モンスターハンター〜伝説の邂逅〜   作:奇稲田姫

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はい
案の定3部構成になりました。
さすがに中編2とかにはならないとは思いますが……………………

まぁ良いでしょう。

みんなで訓練生の無事を祈りましょうかw


3 ヤクモ・ミナシノの新人教育 中編

カタン。

慣れると心地よく感じてくる揺れの中、ヤクモはランプの炎に照らされながらデスクの上に広げていた手記をパタンと閉じる。

 

「ふぅ。今日の分の手記は書き終えました。少し外の風でも当たってきましょうか」

 

未だに足元がゆらゆらと揺れてはいるがそんなことはお構い無しだと言わんばかりの足取りで部屋の入口へ向かい、扉を押し開けた。

 

 

 

 

 

 

 

そこでまず目に飛び込んでくるのは辺り一面に広がる紺碧の大海原。

 

 

 

 

 

 

潮風に靡く髪を軽く抑えながら部屋の扉を閉めて甲板の方へ足を運ぶ。

 

そこでは船頭のアイルーが部下アイルーたちににゃーにゃー指示を出しながら舵を握っていた。

 

「うにゃ?ヤクモ殿、少し騒がしくしすぎてしまいましたかな?起こしてしまったのでしたら申し訳ないのですにゃー」

 

「いえ、お気になさらず。自室で手記を書いていただけですので。ちょうどキリも良いので夜風に当たろうと思っただけですよ」

 

「なるほど、アカシ殿やレマ殿……………………それから他の『伝説世代』への手土産、という訳ですにゃ」

 

「あはは、やはりわかってしまいますか。頭が上がりません」

 

苦笑いを浮かべながらこめかみをポリポリと掻き、船頭アイルーの隣へ腰掛けた。

そのおかげでちょうどヤクモの目の高さと船頭アイルーの目の高さが同じとなる。

 

「にゃあ〜、アカシ殿とレマ殿、ヤクモ殿(お前さん達3人)が狩場へ出る時はいつもにゃーが船頭だったしにゃ〜。大抵の事は分かるんだにゃ」

 

「いいこと言ってはいますが語尾で締まりませんね」

 

「種族柄これはどうも直せにゃくて……………………って、大きなお世話にゃ。あと数時間で着くんにゃからお前さんはしっかり体を……………………」

 

ため息混じりに舵を切る船頭アイルーの言葉が終わらぬうちに、1匹のアイルーが大慌てで走ってきた。

 

何やら急ぎの用事のようで必死に船頭アイルーに向かってにゃーにゃーゴロゴロ何かを訴えている。

 

文字にするとなかなかホンワカした様子ではあるが実際の慌てようはただ事では無さそうなほどに取り乱していた。

 

そのアイルーの訴えを同じくにゃんにゃん言いながら真剣な表情で頷く船頭アイルーの様子からもただ事じゃないことは重々伝わってくる。

 

「にゃ、にゃんだって!?」

 

「船頭アイルーさん、どうしたのですか?」

 

「ヤクモ殿、緊急事態にゃ」

 

「緊急事態?」

 

「にゃ。ロアルドロスが接近しているようなのにゃ!ひっさびさに海上でモンスターとご対面だにゃ。いつもならパパッと振り切るところなんにゃが……………………」

 

ロアルドロス。

そう呼称されるモンスターは別名【水獣】と呼ばれ水辺を好む海竜種に属する大型モンスターだ。

特徴はその黄色い(たてがみ)で後頭部から後ろ足にわたって長く伸びている。

ハンターへ依頼がある場合は大抵繁殖期へ入ったルドロス達の水分補給のため陸上へ上がったロアルドロスが付近を通過する商隊を襲うかその可能性がある場合、もしくは突如として現れたロアルドロス一行によって海域が危険にさらされた場合が主となる。

稀に今回のように事前情報も無いまま襲われることもあることにはあるが、いずれにしても取り巻きのルドロスにも注意を払う必要があるため単騎では苦戦を強いられることもよくあるモンスターだった。

しかしそれはあくまで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に限る話であり、今回のようにロアルドロス単体で襲ってくることはかなり珍しい。

 

単体であれば熟練のハンターレベルならしっかりと対等に渡り合うことも容易な相手だ。

それこそ現在のように予想外の事態でアイテムが不足している状況だとしても。

 

ただ、今回だけはいつもと状況が違いすぎる。

 

「はい、海上に慣れていない訓練生を置いて行くわけにも行きません……………………」

 

「海上でパニック起こされたらそれこそ収拾つかないにゃ」

 

現在は今までのように自分一人だけ、つまり単独での狩りではない。

教官として訓練生も一緒に引き連れているわけだ。

それも今日がハンターとして現地に赴くのは初めてだという見習いの見習いレベルの生徒たち。

 

訓練所で自己紹介をしてもらった中には冷静に考えられる人に勢いでその場を乗切る感覚派の人、それに加えて奥手の子等々様々な性格の子が揃っていたため1人くらいパニックを起こしてしまう可能性も否定は出来ない。

もちろん全員臆することなく状況を整理出来るに越したことはないがそれを今の訓練生に期待するのも酷な話だろう。

それはおいおい身につけて行ってもらえれば問題ない。

 

ヤクモは数秒間の思考を経て船頭アイルーへ1つ案を提案した。

 

「でしたら、船頭アイルーさんは残って船のバランスに尽力してください。ロアルドロスなら私が」

 

「にゃあ…………確かに今の状況ではそれが最善かもしれないにゃ」

 

「夜明けには合流します。船頭アイルーさんは私に構わず訓練生達をテロス密林に送り届けてください」

 

「承ったにゃ」

 

「にゃー!!にゃにゃーーー!!!」

 

「にゃーにゃー!!方向は7時、あと15分で接敵らしいにゃ。ヤクモ殿そっちは任せるにゃ!あ、船室に酸素玉と多分イキツギ藻もあったはずにゃから使って欲しいにゃ!」

 

「恩に着ます」

 

バタバタと自室へ戻って『たまのをの絶刀の斬振』を背負い、アイテムを選別して水中戦用のポーチを棚から引っ張り出してその中へ詰め込んでいく。

翔蟲に目がいくが、流石に水中では機能しなさそうなので今回は置いていこう。

 

…………やっぱり念の為1匹だけ…………いや、慣れない環境で衰弱してしまっては元も子もない。

 

今回ヤクモは回復薬グレートまでは持ってこなかったため回復薬、酸素玉、念の為に捕獲も考えて麻酔玉…………は水中では意味無いか。

 

「とりあえず、彼らが起きた時に事情は説明はしておくにゃ!」

 

「ありがとうございます!それとドンドルマへ打電もしておいてもらえると助かります、この迎撃はクエスト外なので!緊急を要するとはいえ報酬はくださいと」

 

「ヤクモ殿……………………お前さんはそんなキャラじゃにゃいと思っていたにゃ……」

 

「じょ、冗談ですって。でも一報はお願い致します」

 

「心得たにゃ!」

 

船尾側へ急いで周り、状況経過を観察していたアイルーのジェスチャーを確認しながら視線を海の中へ潜り込ませる。

 

確かに夜の海でもわかるような黄色い体色のモンスターはロアルドロス位のものだろう。

 

目視による確認もできた。

 

「にゃにゃ、にゃ!(ご武運を!)」

 

「ありがとうございます。それでは、行ってまいります。ヤクモ・ミナシノ、抜錨します!!」

 

そう高らかに宣言し、背中に背負っていた武器を抜刀してからザブン!と海の中へ入り、迫り来るロアルドロスの前へ躍り出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢

 

 

 

 

 

密林。

 

早朝の海岸ベースキャンプ。

 

 

 

 

 

「訓練生達全員起きるにゃ〜!!現地に着いたにゃ〜!!ほらほら早く起きるにゃ!」

 

ガンガンガンガン!!

 

 

 

この日はドンドルマ近辺の港から一緒に乗船してきていた船頭アイルーが奏でる銅鑼の音によって始まった。

 

「ほら!せにゃ!シャキッと!するにゃ!シャキッと!」

 

船頭アイルーは片手用の銅鑼を持ちながら未だにぼーっとしている見習いハンター達にドロップキックをかましたり銅鑼で頭を叩いて回っている。

さすがに女性陣にドロップキックをする訳にもいかないのかそちらには部下のアイルー達が猫パンチを連続でペシペシさせていた。

 

「着いたにゃ!着いたらすぐに近辺の哨戒とベースキャンプの設置だにゃ!とっとと2班に別れて行ってくるにゃ!」

 

船頭アイルーの気迫に押されながら、ついでに背中も蹴られながら訓練生達が話し合いの末哨戒班とベースキャンプ設置班に別れた。

 

「哨戒と言っても遠くまで行くのはNGだにゃ!にゃーの目が届く範囲でいいにゃ〜!」

 

ベースキャンプの設置と周辺哨戒。

 

ベースキャンプとはクエストをこなすために密林や砂漠といった自然の中へ赴いたハンターのいわば簡易的な部屋と等しい意味を持つ。

就寝、食事、休息、武器のメンテナンスや道具の整理などなど用途は様々で、それと同時にハンターにとっては無くてはならない必須のものでもある。

狩りによってはどうしても長丁場になる場合もあるし、思いのほか道具類の消費が激しく手持ちが切れかかる時も日常茶飯事のようにある。

しかしポーチの中に入れておけるものにも限度というものがあるわけで手持ちとしてもって行ける分とは別に補充分の道具も持って行き、クエストの途中でベースキャンプに戻ってきて道具の補充をするなんてこともざらだった。

 

それがベースキャンプの役割。

しかしながら、場所はどこでもいいのかと言われれば、一概にそうとも言いきれないのも事実である。

休息中にモンスターに襲撃されたなんて言われたらそれこそ元も子もない。

だからベースキャンプ設置の時は必ず1度を哨戒してからモンスターの気配が無いことを予め確認しておく必要があるのだ。

 

着いたら既にテントが張ってあって準備万端なんてことは残念ながら存在しない。

 

船頭アイルーの指揮の元ベースキャンプ設置班は着々とテントを準備し終えていき、哨戒班も船頭アイルーの部下とともにしばらくしてから戻ってきた。

 

「?おや?そう言えばヤクモ教官の姿が見えないようですね」

 

「あ、ほんとだ、確かに居ないね」

 

「全く、優秀な(わたくし)の教官であることにもう少し誇りというものを感じて欲しいものですわ」

 

哨戒から戻ってきた5人のうちクールな少年と快活な少女、高飛車な少女が不意にそんなことを口にする。

 

「あのホンワカした教官のことだからまだ寝てんじゃねぇの?」

 

2人に反応するベースキャンプ設置班の赤髪の少年がケケッと笑いながらカコンとテントを固定する杭をハンマーで固定した。

 

「あぁ、ヤクモ殿はちょっと野暮用に出かけているだけだにゃ。そろそろ戻ってくる頃なんにゃけど……………………」

 

ん〜と船首の上で腕を組みながら唸る船頭アイルー。

 

「それか、俺らが寝てる間に船から落ちた、とかな」

 

「いや、流石にそれはないじゃないかな」

 

再び赤髪の少年が次の杭を打ち込みながら言ったのを隣で聞いていたメガネの少年が苦笑いを浮かべながらやんわりと否定した。

 

「…………喋る暇があるなら、手を動かして」

 

赤髪とメガネの近くで杭打ちを行っていた眠そうに目を半開きにさせた少女が呆れたように淡々と言葉を話す。

 

「あいにくだが、少なくとも俺はお前よりは貢献してるけどな」

 

「…………」

 

反論ついでに嫌味も織りまぜる赤髪の少年だが、眠そうな目の少女の無反応さにケッと鼻を鳴らす。

 

「相変わらず愛想後ねぇやつ」

 

「おーいおーい!向こうの準備は終わったけどこっちでなんか手伝うことあるか〜?俺手が空いたから手伝えることがあったら手伝うぜ〜?」

 

同時にフレンドリーな少年も加わる。

彼は先程までクールな少年や快活な少女達と共に哨戒へ出ていたのだが、戻ってくるや否やベースキャンプ設置班を自ら手伝ったり、女性陣のサポートを率先して行っていたりと行動力や気の利き方は良い方だと評価できた。

 

一応班わけを纏めておくと、

 

哨戒班

・クールな少年

・快活な少女

・高飛車な少女

・フレンドリーな少年

・つり目の少女

 

ベースキャンプ設置班

・赤髪の少年

・メガネの少年

・眠そうな目の少女

・天然っぽい少女

・無口な少年

 

のそれぞれ5人ずつのグループに別れていた。

 

性格もバラバラなこの10人が今回ハンターへの道を1歩踏み出した訓練生の面々である。

 

そうは言ってもまだまだ纏まりなんてものはほとんど存在しておらず、性格だけでなく目的含めて全てがバラバラのままだ。

 

哨戒から帰ってきてベースキャンプ設置班の手伝いを率先して行っているフレンドリーな少年とは裏腹に、他の4人は手伝う素振りも見せずにクールな少年と快活な少女、それから高飛車な少女はまとまって話しており、つり目の少女に関しては1人で勝手に密林の方へ入っていこうとする始末。

そんなつり目の少女は船頭アイルーの部下達数匹ににゃーにゃー言われながら足を掴まれて止められている様子。

 

設置班の方も設置班の方で一見すると手分けして作業をしているように見えなくもないが、よく見ていると眠そうな目の少女は杭を打ち付けてはいても最初からずっと1本の杭しか叩いておらず、天然っぽい少女はハンマー片手に頭の上にはてなマークをうかべたまま何かを考え込んでいる。それを無口な少年がジェスチャーで作業を教えているがそれも伝わっていないようで「あらあら〜♪」とにこやかに空返事を返しているだけだった。

赤髪の少年とメガネの少年の2人は出身が同じなのかこの10人の中では最も仲が良く色々と話し込んではいるのだが、本人が言うほど重要な作業はひとつもこなしていなかった。

 

つまり、ベースキャンプ設置に関してはほとんどの作業を人当たりの良い少年が1人でこなしていたと言うのが正しい。

 

そんな様子を船首の上から眺めていた船頭アイルーはため息をついた。

 

その時。

船の後方で海上の方を見張っていた部下アイルーがパタパタと走ってきて船頭アイルーににゃーにゃー耳打ちをする。

 

「にゃ?ロアルドロスが!?あれはヤクモ殿が足止めしてるはずにゃ……………………」

 

直後。

ザバッ!!と海の方から巨大な水音が響き渡る。

 

訓練生10人の視線が一気に海上の方へ向けられた。

その視線の先でものすごいスピードでこちらに向けて接近してくる黄色い巨体が水面を切り裂く。

 

「な、なんですの!?アレは!」

 

「あの黄色い体は…………た、確か……」

 

「な、なんでもいいけど、こっちに向かってくるよ!」

 

「あれは、ロアルドロスか」

 

「ほへー、まじかよ早速お出ましか!うっはー腕が鳴るぜ!」

 

高飛車な少女の言葉にとっさの出来事でモンスター名をド忘れするクールな少年、その少年の腕にほぼ無意識に近い条件反射で抱きついた快活な少女。

その隣をゆっくりとつり目の少女が通り過ぎ、そのまま腰に指した武器に手をかけた。

フレンドリーな少年も大はしゃぎで隣に並んではつり目の少女に心底嫌そうな視線を向けられていた。

 

「ロアルドロスって………………まじかよ」

 

「まさか、あれが今回のターゲットなのですかね」

 

「あらあら、意外と大きいですね〜」

 

「っ…………」

 

「…………あれが、モンスター……」

 

さすがに予想外ではあったのか赤髪の少年も若干たじろいでおり、それを冷静に分析するメガネの少年。

緊張感の欠けらも無い言葉を発する天然っぽい少女の後ろに隠れてしまう無口な少年、その隣で眠そうな目の少女は海上を注視しながらゆっくりと立ち上がった。

 

「全員迎撃準備にゃ!」

 

船頭アイルーのその一言によって10人が一瞬にしてざわつく。

 

「げ、迎撃!?あの、僕ら今日が初めての狩りですよ!?」

 

「そうですわ。それはさすがに無謀と言えるのではなくて?」

 

「じゃあロアルドロス(アイツ)の前で同じことを言ってくるといいにゃー」

 

「………………」

 

ぐうの音も出ないとはこの事で、狩場に足を踏み入れた以上そこは既に殺伐とした自然界に身を投じているに等しい。

故にモンスター側からしたらそんなことは知った事じゃない。

 

船頭アイルーの一声によって10人全員が沈黙し、迎撃準備をし始める。

 

そんな時。

 

ザバッ!

と音を立てながらロアルドロスが海上へ飛んだ。

幸いまだロアルドロスまで距離はあるため飛沫がこちらまで飛んでくることは無かったが、代わりにロアルドロスの鬣あたりに突き刺さる1本の太刀が目に飛び込んでくる。

その柄をしっかりと握りながら水の流れに身を任せるようにしたヤクモがロアルドロスにしがみついていた。

 

「……ぷは………………けほけほ…………ん?おや、やはり目指していたのは密林でしたか。物は試しようとはよく言ったものです。みなさーーーん!無事に着いたようで何よりです!お怪我はありませんかーー!」

 

まるで装甲車に捕まる兵隊が如く突き刺した太刀を片手でしっかりと固定させながらもう片方の手を海岸線で待つ訓練生の方へ大きく手を振る。

 

それから船の船尾辺りでこちらの様子を見ていたアイルーに簡単なジェスチャーを送るとそのアイルーはにゃっ!と一言言って船室の方へ駆けて行った。

 

「あれ、教官………………だよな?」

 

「は、はい…………僕の目に間違いがなければ……」

 

「こっちは全員無事にゃ!お前さん何してんだにゃー!!遅刻もいいとこにゃ!」

 

赤髪の少年が語尾を疑問形にしながら声を出し、それに対してメガネの少年が反応する。

 

「す、すみません船頭アイルーさん。あ、ベースキャンプも設置しておいてくれたのですねー!!ありがとうございます!!!」

 

決して大声という程でもないが、彼女の声はやけによく響く。

 

しかしそうも言ってはいられないのが現状ではあった。

こんなやり取りをしている間にもロアルドロスは自分の体に付いた異物を振り払おうと縦横無尽に暴れ回りながら海中を走り、ついでに浜にもどんどんと近づいている。

そんな状況で、ついにロアルドロスが訓練生のいる浜へ上陸しようとするその寸前。

 

不意にヤクモが大声を出した。

 

「閃光玉!!!!!」

 

10人の訓練生がビクリと体を震わせる。

が、その硬直もすぐに解け各々条件反射のように素早く右手を動かした。

 

次の瞬間。

浜へ上陸したロアルドロスの前で閃光玉による激しい閃光が弾けた。

そのせいで両目を焼かれたロアルドロスが仰け反り、動きを止める。

 

しかし訓練生の視線はとある1点に集まっていた。

 

それは閃光玉を投げた張本人へ向けて。

 

「…………残念。今回はにゃーの一人勝ちにゃ♪」

 

ここにいる訓練生の誰よりも早く閃光玉をロアルドロスの目の前へ放った船頭アイルーがしてやったりとでも言いたげな表情でにやりと笑う。

 

「流石です船頭アイルーさん」

 

「言ったにゃ。()()()()()()()()ってにゃ〜」

 

直後、甲板からでてきたアイルーから投げられたアイテムを掴むとそのまま怯んだロアルドロスを蹴って太刀を引き抜き、()()を当てる。

そして、そのまま大きく上空へ舞い上がり、太刀を上段で構える。

 

「秘技、兜割りっ!!」

 

キン!という軽い金属音を響かせてヤクモが握る太刀がロアルドロスの脳天を捉え、直後の連続した斬撃によってロアルドロスは断末魔の叫びを上げながら絶命して行った。

 

「どうか安らかに………………南無」

 

絶命と同時にパチンと太刀を納刀し終えたヤクモが、息絶えたロアルドロスに1度手を合わせてからゆっくりと立ち上がって振り返る。

 

「ふぅ、さて、皆様ご無事でなによりです。一応聞いておきますがお怪我はありませんか?」

 

水を吸いに吸い込んだ袴をギュッと絞りながらそう問いかけるヤクモに訓練生は揃って首を横に振って答えることしか出来なかった。

 

「そうですか。それなら良かったです。さて、皆様のおかげでベースキャンプも出来上がっているようですし、早速訓練クエストの内容をお話しましょう……………………あ、すみません、ちょっと日向に出させてください……くしゅん…………はぁ」

 

そんな先の訓練生とはまた違ったベクトルで緊張感の無いヤクモに訓練生の方もだいぶ緊張も解れてきた様子。

初めての一発目でロアルドロスと正面から対面してこの調子であれば問題は無いだろう。

 

「くしゅっ…………あ、す、すみません。訓練の内容でしたね」

 

「教官、風邪とか引かないでくださいよ?」

 

「だ、大丈夫です。いいから内容を話しますからね」

 

「あんな大型モンスターと対面を果たした私達にできないことはありませんわ♪なんなりと仰ってくださいな。特産キノコですか?」

 

「いえ、違います」

 

「え?じゃあ、確かアプトノスとかケルビとか草食系のモンスター??」

 

「それも違います」

 

「……じゃあなんのために来たんだよ」

 

「まぁ、そうですよね。ではここに来た理由をお話します」

 

そう言うと訓練生が息を飲む音が聞こえる。

そしてワンテンポ置いてからヤクモは人差し指を立てながら満面の笑みでこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん、【陸の女王】リオレイアと遭ってきてください♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後。

その場がまるで雪山かと言わんばかりの温度にまで低下した。

 




中編です。

ようやくここでクエストの内容を公開ですわ
現地に行くまで秘密にした挙句に爆弾を投下するスタイルでした。

一応『狩ってください』じゃなくて『遭ってきてください』と言うのがポイントですかね←

どうなるかは次回で←(笑)


あ、訓練生の名前はあった方が読みやすいか無い方が良いかどちらがいいでしょうか?←
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