改造人間ベル   作:山吹色ノ大妖精

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豊穣の女主人

昨日の約束の翌日、ベルは早起きして晩御飯代を含めての資金稼ぎをするべく、ダンジョンへ向かった。

 

(・・・何か見られてる)

 

ダンジョンへ向かう途中、メインストリートにて視られている気配がする。観察されてるような、ねっとりとした視線を感じる。

 

(方向は・・・上か)

「あの・・・」

「!?」

 

気づかなかった。ベルはそう思いながら咄嗟に声の方向から距離を取る。目の前にはウェイトレス姿の鈍色の髪の少女であった。手には魔石を持っている。ベルは彼女が店の売り込みが目的でわざわざ持ってきた魔石で落としたと嘘をつこうとしていると判断した。

 

「店の売り込みか?ならそんなもの(魔石)持ってまで来るしか出来ないのか?」

「えっと・・・アハハ・・・」

 

図星のようだ。彼女は気まずそうに笑う。ベルが目立つ動きをしたせいで周りから目立っている状態である。正直ベル的にも気まずいと感じているので話を変えることにした。加えて、もしかしたら好都合かもしれないとベルは思った。

 

「話を変えよう。お前は店の売り込みが目的で俺に近づいたんだろう?そこの飯は美味いのか?」

「え?」

「美味いのかと聞いている」

「えっと・・・はい。ウチのお店はとても人気でよくて夜には冒険者様方が宴会などで使われます」

「わかった。今夜寄らせてもらう」

「え!?良いんですか!」

 

ベルは自分を受け入れてくれたヘスティアに美味しいものを食べさせようと思っていた。ふとお互いに名前を聞いてないと思ったベルは自己紹介をする。

 

「俺はベル・クラネル。名前は?」

「シル・フローヴァです」

「因みに店の名前は?」

「豊穣の女主人です。待ってますね、ベルさん」

 

嬉しそうに言うシル。ベルは店の名前を覚えて今日のダンジョン攻略は早めに切り上げてヘスティアを誘おうと決心した。

 

 

 

 

「豊穣の女主人?」

「店の売り込みでな、エイナにも聞いたが評判は良いらしい」

 

時は進んでベルがダンジョン攻略から帰ってギルドで換金した後、ベルはヘスティアに朝の出来事を話した。

 

「お金も稼いであるから大丈夫だ」

「ムムム・・・まぁ、じゃが丸君じゃなくてもいいし・・・いいよ、ベル君。それじゃあ早速行こうか」

「あぁ」

 

そうして教会を出て目的地へ向かうベルとヘスティア、例の店である豊穣の女主人に着けば店の大きさに圧倒されるヘスティア、ベルはそれを無視して店に入った。ヘスティアも急いでベルに続く。そこにはシルがいた。

 

「あっ、ベルさん!来てくれたんですね!」

「決めていたからな」

「ベル君、彼女は?」

「あぁ、彼女は・・・」

「初めまして、私はここの従業員のシル・フローヴァです」

 

ベルが言う前に自己紹介するシル、ヘスティアはシルを疑うように見る。

 

「あ、あの・・・何か?」

「・・・ボクはヘスティア。彼の主神さ」

「あ、はい。よろしくお願いします。ヘスティア様」

「シル!店の前でボサっとするんじゃないよ!」

「あ!すみません!2名様ご案内します!」

 

店の奥から怒鳴り声が響き、シルは急いでカウンター席に案内する。席に座ったヘスティアはメニューを取る。ベルはそれをボーっと見つめる。

 

「ベル君、何にする?」

「何にするって言われてもな・・・取り敢えずヘスティアが選んでくれ」

「む・・・まぁ、わかったよ女将さん!パスタを二つください!」

「あいよ!」

 

その後しばらくするとパスタが二つテーブルに載る。ヘスティアはパスタをフォークで巻き取り口に頬張る。ベルもヘスティアの真似をする様にパスタを食べると

 

「あ、あれ!?ベル君!?」

「ど、どうしたんですかベルさん!?」

 

ヘスティアとシルの大声に周りが振り向く、ベルが涙を流していた。困惑する様に涙を拭うベル、しかし涙は止まらない。

 

「あんた、今日まで一体何を食べていたんだい」

「えっと・・・こんなの」

 

デバイスからエネルギーゼリーと乾パンを取り出す。それを見た女将のミアはため息を吐きながら

 

「・・・明日からウチで食いな、二度とそれを口にするんじゃないよ」

 

と言いながらエールをテーブルに置いた。数秒間経つと

 

「ご予約のお客様、ご案内ニャ!」

 

店員の声と共に店に沢山の人が入ってきた。その中にいる朱色の神の人物とヘスティアの目が合う。

 

「あれは・・・」

「げぇ!ロキ!?」

「はぁ!?何でドチビがここにおんねん!?」

「神様?」

「ロキ?」

「あ、あの時の」

「君は・・・」

 

持つものと持たざるものの遭遇と同時に7階層での再会がこの豊穣の女主人でおこってしまった。

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