転生先は超能力少女たちの多重クロス世界でした   作:黒片大豆

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【第1話】原作未明のファーストコンタクト【後編】

(プリキュア キター(゚∀゚ 三 ゚∀゚)!!!)

 

 内心、私の心は滅茶苦茶テンションあがってたけど、

 正直、こうも異質なタイミングで巻き込まれると、如何ともし難い気持ちである。

 

「き、君たちは一体……?」

 

 無論、皆本が彼女たちを知っている訳がない。

 しかしプリキュアは皆本の質問には答えず、腰に提げたポシェットと会話していた。

 

「メップル! 意識を失ってない人いるんだけど!! どういうこと!?」

「そそ、そんなこと言われても、解らないものは解らないメポ!!」

「ブラック! ザケンナーがまた動き出します!」

「今は、ザケンナーを倒すことに専念しましょう!!」

「……あぁぁんもぅ、ありえないっ!」

 

 

『ザケンナー!!!』

 

 

 飛行機のザケンナーが、崩壊したビルから這い出てきた。

 

「いくよ ホワイト! ルミナスはこの人たちを!」

「解りました!」

 

 ブラックとホワイトが地面を蹴り、ザケンナーに向かって跳んでいった。彼女らのジャンプ力は、人間のそれを明らかに凌駕していた。

 

「す、すげぇパワーだ、キックであのデカブツを吹っ飛ばしたし……」

 

 葵の瞬間移動(テレポーテーション)で皆本の横に跳躍()んで来た薫が呟いた。

 

「あの人たちのパワーもスゴいけど、あの化物……いったい何なの!?」

 

 紫穂もそこに合流した。

 ザケンナーの正体を確かめようと、なんとか接触感応透視(サイコメトリー)をしようと考えているようだか、あの巨体とスピードに触れるのは現実的ではない。

 

「皆さん、できるだけ安全な場所に!」

 

 腰まである金髪の女の子、『シャイニールミナス』が、私たちを待避させようとしていた。

 私もこの場から逃げることを提案した。プリキュアなら負けないと、私なりの確信があったからだ。

 

「そうね、とにかく、あの化物はプリキュアに任せて、私たちは離れましょう! 意識不明の人たちも遠ざけないと!」

 

 しかし、負けず嫌いなザ・チルドレンたちが真っ向から噛みついてきた。

 

「ふざけるなよイオナ! それに金髪のネーチャン! 一方的にやられて『はいすいませんでした』って、逃げられるわけないだろ!」

「え、え!」

 

 ルミナスが、薫の剣幕にたじろいた。

 

「せやな、せめてあの怪力組のサポートくらいはせんとな!」

「わたしもふたりに同意よ。透視できないなりに戦い方はあるし、なにより、あれが何かを俄然知りたくなったわ」

 

 葵と紫穂も薫の意見に乗った。彼女たちはザケンナーと戦うつもりた。

 そこに皆本が割って入る。皆本は、ルミナスと私の意見に賛成らしい。

 

「おちつけ三人とも! こちらには倒れている人たちがいる。我々としては、人命救助が最優先だ!」

「なんだよ皆本! 皆本も尻尾巻いて逃げろってのか!」

 

「「きゃぁぁぁぁぁっ!!!」」

 

 ズドォォン!

 

 皆本と薫の口論が始まる直前、プリキュアの2人が、私たちの近くに落ちてきた。地面には小さなクレーターができていた。

 

 プリキュアたちが吹き飛んできた方向を見ると、そこには、白髪で筋骨粒々な全身タイツ中年男性(マント付き)が立っていた。

 

(あれって確か……ドツクゾーンの四天王!!)

 

「ゆけっ! ザケンナー!! 伝説の戦士プリキュアにトドメをさせ!」

『ザケンナー!!』

 

 黒タイツの男……サーキュラスがザケンナーに命令を下した。

 飛行機ザケンナーが猛スピードで突っ込んでくる!!

 

「私が皆さんを守ります!!」

 

 シャイニールミナスが、優しく自身のブローチに触れ、そして柔らかな虹の光が放たれた。

 アニメでは一度も割れなかった、鉄壁のバリアだ。これでザケンナーの攻撃は弾かれ、

 

「……同じ手を食らうもんか! サイキック!グラビティプレスっ!!」

 

 違う違う違う違う。

 そこはルミナスのバリアを信じて……ってのも、初対面でどこの馬の骨かも解らない人を信じろってのも、無理な話か。

 

 ザケンナーの動きを予測していた薫が、ルミナスのバリアを無視し、念動力(サイコキネシス)を放った。

 突っ込んできたザケンナーは念動力(サイコキネシス)をモロに浴び、地面に叩きつけられた。

 

『ザ……ザケ……!』

「どうだ!体が大きい分、押さえつけには弱いだろ!」

 

 薫の読み通り、巨体を上部から押し付けられたザケンナーは身動きが取れなくなった。

 

「……何者か知らないが、我らの野望を邪魔するものは排除する!!」

 

 いつの間にか、薫の真横に黒タイツの男……『サーキュラス』が立っていた。

 薫は、超能力を発動させるのに気を取られて、ルミナスより前に出てしまっていた。

 

「……えっ」

「薫! 危ない!!」

 

 前に出ていたことに気づいたのは、私だけだった。だからこそ、薫を襲おうとしたサーキュラスに唯一反応ができた。

 私は、ライターから産み出した炎をぶつけ、叫んだ。

 

「燃えろ!」

 

 炎は一瞬にしてサーキュラスを包み込んだ。

 

「ぬおぉぉっ!!」

 

 サーキュラスは一瞬怯んだ。さらに私はもう一発、火球を生成し、鳩尾にぶちこんだ。奴の体は炎に包みこまれたまま、文房具屋の入るビルに叩きつけられた。

 

「あ、あっぶねー。助かったよイオナネーチャン」

「薫ちゃん! ザケンナーに集中して!」

 

『ザケンナー!!!!』

 

「あっ……やっべ」

 

 一瞬の薫の隙をついて、ザケンナーが起き上がった!

 

「たぁぁぁぁっ!!」

「はぁぁぁぁっ!!」

 

 しかしザケンナーが起き上がった直後に、プリキュアたちも起床、強烈なダブルパンチを繰り出していた。

 

 バゴォォォン!

 

 激しい音をたててザケンナーは吹き飛ばされた。着地地点は、先ほど火だるまにしたサーキュラスの場所とほぼ近い。

 

「おのれ、忌々しい炎め……はあっ!!」

 

 サーキュラスを包んだ炎は、私の能力をしっかり盛り込んでるので簡単には消えない!……はずだったんだけど、奴が気合いを込めると、一瞬で立ち消えた。

 ちょっとショック。

 

 そして奴とザケンナーが向かってくる、かと思いきや。

 多量の『紙』が奴らに纏わりつき、地面に張り付き自由を奪った。

 

「なにぃっ!」

「これ以上、本を傷つけないでくださいっ!!」

 

 機嫌を損ねた読子・リードマンは強い。

 彼女は初撃を退いたあと、紙をドーム状にして身を潜めていた。しかし現状の(本の)惨劇に耐え兼ね、このタイミングで現れたようだ。

 

「ルミナス! プリキュアと力を合わせるポポ!」

 

 ルミナスのポシェットがしゃべった。それに合わせて、ルミナスが持つハート型のバトンから、虹色の光が溢れた!

 

「みなぎる勇気!」

「溢れる希望!」

「光輝く、絆とともに!」

 

 ガシッ!

 白と黒のプリキュアが手を繋ぎ叫ぶ!

 

「「エキストリームっ!」」

「ルミナリオっ!!」

 

 空いた手を前につき出すと、虹色のハート型が浮かび上がり、光の爆発がザケンナーたちを襲った!

 

「ぬぉぉ!……ふんっ!」

 しかし既のところで、サーキュラスは紙を引きちぎり逃走した。

 光の爆発がザケンナーのみを包み込み、虹色に発光し弾けた。小さな黒いヒトデ型のものに分離し、散り散りになった。

 

「やったのか!!」

 

 爆発したザケンナーの場所には、何事もなかったかのように、破損した小型飛行機があった。

 そしてザケンナー消滅後、黒い雲が晴れていき、元の神保町駅前に戻っていった。

 

 この時、破壊されたビルは修復し、穴の空いた道路はきれいに元通りになっていった。

 

「ほ、本が直ってますっ!!」

 

 サーキュラスの炎に当てられ黒焦げになっていた本も、戦闘前の姿に修復された。

 なお、本が燃えた直接の原因は私の炎にあるのだが、読子さんには伏せておくことにした。

 

「皆本はん! 倒れてた人たちが!」

 

 意識を失っていた人たちが目覚め始めた。

 そして、さすがはプロ集団といったところか、救護班やバベル処理班はテキパキと自分達の仕事に取りかかった。

 まるで、自分達が今まで昏睡してなかったかのように……。

 

「いったい何がどうなってるんだ? まるで夢でもみていたような気分だ」

「……夢でも催眠でもないわね。皆本さんの中の記憶は本物よ」

「こら紫穂! 勝手に他人(ヒト)の心を使って、真偽を確かめるな!」

 

 子供と大人の微笑ましい(?)漫才が始まった。

 そして私は、周囲を見渡した。

 

(やはり、いないか……)

 

 既にプリキュアたちは、この場を離れていた。基本、彼女らは正体を明かさず、表に出ることなく戦い続けている。そのスタンスは変えることはないだろう。

 

 そして読子さんは、修復された本を抱きしめイイコイイコしてる。

 うん、やっぱあの人、なんかズレてる。

 

(……?)

 

 事故処理で現場がバタついている中、私は一人の『女性』に釘付けになった。

 大人たちが慌ただしく動いている所でありながら、その『女性』は、グレーのパーカーにデニムショートパンツ。現場の人間の服装とは思わない。明らかに浮いていた。

 

 何より目立ったのが、フードから覗く髪の色。

 私の能力使用時の時と真逆な、海のような明るく、『深いブルー』だった。

 

(……)

 

 その髪に惹かれて、彼女を見てしまっていたが、多くの雑踏の中に紛れてしまい、いつの間にかその女を見失ってしまった。

 

(なんだろう。何か気になるな)

 

 前世でみたアニメのキャラだっただろうか。いや、あんなキャラは私の知るアニメでは観たことないわ。

 

 そんなことをボンヤリ、空を見上げながら考えていた。

 

 

 

 この無茶苦茶な多重クロスオーバー世界に転生してきて。

 それでも、自身が超能力に恵まれ、この世界に馴染むことができた。

 そして、願わくば、至極安泰にこの世界で平々凡々と天寿を全うしたいと思っていた。

 

 けれども、今日のこの『初めての出会い(ファーストコンタクト)』で、

 運命の歯車が、動き始めてしまった。

 そんな気がした。

 

(……運命に抗うべきか、従うべきか)

 

 私は、この世界に存在する『多くの物語(げんさく)』を知っている。

 それこそ、誰々が裏切るとか、誰々が死ぬとかも、ある程度解ってしまっている。

 

(それを止めることが出来る。けど……)

 

 するべきか、せざるべきか。

 その選択肢が、目前に来るかもしれない。

 その時、私はどう行動するのだろう。

 

 

 

 私はまた、空を仰いだ。

 来るかどうか解らない未来を悩んでいても

 しょうがない。

 いまはただ、自分がやるべきことを、やるだけだ。

 

「やるべきことを、やるだけ」

 

 改めて自分に言い聞かせるよう呟いた。

 しっかり現実に気持ちを戻して、そして、

 再度、お天道様を見上げた。

 

「……この事件の報告書……まともに作れる自信が無いわ……」

 




【次回予告】

謎のいたずらのあった公園。
見覚えのあるたこ焼き屋さん。
そしてその夜、一人の魔法少女の覚醒と共に、二つの種が共鳴する。

???(助けて……助けて……!!)

巴マミ「魔女……じゃないみたいね」

???「君には素質がある……僕に力を貸してほしい」


次回、第2話
『不思議な出会い、動き始めた物語』
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