転生先は超能力少女たちの多重クロス世界でした   作:黒片大豆

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【第9話】-とある書物の空想逸話(フェアリーテイル)-【その7】

「……! なのはちゃん!」

 私はとっさに、いま現状で一番『やばそう』な状況の子の名前を叫んだ。

 

 いま、フードの女は『力』を集めようとしている。だとすると、ここで一番の力が詰まっているものは──ジュエルシードだ。

 

 暴走寸前のジュエルシードは、フェイトの決死の行動によって抑えられることを、私は原作(アニメ)で知っている。けど、今の現状は原作とは全く異なる。

 

「なのはーっ!」

「なのははん!」

「なのはちゃん!」

 

 ザ・チルドレンたちも、なのはちゃんに加勢しようと集まってきた。皆本くんの指導もあるのだろう。

 

 するとそこに、激しい電撃が走る。

 

(……源内! もうこんなところまで!)

 

 先程まで、超電磁砲(レールガン)と遠くで戦っていたと思っていたのだが。

 

『いっただろ? 集めてるんだって』

「お前の仕業かっ!」

 

 あのフード女の声が脳内に響く。神出鬼没なコイツの能力によるものなのだろうか。

 

「お姉さまっ! 危険すぎます!!」

「黒子っ!」

 

 その平賀源内の出現と同時に、白井黒子のテレポートに乗って御坂美琴も現れた。いま平賀源内とは少し距離を取って、出方を伺っているといったところか。

 

「みんなっ!!」

 

 私は、いまこの場に集まった能力者に大声で叫んだ。もちろん実際の声は聞こえないだろうが、いま、あのパーカー女のテレパス(正確には、ユーノくんの力を乗っ取られている)が様々な人に繋がっているはずだ。

 

「避難誘導をおねがい! 敵が多すぎる!!」

「……くっ! ザ・チルドレン! 聞いてのとおりだ、被害の拡大を抑えることを優先するんだ!」

 

 私の声に素早く対応してくれたのが司令塔の皆本くん。こういうときに大人は助かる。

 

「じゅえるしーど……お、あれのことか?」

 

 しかし私の懇願は、聞こえてほしくない奴にも聞こえていた。偉人、平賀源内だ。

 そして、あの「生き物」にも。

 

『すごい、なんて魔力だ。あれがジュエルシード……興味深い』

「なあキュゥべえ! どういうことだよ! あんたの言う通りに逃げたんたぞ!」

「飛んでるあの子たち、能力者(エスパー)? それとも、彼女たちも魔法少女なの?」

 

 聞こえてきたのは、キュゥべえ、美樹さやか、そして鹿目まどかの会話だった。

 

「……危ない!」

 聞こえた方角に私が目をやると、その刹那、彼女たちの近くの車が炎に煽られ……大爆発した。

 距離も時間も、私の能力は間に合わなかった。なすすべなく、二人と一匹は炎に巻かれた……かに見えた。

 

 だが驚くことに、気付いたら離れた場所に二人は立っていた。もう一人の魔法少女とともに。

 

 暁美ほむらだ。

 

「え、え、何? 何?」

「ほむらちゃんが……助けてくれたの? あ、ありが……とう……」

「……」

 

 鹿目まどかの感謝の言葉。暁美ほむらは、一度は不愛想な顔で鹿目まどかを望むも、すぐに炎に包まれた町並みを一瞥した。

 そして彼女は呟いた。

 そう、それは私の思いと全く同じであった。

 

「なに、これ……こんなの、知らない」

 

 

 ***

 

 

 一方、別の場所からも声が聞こえてくる。その声の主たちも、私はよく知っている人物だった。

 

「なぎさ! ほのか! 逃げるメポ!!」

「でも! ハーティエルが!」

 

 そうか。彼女たちは学園都市に呼ばれたクレープ屋『タコカフェ』の手伝いで、こちらに来ていたんだった。

 しかし、返信していない彼女たちは、一般市民(ノーマル)と遜色ない。

 

 そんな彼女たちに、無常にもビルの壁が剥がれ落ちてきた。

 

「あっ──」

「サイキック! シールドっ!!」

 いち早く反応してくれたのは、明石薫だった。彼女の念動力がコンクリの塊を弾き返した。

 

「オネーチャンたち、無事かっ!」

「あ、ありがとう!」

「さあ、早く安全な場所に! ここはアブねぇ!」

 

 

 まさにその真上だ。高町なのはと、フェイト=テスタロッサの魔力が激しくぶつかっていた。

 ちょうど、3つのジュエルシードを中心として、魔法合戦が行われている。

 

「まずい! ジュエルシードに力が……」

 

 異常な力の集合体のそれに、彼女たちの魔法がぶつかる。

 私は、ジュエルシードの暴走が世界を滅ぼすほどの力を持つことを知っている。

 

 そしてぶつかる力は、私の知る『原作』をはるかに凌駕することになる。

 

「なるほど、これが和尚の言っていたやつか」

 

 激しい放電が、ビル群を抜けて走った。

 

「な、何している平賀源内!」

「直接頭に響く……うっさいのぉ」

「聞こえてるのね平賀源内! だとしたら止めなさい! あの石は……」

「なあ、『オレンジヘアー』。儂らの『目的』もしってるんだろ?」

 

 その時私はハッとした。

 そうだった。この「偉人軍団」の最終目的を考えれば、使えるもの(ジュエルシード)を利用しない道理はない。

 

 さらに、最悪な事態にことは進む。

 

「こんの! 私を無視するな!」

 御坂美琴だ。プライドが高い彼女が、平賀源内に向かって放電を放った。

 

 だが、その標的は大きく外れ、御坂美琴の電撃は、ジュエルシードに吸い込まれていった。

 

「な!! なにこれ……吸われている!!」

 

(ジュエルシードが……力を、更に蓄えている!?)

 

 傘下に繰り広げられる状況から、私はそう判断した。理由は判らない。何が起こるかも不明だ。だが、ジュエルシードが何故か力を蓄えている。

 

「お、いいね気づいた? もう少し暴れるか。ほれ」

 

 あのパーカー女の声。

 

 すると、地面から巨大な氷柱が召喚された。それはまっすぐ、御坂美琴に向かっていた。

 今、彼女の力はジュエルシードに向かっていっているため、電撃を使った退避行動が行えない

 

「やめろー!」

「あぶねぇ!!」

 そこに、明石薫が飛び込んできた。そして、彼女の衝撃波は大きく地面ごと、氷の攻撃を吹き飛ばした。

 

「ほい、これで十分かな」

 

 すると、その発した衝撃波を介して、薫ちゃんの力もジュエルシードに向かっていった。

 

「な……力が、吸われる!」

「と、止められない!」

「力が吸われてる!」

 

 そして上空では、本来争っていたはずの彼女たちにも異変が起きていた。

 

「なにこれ、魔力が……レイジングハートっ!?」

『Caution. Emergency』

「クッ……バルディッシュ!」

『Unknown event has occurred』

「ジュエルシードの……暴走!? フェイト、逃げてっ!」

 

 地上でアルフが呼びかける。しかし、激しい雷鳴に強烈な衝撃波が飛び交う状況だ。まともに聞こえているとは思えない。

 

「あっはっは! やったぞ!」

 そう、テレパスを通じ聞こえる、コイツの声を除いて。

 

 

「混ざれ! そして世界を──『この世界』を止める力を示せ!!」

 

 

 テレパスでも、その声の方角はなんとなくわかった。私は、落下傘で無防備に落ちる状態ではあるが、体を捻り、そいつのいる方角を向いた。

 

 

 

『私』だった。

 

 

 

 激しい強風吹き荒れる中、フードは外れていた。

 真っ青な深い青の髪色ではあったが、そいつの顔は、私と全く同じ。

 瓜二つのものであった。

 

「──えっ、どういう──」

 

 

 そんな考察を行うスキなど全くなかった。

 

 刹那、激しい光が周囲を照らした。ジュエルシードから発せられたその光は、

 私達を一度に飲み込んだ。

 

 私も、ぶら下がる読子さんも。

 逃げ遅れたひとたちも。

 ジュエルシードに向かっていた人たちも。

 

 

『関係者』は全て、光の中に吸い込まれていったのだった。

 

 

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