モンスターハンター〜伝説の邂逅〜   作:奇稲田姫

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今回の話は少々短め。

あの事件のプロローグって感じになりそうです


キャラ募集することになりました
よかったらどうぞ
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5 追憶の巨戟龍③

ドンドンドン。

 

「ヤクモさーん!ヤクモさーん!起きるっスよヤクモさん!」

 

その日は、唐突に玄関の扉をけたたましく叩く音によって始まりを迎えた。

まだ登りかけの太陽は東側から光を差しており時間としても朝方という方が良い時間帯。

 

眠い目をこすりながらモゾモゾとベッドから這い出すと、寝巻きのまま玄関の扉を押し開けた。

それと共に再び扉を叩きかけていたレマと目が合った。

 

「ふわぁ………ぁ。おはようございます。それでどうしたのですかレマさん、珍しく……ふぁ…………お早い起床ですが……」

 

「おはようございますッスヤクモさん。珍しくは余計ッス。って今はそんなこと言ってる場合じゃないんスよ。支度してすぐに来て欲しいっス」

 

「へ?しかし本日狩りに同行する予定は入っていないはずですが……」

 

「それが狩りの話じゃないんスよ。ちょっと砦の方が大変なことになってるんス」

 

「砦?」

 

「そうッス。私は先に行っているんで後から来てくださいッス。場所は砦の第2保管庫ッス。…………見たらきっと驚くこと間違いなしッスよ……」

 

「?」

 

いつもの彼女からは考えられないほど真剣な表情で見つめ返してくるレマに何やらただならぬ雰囲気を感じた八雲は、頭の上に疑問符を浮かべながらすぐに部屋へ戻って型崩れを起こさないように丁寧に掛けておいた装備を手に取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迎撃砦。

第2保管庫。

 

 

 

「……これは。酷い有様ですね」

 

見るからに無惨な姿になってしまっていた弾薬保管庫の前で、瓦解したレンガを拾い上げながらヤクモが呟く。

強固なレンガ造りだった壁は物の見事に原型すらも留めていないほどに崩れ、庫内も相当荒らされている形跡も見受けられた。金属製の棚は大きくひしゃげ、足元にはバリスタの弾が足の踏み場もないほど散乱している。

ドンドルマのハンターズギルドに所属しているメンバーが慌ただしく瓦礫の撤去や備品のチェックに奔走している中、ヤクモは軽く周囲を見渡すとその中から1人の人物を見つけて歩み寄っていく。

 

「おはようございます。ギルドマスターさん」

 

「…………えはそっち、お前はあっちのバリスタの棚の修復だ。瓦礫の撤去も急げ。壁の崩れには………………っと、おぉ、ヤクモかよく来てくれたな」

 

腕組みをしながらてきぱきと多方面へ指示を出すがっしりとした体形の男性はヤクモの言葉に反応すると視線を彼女のほうへ向けた。

 

「いったいなにがあったのですか?」

 

「あぁ、それに関してはまだはっきりしてない。現在急ぎ調査中だ」

 

「そうですか。早く原因が判明することを願います」

 

「はぁ。お前もでかくなったもんだな。ガハハハ」

 

「あ、いえ、す、すみませんそんなつもりでは…………っつ~!!」

 

いきなりのことでギルドマスターの冗談を思い切り真に受けてしまい、咄嗟に否定しようと手を振ったのだが、そのせいで持っていたレンガの欠片を足の上に落としてしまった。

 

ちょうど左足の甲にクリーンヒットした欠片が転がり、足元にあった黒い水たまりにパシャンと落ちていく。

思わず少しだけ涙目になりながら足をさするヤクモ。

その肩をポンと叩きながらギルドマスターが笑う。

 

「冗談だ。相変わらずで安心するな、お前の反応は。見てて飽きないぞ」

 

その一言を聞いた途端顔から火が出るのではないかというほど熱を帯びていくのを感じてしまう。

 

「〜〜っ………………勘弁してくれませんか。ふぅ…………コホン。にしても、これだけ保管庫が大破しているにもかかわらず爆発痕のようなものは見当たりませんね。保管庫にはバリスタの弾の他に爆発物である大砲の弾も安置されていたはずですし…………。これほどの崩壊であれば弾の1つや2つは少なからず爆発してもおかしくなかったような気もします」

 

まだ少しジンジンと痛む足に耐えつつ立ち上がり、軽く涙を拭ってから顎に手を当てて思考を巡らせる。

そんな様子を見たギルドマスターは「やはりか……」と言いながら大きくため息をついた。

 

「………………それがな」

 

「?なにか私変なこと言いましたか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!?荒らされた庫内に大砲の弾の残骸が見当たらない、ですか!?そ、そんなことって有り得るのですか!?」

 

「俺も初め報告を受けた時は自分の耳を疑ったものだが……………………現実に目の前で起こっちまってるからなぁ。この状況を見ちまったら嘘だ妄言だと切り捨てることなんて出来ねぇよな…………」

 

勘弁してくれ……と言いつつギルドマスターは後ろ頭をガリガリと掻きながら悪態を突く。

正直ヤクモ自身も今目の前の状況を信じきれていない程だ。

 

「いや、それにしても大砲の弾ですよ?1つでもかなりの重量の弾ですのに、それが全て、しかも不発のまま………………。それって、普通に考えて変ですよね」

 

そもそもこの迎撃砦の保管庫に保管されている大砲の弾はこのドンドルマが対巨大モンスターを想定して設計されている都合もあり、高々1発の弾を運ぶのでさえ相当な労力を必要とするほどの重量と大きさを誇るほどである。

その弾が保管庫には第1第2合わせて少なくとも約100発以上の備蓄があったはずなのだ。

盗むにしてもたった1晩の間に綺麗さっぱり跡形もなく消し去ることなんて……出来るのだろうか。

 

「だろ?やっぱりヤクモの嬢ちゃんから見てもそう思うよな。しかも、こうなっちまってるのはなにも第2保管庫だけじゃない。砦の地下にある予備の保管庫は何とか無事だったようだが、第1保管庫(もう片方)はここと同じ状況らしい」

 

「はぁ……。しかし一体誰が……」

 

「『誰』……なんスかね〜コレ?」

 

ヤクモのつぶやきに対して反論しつつヤクモよりも先に現場へと到着し、件の第1保管庫の方へ状況を見に行っていたレマが会話に参加する。

 

「正直、人間業とは到底思えないんスよね…………」

 

「モンスターの仕業、とても言いたいのか?レマ」

 

「あくまで可能性の1つッスよ。私だってモンスターにそんなことが出来るとは思っていないっス。そもそもこの砦だってラオシャンロンやシェンガオレンみたいな特殊なヤツ以外のモンスターは侵入することすら不可能じゃないっスか。仮に入ってこれたとしても爆発した痕すらも残さずに消すなんて無理ッスよ」

 

頭の後ろで指を組むレマの言葉も若干ため息混じりになってきていた。

 

「そうですね。確かにその線はかなり薄いでしょう」

 

「わかっている。となれば盗賊の類の仕業が濃厚になるな。これほどまで派手に動いたとなると規模はそこそこ大きいはずだ。なぜならあの量の大砲の弾を運んでいるわけだからな。全く、大砲の弾なんぞ盗んで(とって)何をするんだ?他の街や村にでも売りさばく気か?」

 

厄介事を増やしやがってと愚痴をこぼしたギルドマスターは大きく息をついてから作業を進めるギルドメンバーに向けて休息の指示を飛ばすと、再びヤクモとレマの方へ向き直った。

 

「さて、そうと決まれば容疑者の件はこちらで調べておくとしよう。あの量だ、まだそう遠くへは行っていないはずだ。それからヤクモ、レマ、お前たちは第1保管庫の方に行って復旧作業の手伝いをしてくれ」

 

その言葉にレマが小さく呻いた。

 

「うぇ、わ、私達もッスか?」

 

「当たり前だろうがお前。そもそもハンターとギルドは互いに手を取り合ってなんぼ。いつもはお前達の狩りの支援をしているんだからこういう時くらい力を貸してもらわねぇと釣り合いが取れねぇってもんだ」

 

「うぐ………………正論」

 

「分かったらとっとと第1保管庫の方にむかえ。復旧は迅速に、だからな。あぁ、それともし作業中に素材が不足したらお前達に調達しに行ってもらうからな。復旧作業が終わるまでは急な依頼にも対応出来るようにしておけよ〜」

 

「それもッスか!?うぅ……頑張るっス」

 

「承知致しましたギルドマスターさん。それか、早めに足りなくなりそうな素材があればリストアップして頂ければ集めに行ってきますよ」

 

「ん、あぁ、そうだな、やはり足りなくなってからじゃ遅いな。早めに集めてきてもらうとするか。悪い、リストアップしておくから明日の朝方街の酒場(集会所)に来れるか?その時に渡す」

 

「わかりました」

 

「うむ、では頼んだぞ」

 

「はい」

 

ヤクモは短く返事を返してからぺこりと一礼すると、グダーっと項垂れているレマの肩を押しながら大破した第1保管庫の方へ足を進めるのだった。




事件のプロローグがスタートです。

それからアカシ君の出番までもう少しになってきました
さてさて、彼との合流はどうなる事やら……

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