転生先は超能力少女たちの多重クロス世界でした   作:黒片大豆

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【第9話】-とある書物の空想逸話(フェアリーテイル)-【Cパート】

「タイヤ、外装とも問題ないわ」

「……ですが、ガソリンが心もとないですね。ハイブリッド車で良かった。しばらく電気で動かすことになります」

 エンジンをかけながら、皆本くんが私に話しかけた。

 

 眼の前に広がるのは、ただただ、だだっ広い草原だった。

 

 私と皆本くんは、森林を背にして、一緒に『飛ばされた』BABELの車を点検していた。ザ・チルドレンたちが移動で使っている護送車だ。中には小さいながらも、休憩スペースが設けられている。

 

「人数確認しましたわ」

 白井黒子さんが、車の中から出てきた。比較的怪我が無かった彼女にも、現状把握を手伝ってもらっていたのだ。

 

「ありがとう、白井さん」

「……お姉様と、薫ちゃんは、しばらくゆっくりさせて上げてくださいな」

「……」

 

 あの時。

 

 私達は強烈な光に飲み込まれた。

 気づいたら『ここ』にいたのだ。

 

 明石薫と、御坂美琴は、力を吸われたためか過労で動けなくなっていた。

 

「薫はん……」

 野上葵は、二人を見ていてくれていた。身体の状態確認には、本当は三宮紫穂を頼りたかった。しかし、彼女は一緒でなかったのだ。

 

「レイジングハート……」

 高町なのはちゃんは、赤い玉を握りしめていた。『レイジングハート』が、先の戦いでヒビが入ったのだ。

「大丈夫、自己修復機能は生きているから、数日で直るはずさ」

 一緒に飛んできたユーノくんは、彼女を励ました。

 

 美墨なぎさは、黙って、ぎゅっと、ぬいぐるみ(メップル)を抱いている。

 一緒に飛ばされたと思われた雪城ほのかは、行方がわからなかった。

 

「さやかちゃん……私達、どうなっちゃんだろう」

「……わかんないけど……この人たちを信じよう」

 鹿目まどか、美樹さやかは手を取りあって励まし合っていた。

 そして、暁美ほむらも、見つからなかった。

 

「……」

 読子=リードマンも、流石にこの空気の中で読書に勤しむことは出来ていない。周囲を目配せしながら、ただただ黙っていた。

 

 

 

「日が、暮れそうね」

 日没までになんとかしたかったが、時間は止まってくれない。

 車が動くことだけでも収穫と思うしかない。

 

 夜になれば、何が起こるかわからない。少なくとも、ここは日本ではない。

 鬼が出るか蛇が出るか、はたまた、ファンタジーよろしく、竜や魔物が跋扈するのか。

 

 一体私達は、どこに飛ばされたのだろう。

 

 フード女の目的は一体なんだったのだろう。

 

 全く現状が理解できないまま、刻一刻と時は過ぎる。

 

 

「……くそ。無駄に輝きやがって……」

 

 日没を待たずに、私達の頭上には、月が顔を見せていた。

 しかしそれは、私達が望んだことのない月──。

 この月が、私達が飛ばされた場所を、「異世界」だと知らしめていた。

 

 紫と青に輝く、巨大な月が2つ。不気味に私達を見下ろしていたのだった。

 

 




【次回予告】
 明らかに異世界。
 日本の平和な治安が懐かしい。
 面影などなんのその。夜には野党に襲われそうになる。

 しかしそこに現れるは、『正義』を語る女の子と……赤ずきんを中心とした、3人組の少年少女……?

 見覚えあります存じ上げます。
 え、もしかしてこの異世界も……『多重クロス』ですあぁぁぁぁ!?

 強烈な魔法は野党を退けるも…次々現れる、ファンタジーものでしか見たことない、敵、敵、敵……。

 そして現れる、巨大な魔物。硬い鱗に覆われ、口から炎を吐くそれは、そう、ドラゴンだった。


【???】
「覚悟しなさい悪の手先め! 私の正義の拳、砕けるものなら砕いてみなさい!」

【???】
「これって、もしかして、『竜の血』?」

【???】
「黄昏よりも昏きもの……」


次回、
「二つの月が望む世界」

異世界編、開始。
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