転生先は超能力少女たちの多重クロス世界でした   作:黒片大豆

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こちらも3部構成に変更。途切れる話をつなげるに際して少しだけ加筆しました



【第2話】不思議な出会い、動き始めた物語【前編】

「うひゃあ、これはひどいわね……」

 

 市民の憩いの場である公園。

 幸せカップルや親子がボート遊びを楽しめる、大きな湖があるこの公園だが、いまはそれが不可能。なぜなら、誰かの『イタズラ』のせいで、湖にかかる桟橋やボートが無惨にも破壊されていた。

 

 ただ、その壊し方が異常だった。普通の人なら、火器でも使わないとここまで破壊することなど出来ない。

 

 んで、超能力者の仕業では? と、警察側から連絡があり、私……神之原イオナが現場にて、警察と一緒に現場検証してるって理由(わけ)

 

「あーあ、お腹空いたわ……」

 

 午前中から現場に駆り出され、既に夕方4時を回ろうとしている。昼ご飯を食べ損ねた。

 湖の畔には、クレープ屋さんだろうか。女の子受けしそうなキッチンカーが出店していた。学生たちが買い食いしている。仕事が終わったら買って帰ろう。

 

 

「……っと。あぶないから、ここから入っちゃだめよ!」

 

 考え事をしてたら、女の子三人組がボート置き場に近づいてきた。

 

「あの、何があったんです?」

 

「橋桁と、ボートが壊れちゃってね。片付けてるのよ。イタズラにしては酷いから警察に来てもらってるの」

 

 まあ私も警察みたいなものだけど。説明がメンドイのと、あんまり超能力事件という可能性を大っぴらにしたくないので、私の説明は伏せておいた。

 

『……けて…………て……』

 

「……??」

 

 今何か、わずかに精神感応(テレパシー)に似た声が聞こえた。が、すぐに途切れてしまった。私にはノイズが酷く、全く聞き取れなかった。

 

「なのはちゃん?」

「すずかちゃん! いま何か聞こえなかった!?」

 

 三人組の女の子の一人が、公園の森林スペースに走っていった。それを追いかけるように、残りのふたりもついていった。

 

「あ、ちょっと……」

「神之原さん、よろしいですか?」

 

 さっきの子を呼び止めようとしたが、警察の鑑識に呼ばれてしまった。

 一瞬迷ったが、私もバベル勤めのサラリーマン故に、職務を全うする方を優先した。

 

(さっきの子……「なのは」って呼ばれてた?)

 

 唯一の気がかりはその子の名前。そして、容姿も、私の知ってる『なのは』だった。

 これってやっぱり……。

 

 

 ###################

 

 

 結局このイタズラは、超能力事件としてバベル持ちになった。報告書として上層部に上げなくちゃならなくなり、至極メンドクセェ。

 

 それとは別に私はすごく空腹だ。なんでもいいから腹に詰め込みたく、先程見えてたキッチンカーへやってきた。

 

 メニューをみてみると、クレープ以外にタコ焼きもある! しかも店舗おすすめとのこと!

 

「ラッキー♥ クレープよりタコ焼きな気分!」

 

 たこ焼きとドリンクのセットを注文し、パラソル席を確保した。

 

 なるほど部活帰りの学生をターゲットにしたお店作り。

 パッと見、たこ焼き屋さんには見えない可愛らしい装飾のキッチンカーであるが、たこ焼きからクレープまで幅広く対応してる良店だ。

 

 そして肝心のタコ焼きの味は……! 

 ふむ、旨い! 

 

 表面カリッと中トロッと。生地のダシの香りは強く、それがソースとの相性良し。具材のタコの弾力も、堅すぎず柔すぎず。丁度良い歯切れのよさ。下処理が丁寧な証だ。

 これ、お店出す場所が場所なら、なかなかの繁盛店になるんじゃないかしら。

 

 久々に食べたタコ焼きに舌鼓を打ち、ドリンクで喉を潤した。

 いやぁ、旨かった。

 

「……さて」

 

 ボート乗り場で見送った女の子三人組。あれは『魔法少女リリカルなのは』の物語の冒頭だ(ボートだけに)。

 そして、彼女……なのはがフェレットを助けたことで、今夜、町中で『得体の知れない何か』が暴れるはず。

 

(原作では、なのはだけで解決してる。けど多重クロスオーバー世界で、そう易々と事が済むだろうか)

 

 なのは世界には無かった異物。バベルやプリキュアもそうだが、私が一番懸念していること。『奴』の存在だ。

 

「キュゥべえ……」

 

 この世界、『見滝原市立見滝原中学校』が存在していた。つまりは『まどマギ』もクロスしてる。

 

「用心に越したことはないか」

 

 私は今夜、『夜間見回り』と称して、事の顛末を確認しておくこととした。

 

 

 #################

 

 

 私が、この世界で生きていくに際して、一つの大きな問題があった。

 

原作(ものがたり)の結末を思い出せない』

 

 前世でアニオタだった私は、クロスオーバーしてる話ひとつひとつに、大きな思い入れがある。

 しかし、結末を思い出せない話が多々あるのだ。

 

 おそらく『年相応の記憶しか戻らない』ことが関係している可能性がある。

 終盤(クライマックス)から結末(エンディング)という一番重要な部分がハッキリ思い出せないのだ。

 

 だから、たとえば、原作(ものがたり)で悲壮な最期を迎える仲間(キャラ)がいても、私は助けられないかもしれない。

 

 ただし、ここは混沌とした世界(多重クロスオーバー)だ。

 本来交わらない作品が関係をもち、原作とは異なる話や結末を迎えることもあるだろう。

 ついぞ、悲しい結末も受け入れるつもりだが、もし私が干渉することで幸せな結末(ハッピーエンド)になる場面があったとしたら……。

 

 私は、原作(げんさく)を無視してでも、手を出すだろうか。この世界に来た混ざりものが、どれだけ手を出してよいのか。

 その答えは出ないまま、私は生きている。

 

 けど、これだけは言える。私のこの世界での『座右の銘』みたいなものだ。

 

「やるべきことを、やる、以上!」

 

 今夜の夜勤に向けて、私は昼寝をとろうと、自宅へ一時帰宅することした。

 

 

―続く―

 

 

 

 

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