「うひゃあ、これはひどいわね……」
市民の憩いの場である公園。
幸せカップルや親子がボート遊びを楽しめる、大きな湖があるこの公園だが、いまはそれが不可能。なぜなら、誰かの『イタズラ』のせいで、湖にかかる桟橋やボートが無惨にも破壊されていた。
ただ、その壊し方が異常だった。普通の人なら、火器でも使わないとここまで破壊することなど出来ない。
んで、超能力者の仕業では? と、警察側から連絡があり、私……神之原イオナが現場にて、警察と一緒に現場検証してるって
「あーあ、お腹空いたわ……」
午前中から現場に駆り出され、既に夕方4時を回ろうとしている。昼ご飯を食べ損ねた。
湖の畔には、クレープ屋さんだろうか。女の子受けしそうなキッチンカーが出店していた。学生たちが買い食いしている。仕事が終わったら買って帰ろう。
「……っと。あぶないから、ここから入っちゃだめよ!」
考え事をしてたら、女の子三人組がボート置き場に近づいてきた。
「あの、何があったんです?」
「橋桁と、ボートが壊れちゃってね。片付けてるのよ。イタズラにしては酷いから警察に来てもらってるの」
まあ私も警察みたいなものだけど。説明がメンドイのと、あんまり超能力事件という可能性を大っぴらにしたくないので、私の説明は伏せておいた。
『……けて…………て……』
「……??」
今何か、わずかに
「なのはちゃん?」
「すずかちゃん! いま何か聞こえなかった!?」
三人組の女の子の一人が、公園の森林スペースに走っていった。それを追いかけるように、残りのふたりもついていった。
「あ、ちょっと……」
「神之原さん、よろしいですか?」
さっきの子を呼び止めようとしたが、警察の鑑識に呼ばれてしまった。
一瞬迷ったが、私もバベル勤めのサラリーマン故に、職務を全うする方を優先した。
(さっきの子……「なのは」って呼ばれてた?)
唯一の気がかりはその子の名前。そして、容姿も、私の知ってる『なのは』だった。
これってやっぱり……。
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結局このイタズラは、超能力事件としてバベル持ちになった。報告書として上層部に上げなくちゃならなくなり、至極メンドクセェ。
それとは別に私はすごく空腹だ。なんでもいいから腹に詰め込みたく、先程見えてたキッチンカーへやってきた。
メニューをみてみると、クレープ以外にタコ焼きもある! しかも店舗おすすめとのこと!
「ラッキー♥ クレープよりタコ焼きな気分!」
たこ焼きとドリンクのセットを注文し、パラソル席を確保した。
なるほど部活帰りの学生をターゲットにしたお店作り。
パッと見、たこ焼き屋さんには見えない可愛らしい装飾のキッチンカーであるが、たこ焼きからクレープまで幅広く対応してる良店だ。
そして肝心のタコ焼きの味は……!
ふむ、旨い!
表面カリッと中トロッと。生地のダシの香りは強く、それがソースとの相性良し。具材のタコの弾力も、堅すぎず柔すぎず。丁度良い歯切れのよさ。下処理が丁寧な証だ。
これ、お店出す場所が場所なら、なかなかの繁盛店になるんじゃないかしら。
久々に食べたタコ焼きに舌鼓を打ち、ドリンクで喉を潤した。
いやぁ、旨かった。
「……さて」
ボート乗り場で見送った女の子三人組。あれは『魔法少女リリカルなのは』の物語の冒頭だ(ボートだけに)。
そして、彼女……なのはがフェレットを助けたことで、今夜、町中で『得体の知れない何か』が暴れるはず。
(原作では、なのはだけで解決してる。けど多重クロスオーバー世界で、そう易々と事が済むだろうか)
なのは世界には無かった異物。バベルやプリキュアもそうだが、私が一番懸念していること。『奴』の存在だ。
「キュゥべえ……」
この世界、『見滝原市立見滝原中学校』が存在していた。つまりは『まどマギ』もクロスしてる。
「用心に越したことはないか」
私は今夜、『夜間見回り』と称して、事の顛末を確認しておくこととした。
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私が、この世界で生きていくに際して、一つの大きな問題があった。
『
前世でアニオタだった私は、クロスオーバーしてる話ひとつひとつに、大きな思い入れがある。
しかし、結末を思い出せない話が多々あるのだ。
おそらく『年相応の記憶しか戻らない』ことが関係している可能性がある。
だから、たとえば、
ただし、ここは
本来交わらない作品が関係をもち、原作とは異なる話や結末を迎えることもあるだろう。
ついぞ、悲しい結末も受け入れるつもりだが、もし私が干渉することで
私は、
その答えは出ないまま、私は生きている。
けど、これだけは言える。私のこの世界での『座右の銘』みたいなものだ。
「やるべきことを、やる、以上!」
今夜の夜勤に向けて、私は昼寝をとろうと、自宅へ一時帰宅することした。
―続く―