転生先は超能力少女たちの多重クロス世界でした   作:黒片大豆

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【第2話】不思議な出会い、動き始めた物語【中編】

 夜回りをしていたところ、またしても『謎空間』に入り込んだ。本来なら当事者以外を排除できるのだが、今回も不思議と、部外者とならずに受け入れられた。

 

するとどうだろう。

既に、何かしらの『バトル』の火蓋は切って落とされていた。

 

「はぁぁぁっ!」

「だぁりゃりゃりゃりゃ!」

 黒と白の伝説の戦士、プリキュアのお二方だ。

 彼女らが、黒い毛玉のような影のような、よくわからない怪物を蹴り殴り倒してる。

 なお、途中参加の私から見ても、明らかに押していた。めちゃくちゃ優勢だ。

 

 しかし、私は電信柱の影で頭を抱えていた。

 だって、今プリキュアと戦ってるのって、ジュエルシードから生まれた『ロストロギアの異相体』とか言うやつ……。多分。

 魔法少女リリカル☆なのは劇場版で見たことあるわ。

 

 それを、なんの因果か、プリキュアがボッコボコにしている。このまま倒しちゃったら、なのはさんが魔法少女にならないんじゃないか説。

 

「ねえブラック! これって本当にザケンナーなのかしら!?」

「わっかんない! けど邪悪な気配は感じるし、倒しちゃっても大丈夫でしょ!」

 

 すると彼女たちは手を繋ぎ、何やらブラックサンダーホワイトサンダーと叫び始めた。

 あ、とどめ演出来ちゃった。

 

「「プリキュア……マーブルスクリューっ!!」」

 

 強大なエネルギーの渦が、黒い化け物に向かって飛んでいった……が、

 その化け物は、着弾前に『三つに分離』し、マーブルスクリューを避けた。

 

「なっ!」

「えっ?」

「うそっ!」

 

 つい私も声を出してしまった。

 ゲ○ターじゃあるまいし、その避け方はズルい。

 

 そうこうしてるうちに、分裂したうちの1体が、私の方に向かってきた。

 

「やば! いるのがばれた?!」

 

 いや、違った。

 私の近くに停めてあった自動車の影に、

 高町なのはとフェレット(ユーノ)が隠れていたのだ! 

 

「きゃぁぁぁっ!!」

 

 黒い化け物が車を押し潰し、なのはたちの目前に迫っていた。

 

「こんのっ!」

 

 私は、とっさにライターに火をつけ、黒い化け物に向かって投げつけた。炎が膨らみ、火球となり、化け物にぶつかったが、本命はそれじゃない。

 

 壊れた車から漏れ出していたガソリンに引火させ、炎の壁を作り出した。黒い化け物は炎の壁に体当たりを仕掛けるも、私の能力で『固くなった炎』を壊すには至らなかった。

 

「大丈夫!?」

 

「は、はい!」

「君たちいったいどうやって、この封時結界に入ってきたんだ!」

 

 フェレット(ユーノ)の言い分ももっともだ。私にもわからん! 

 

 黒い化け物が、堅くなった炎の壁を叩き続けている。あんまり長く持ちそうにない。

 

「ちょっとお二方! あんまり持ちそうにないから、さっさと逃げるか、魔法少女になっちゃってくれない!?」

 

 あっ、やべ。口が滑った。

 

 なのはは「へっ?」という顔をしてるし、

 フェレット(ユーノ)は、

 

「どうしてそれを?」

 

 と聞いてきた。

 

「い、いやそれは、その。なんか、最近、魔法少女のスカウトが、流行ってるらしくて、だから、その」

 

 いいわけが適当すぎた。

 

「そうだね。魔法少女へのスカウトが増えたのは、本当だよ」

 

 突然、塀の上から声がした。

 そこには、ウサギともネコとも言えない、白いぬいぐるみのような生き物が、紅い目を光らせ座っていた。

 

「やあ、僕はキュゥべえ。なのは。君には素質がある。魔法少女に」

 

「うぉっと! 手がすべったぁぁぁぁ!!」

 

 キュゥべえ、焼失。

 

 私は、『つい』炎の壁をキュゥべえに被せてしまった。

 いくらクロスオーバー世界だとしても、高町なのはを『そっちの』魔法少女にしてはいかんでしょ! 

 

「あっ、炎の壁」

「あっ」

 

 炎の壁をキュゥべえに動かしたことで、目の前に黒い化け物がこんにちはした。

 やっべ。防御間に合わないかも。

 

「サイキックぅ! コンクリートブロック塀っ!」

 

 黒い化け物に無数のブロックが突き刺さり、吹っ飛んだ。

 

「危なかったな、イオナはん!」

「後ろの子も大丈夫?」

 

 ザ・チルドレンだ。彼女らが、この結界の中に入ってきた。

 

「な、な、なんで、こんなに入ってこれるんだ!?」

 

 まあ、一番ビックリしてるのは、フェレット(ユーノ)だろうな。現世界と隔離して事を大きくさせないための結界が、全く意味を成してないのだもの。

 

「うわぁ! フェレットがしゃべった!」

「薫ちゃん、これは精神感応(テレパシー)ね」

「なんや、兵部少佐の桃太郎と同じカラクリやん」

 

 そしてしゃべるフェレットをすんなり受け入れるチルドレン達。

 いや、いまそのフェレット、リアルに会話してたような……。

 

「で、でも本当に、どうやってこの結界の中に?」

 

 私が、ユーノの代わりにチルドレンたちに聞いた。

 

「へ? いや? バベルから急に呼び出しがあって、皆本と一緒に近くまで飛んできて。で、その後フツーに歩いてたら、イオナが黒いのに襲われてたから吹っ飛ばしただけだけど」

「まってな、薫。そういえば皆本はんがおらん!」

「途中まで一緒にいたのに……どこ行っちゃったのかしら」

 

 どうやら皆本くんは、この封時結界(?)というものには入ってこれていないみたい。

 

「そうか、君たちは超能力者なのか。この結界は魔法使い以外を遮断する力があるけど、超能力者を『魔法使い』と認識してしまったのかも……」

 

「そういう考察は、後の方が良さそうよ」

 

 黒い化け物は、まだピンピンしている。完全にこちらを『敵』と認識したようだ。

 

 遠くでは、残り2体を相手にしているプリキュアたちが見えた。ブラックとホワイトが分断されているためか、先程とは異なり劣勢みたい。

 

「なんだかよくわかんねーけど、つまりはアイツをボコボコにしちゃえばいいんだろ?」

 

 薫が、フェレット(ユーノ)に聞いた。しかしユーノは首を縦に振らなかった。

 

「物理的な攻撃で押さえつけることは可能です。ですが、最終的には『封印』の必要があります……」

 

「なんだ! つまり力でねじ伏せればいいんだな!」

 

 話をちゃんと聞かない筆頭、明石薫が念動力(サイコキネシス)でアスファルトを捲り上げ、黒い化け物に向かって投げつけた。

 

「サイキックぅ! アスファルトアターックっ!」

 

 黒い化け物は、アスファルトの欠片の嵐の前に、あまり怯まず、こちらに突っ込んできた。

 

 が、私は、抉られた地面から覗くガス配管を見逃さなかった。

 

「ナイス! 薫ちゃん!」

 

 残り火を操り、相手の足元のガス配管にぶつけた。爆発的に炎が相手を包み、私は能力で、『炎を固めた』。

 

 がっちり固めた炎は、相手の身動きを封じた。私が能力を放出している間は、しばらく動かないだろう。

 

 ユーノは、改めて、なのはを見た。

 当のなのはは、あまりに沢山の環境の変化についてきていないようだった。

 

「なのは、君には魔法少女になって貰いたい」

「え、えええ!」

 

「えっ!! なになに?! 魔法少女っ?!」

 

 明石薫。目の前に集中して、ちょっと手伝って。私一人の力(レベル6)だと、結構シンドイ。

 

「これをもって目を閉じて、心を澄ませて」

「う、うん」

 

 ユーノは紅く丸い玉を、なのはに渡した。

 

「管理権限、新規使用者設定機能、解放(フルオープン)。なのは。これから言う言葉を繰り返して」

 

「「風は空に、星は天に、不屈の魂はこの胸に、この手に魔法を」」

「「レイジングハート、セーット、アップ!」」

 

 すると、なのはをピンク色の光が包んだ。その光は巨大な柱となった。

 

「うわっ! なんや!」

「す、すごい力を、感じるわ」

「なんて……魔力だ……」

 

 しばらくすると光の柱は消失し、そこには、白を基調とした衣装に着替え、メカニカルな杖状の火器を携えた、高町なのはが立っていた。

 

 

―続く―

 

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