのテレパスに乗って、オットーの声も脳内に響いた。

 あいつ! 子供だろうが、お構いなしかっ! 

 

「あぶないっ!」

 ここで叫んでも無意味なことはわかっていたが、叫ばずにはいられなかった。

 

 だが、それは杞憂に終わった。

 

「サイキックうう! ブイの字切りっ!!」

 Vの字型の衝撃波が、オットーを襲った。彼はそれにいち早く反応し、ひらりと避けられてしまったが、しかしそれによって、なのはちゃんが開放された。

 

 ……BABELのヘリだ! 皆本くんたちが来てくれた。

 

 そしてそのヘリに追従して、米国のエージェントのヘリ軍も向かってきていた……いやいや、飛んでる機数よ。

 一個師団分くらい来てないか? 夜の空に、ヘリのライトが眩しい。

 

「大丈夫ですか!」

 BABELのヘリが私達に近づいた。扉から、安全帯(ハーネス)を付けて、薫ちゃんと皆本くんが身を乗り出していた。

 

「皆本くん、私達の救助は後で大丈夫! それより、民間人の退避を!」

「……はい、判りました!」

 そういって、BABELのヘリはいったん私達から離れ、下方に降りていった。

 

 そのとき、なんか頭に、「情景」が浮かんだ。

 何かしら違和感。

 

 数多の米軍のヘリが向かってくる。そのとき、『何が起こったか』私は知っているはず。

 

 ……! まずい! 

 

 既に時は遅かった。

 米軍ヘリが向かってきているが、途中の建物の上に、アイツがいた。

 

 平賀源内だ。

 

 激しい、紫色の雷鳴が轟いた。

 周囲の電気が、平賀源内に吸収されているのだ。辺り一帯が停電になるとともに、轟音に合わせて米国のヘリが爆発していった。

 

 またたく間に全て轟沈したのがわかった。

 そして、BABELのヘリもそれは例外でなかった。

 ……けど、流石は『彼女たち』。そういうことには、慣れている。

 

『僕達は大丈夫です!』

 通信機から、彼女たちは無事の連絡が入った。私は胸をなでおろした。

 

「今のは多分、平賀源内ね」

 安否の通信のついでに、私の意見を伝えた。

『ですね……くそっ! 電気がないと、偉人が暗闇に紛れて逃げてしまう』

 

 そう、やつのせいで町中の電気が死んでいる。そのため、今現在、オットーの位置も、なにもわからない。

 

 かろうじて、未だ「バリバリ」と電気を帯びたサムライ……平賀源内が、遠くで紫色に光っている。

 

「……む??」

 すると、その光に動きがあった。

 いや、『動かされた』が正しい表現だ。

 

 やつが立っていた場所に、電撃が浴びせられた。それは青白く、彼の電撃とは少し性質が異なっているように思えた。

 

 私はその光り方を知っている。

 

 常盤台の超電磁砲(レールガン)……。

 

 御坂美琴と、平賀源内の交戦が始まったのだった。

 

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