(プリキュア キター(゚∀゚ 三 ゚∀゚)!!!)
内心、私の心は滅茶苦茶テンションあがってたけど、
正直、こうも異質なタイミングで巻き込まれると、如何ともし難い気持ちである。
「き、君たちは一体……?」
無論、皆本が彼女たちを知っている訳がない。
しかしプリキュアは皆本の質問には答えず、腰に提げたポシェットと会話していた。
「メップル! 意識を失ってない人いるんだけど!! どういうこと!?」
「そそ、そんなこと言われても、解らないものは解らないメポ!!」
「ブラック! ザケンナーがまた動き出します!」
「今は、ザケンナーを倒すことに専念しましょう!!」
「……あぁぁんもぅ、ありえないっ!」
『ザケンナー!!!』
飛行機のザケンナーが、崩壊したビルから這い出てきた。
「いくよ ホワイト! ルミナスはこの人たちを!」
「解りました!」
ブラックとホワイトが地面を蹴り、ザケンナーに向かって跳んでいった。彼女らのジャンプ力は、人間のそれを明らかに凌駕していた。
「す、すげぇパワーだ、キックであのデカブツを吹っ飛ばしたし……」
葵の
「あの人たちのパワーもスゴいけど、あの化物……いったい何なの!?」
紫穂もそこに合流した。
ザケンナーの正体を確かめようと、なんとか
「皆さん、できるだけ安全な場所に!」
腰まである金髪の女の子、『シャイニールミナス』が、私たちを待避させようとしていた。
私もこの場から逃げることを提案した。プリキュアなら負けないと、私なりの確信があったからだ。
「そうね、とにかく、あの化物はプリキュアに任せて、私たちは離れましょう! 意識不明の人たちも遠ざけないと!」
しかし、負けず嫌いなザ・チルドレンたちが真っ向から噛みついてきた。
「ふざけるなよイオナ! それに金髪のネーチャン! 一方的にやられて『はいすいませんでした』って、逃げられるわけないだろ!」
「え、え!」
ルミナスが、薫の剣幕にたじろいた。
「せやな、せめてあの怪力組のサポートくらいはせんとな!」
「わたしもふたりに同意よ。透視できないなりに戦い方はあるし、なにより、あれが何かを俄然知りたくなったわ」
葵と紫穂も薫の意見に乗った。彼女たちはザケンナーと戦うつもりた。
そこに皆本が割って入る。皆本は、ルミナスと私の意見に賛成らしい。
「おちつけ三人とも! こちらには倒れている人たちがいる。我々としては、人命救助が最優先だ!」
「なんだよ皆本! 皆本も尻尾巻いて逃げろってのか!」
「「きゃぁぁぁぁぁっ!!!」」
ズドォォン!
皆本と薫の口論が始まる直前、プリキュアの2人が、私たちの近くに落ちてきた。地面には小さなクレーターができていた。
プリキュアたちが吹き飛んできた方向を見ると、そこには、白髪で筋骨粒々な全身タイツ中年男性(マント付き)が立っていた。
(あれって確か……ドツクゾーンの四天王!!)
「ゆけっ! ザケンナー!! 伝説の戦士プリキュアにトドメをさせ!」
『ザケンナー!!』
黒タイツの男……サーキュラスがザケンナーに命令を下した。
飛行機ザケンナーが猛スピードで突っ込んでくる!!
「私が皆さんを守ります!!」
シャイニールミナスが、優しく自身のブローチに触れ、そして柔らかな虹の光が放たれた。
アニメでは一度も割れなかった、鉄壁のバリアだ。これでザケンナーの攻撃は弾かれ、
「……同じ手を食らうもんか! サイキック!グラビティプレスっ!!」
違う違う違う違う。
そこはルミナスのバリアを信じて……ってのも、初対面でどこの馬の骨かも解らない人を信じろってのも、無理な話か。
ザケンナーの動きを予測していた薫が、ルミナスのバリアを無視し、
突っ込んできたザケンナーは
『ザ……ザケ……!』
「どうだ!体が大きい分、押さえつけには弱いだろ!」
薫の読み通り、巨体を上部から押し付けられたザケンナーは身動きが取れなくなった。
「……何者か知らないが、我らの野望を邪魔するものは排除する!!」
いつの間にか、薫の真横に黒タイツの男……『サーキュラス』が立っていた。
薫は、超能力を発動させるのに気を取られて、ルミナスより前に出てしまっていた。
「……えっ」
「薫! 危ない!!」
前に出ていたことに気づいたのは、私だけだった。だからこそ、薫を襲おうとしたサーキュラスに唯一反応ができた。
私は、ライターから産み出した炎をぶつけ、叫んだ。
「燃えろ!」
炎は一瞬にしてサーキュラスを包み込んだ。
「ぬおぉぉっ!!」
サーキュラスは一瞬怯んだ。さらに私はもう一発、火球を生成し、鳩尾にぶちこんだ。奴の体は炎に包みこまれたまま、文房具屋の入るビルに叩きつけられた。
「あ、あっぶねー。助かったよイオナネーチャン」
「薫ちゃん! ザケンナーに集中して!」
『ザケンナー!!!!』
「あっ……やっべ」
一瞬の薫の隙をついて、ザケンナーが起き上がった!
「たぁぁぁぁっ!!」
「はぁぁぁぁっ!!」
しかしザケンナーが起き上がった直後に、プリキュアたちも起床、強烈なダブルパンチを繰り出していた。
バゴォォォン!
激しい音をたててザケンナーは吹き飛ばされた。着地地点は、先ほど火だるまにしたサーキュラスの場所とほぼ近い。
「おのれ、忌々しい炎め……はあっ!!」
サーキュラスを包んだ炎は、私の能力をしっかり盛り込んでるので簡単には消えない!……はずだったんだけど、奴が気合いを込めると、一瞬で立ち消えた。
ちょっとショック。
そして奴とザケンナーが向かってくる、かと思いきや。
多量の『紙』が奴らに纏わりつき、地面に張り付き自由を奪った。
「なにぃっ!」
「これ以上、本を傷つけないでくださいっ!!」
機嫌を損ねた読子・リードマンは強い。
彼女は初撃を退いたあと、紙をドーム状にして身を潜めていた。しかし現状の(本の)惨劇に耐え兼ね、このタイミングで現れたようだ。
「ルミナス! プリキュアと力を合わせるポポ!」
ルミナスのポシェットがしゃべった。それに合わせて、ルミナスが持つハート型のバトンから、虹色の光が溢れた!
「みなぎる勇気!」
「溢れる希望!」
「光輝く、絆とともに!」
ガシッ!
白と黒のプリキュアが手を繋ぎ叫ぶ!
「「エキストリームっ!」」
「ルミナリオっ!!」
空いた手を前につき出すと、虹色のハート型が浮かび上がり、光の爆発がザケンナーたちを襲った!
「ぬぉぉ!……ふんっ!」
しかし既のところで、サーキュラスは紙を引きちぎり逃走した。
光の爆発がザケンナーのみを包み込み、虹色に発光し弾けた。小さな黒いヒトデ型のものに分離し、散り散りになった。
「やったのか!!」
爆発したザケンナーの場所には、何事もなかったかのように、破損した小型飛行機があった。
そしてザケンナー消滅後、黒い雲が晴れていき、元の神保町駅前に戻っていった。
この時、破壊されたビルは修復し、穴の空いた道路はきれいに元通りになっていった。
「ほ、本が直ってますっ!!」
サーキュラスの炎に当てられ黒焦げになっていた本も、戦闘前の姿に修復された。
なお、本が燃えた直接の原因は私の炎にあるのだが、読子さんには伏せておくことにした。
「皆本はん! 倒れてた人たちが!」
意識を失っていた人たちが目覚め始めた。
そして、さすがはプロ集団といったところか、救護班やバベル処理班はテキパキと自分達の仕事に取りかかった。
まるで、自分達が今まで昏睡してなかったかのように……。
「いったい何がどうなってるんだ? まるで夢でもみていたような気分だ」
「……夢でも催眠でもないわね。皆本さんの中の記憶は本物よ」
「こら紫穂! 勝手に
子供と大人の微笑ましい(?)漫才が始まった。
そして私は、周囲を見渡した。
(やはり、いないか……)
既にプリキュアたちは、この場を離れていた。基本、彼女らは正体を明かさず、表に出ることなく戦い続けている。そのスタンスは変えることはないだろう。
そして読子さんは、修復された本を抱きしめイイコイイコしてる。
うん、やっぱあの人、なんかズレてる。
(……?)
事故処理で現場がバタついている中、私は一人の『女性』に釘付けになった。
大人たちが慌ただしく動いている所でありながら、その『女性』は、グレーのパーカーにデニムショートパンツ。現場の人間の服装とは思わない。明らかに浮いていた。
何より目立ったのが、フードから覗く髪の色。
私の能力使用時の時と真逆な、海のような明るく、『深いブルー』だった。
(……)
その髪に惹かれて、彼女を見てしまっていたが、多くの雑踏の中に紛れてしまい、いつの間にかその女を見失ってしまった。
(なんだろう。何か気になるな)
前世でみたアニメのキャラだっただろうか。いや、あんなキャラは私の知るアニメでは観たことないわ。
そんなことをボンヤリ、空を見上げながら考えていた。
この無茶苦茶な多重クロスオーバー世界に転生してきて。
それでも、自身が超能力に恵まれ、この世界に馴染むことができた。
そして、願わくば、至極安泰にこの世界で平々凡々と天寿を全うしたいと思っていた。
けれども、今日のこの『
運命の歯車が、動き始めてしまった。
そんな気がした。
(……運命に抗うべきか、従うべきか)
私は、この世界に存在する『多くの
それこそ、誰々が裏切るとか、誰々が死ぬとかも、ある程度解ってしまっている。
(それを止めることが出来る。けど……)
するべきか、せざるべきか。
その選択肢が、目前に来るかもしれない。
その時、私はどう行動するのだろう。
私はまた、空を仰いだ。
来るかどうか解らない未来を悩んでいても
しょうがない。
いまはただ、自分がやるべきことを、やるだけだ。
「やるべきことを、やるだけ」
改めて自分に言い聞かせるよう呟いた。
しっかり現実に気持ちを戻して、そして、
再度、お天道様を見上げた。
「……この事件の報告書……まともに作れる自信が無いわ……」
【次回予告】
謎のいたずらのあった公園。
見覚えのあるたこ焼き屋さん。
そしてその夜、一人の魔法少女の覚醒と共に、二つの種が共鳴する。
???(助けて……助けて……!!)
巴マミ「魔女……じゃないみたいね」
???「君には素質がある……僕に力を貸してほしい」
次回、第2話
『不思議な出会い、動き始めた物語』