筆者のカルデアって、妖精国のサーヴァントってほぼいるんすよね。
村正お爺ちゃんいるし、バー・ヴァンシー1体引く間にバーゲスト3体とモルガン2体出るし。その後のPUもおりゅジーヌ出来るしパーシヴァル重ねたし……。
でもね、ウチのカルデアにオベロンはいないんだ……。6章の主人公、キャストリアもいない。
躍動トリオは藤丸だけ。
だからね。この物語には主人公はいないんだ。
――バベル最上階。
銀糸の輝きを放つ美神は夕焼けに照らされる町並みを見下していた。どこか情熱を孕んだ、無垢な村娘のようにも見える表情はなるほど、数多の神々がうつつを抜かすのも仕方がないであろう。
「あら?あの魂は…そう、そういうことなのね」
彼女が眼窩に収めるはある市壁の一角。稀に清掃の手こそ入れど、人の気配のない場所は、幾多もの日常の中、ここ数日においては僅かな喧騒を取り戻していた。
立ち込める確かな戦いの気配。緊迫する彼はこれ以上ないほどに純白で、闘志により一層と輝きを増している。
「いい、いいわ。これならもしかしたら……。そうなると、オッタルには悪いことをしたかしら?」
くすり、妖艶に微笑む彼女は銀の瞳に喜びを携え、少し先の未来に想いを馳せた。
(きっかけが私ではないのが残念だけれど、これもまた下界の醍醐味ということなのかしら?)
……少しだけ、あの
「フフ…楽しみだわ」
空のワイングラスを宙空に掲げ、空気に乾杯。それだけを終わらせると、結果が分かっているとでも言うかのように、背後へと歩み始めた。
◇◇◇◇◇
銀の軌跡が一瞬煌めいたかと思えば、その豪脚から荒れ狂う暴力の奔流が空を刈り、その都度自らの肌を掠め、呼吸が乱れてゆく。しかしそんなことを相手が許すはずもなく、連撃はより苛烈に、より複雑奇怪に暴れまわる。
「オラオラどうしたッ!?」
「くっ……!」
―――鋭い。強い。速い。重い。純粋に地力が違いすぎるっ…!
ベルは荒れ狂う嵐を躱し、いなし、時に肌の表層を削り取られながら辛うじてという状態で何とか凌いでいる。
だが、あまりに激しすぎる攻撃には一方的に攻め立てられ、避けるのが精一杯、否、それですら十分ではなく皮膚や鎧に少なくない傷をつけて動き続けている。
目にも留まらぬ連続攻撃、その全てが必殺。ベル・クラネルが未だ立っているのは如何なる運によるものか。直撃こそ避けているもののこの極限状態ではその体力も、判断力も、全てが怒濤の勢いで磨り減ってゆく。
距離を離そうとすればそれより速く間を詰められる。攻撃に移るその前に防御不能の一撃が繰り出される。カウンターを合わせようにも、双脚からなる打撃がその僅かなチャンスを埋めてしまう。
(何も…出来ないっ……!)
文字通り、ベル・クラネルは完封されていた。何かを為そうとすることは阻まれ、それを考えることすら許されないほどの強撃。これはマズい。非常にマズい。
あまりに強い。あまりに遠い。分かっていた事だが、己と相手では虫ケラと恐竜ほどに実力が離れてしまっている。これで本気ではないのだから冒険者というのは恐ろしい。
神速の閃脚が鼻先をかすめ、風圧に煽られて視界が狭まる。
(まずっ――)
「食らえ」
目前に迫る靴底。自身の体の中央を狙う一撃を視認する暇も無く、ベルの肉体はゴムで出来た鞠のように容易く吹き飛ばされた。
「ベルくんっ!?」
「あっ…!」
傍観者の二人、ヘスティアとレフィーヤが悲痛な声を上げる。今の一撃は確実にベルの芯を捉えており、破損した防具とピクピクと痙攣して泡を吹く姿は悲惨の一言だろう。
決着はついた。白目を剥くベルは到底戦える状態にない。流石に相手が悪かった。誰もがそう思った瞬間のこと。
「いや、まだだ。ベルくんはまだ諦めてない」
オベロンが溢した一言に何を馬鹿な、と内心に表し驚愕。
「――――ぷはぁっ!!!??がはっ、ごほっ……!?」
恐るべきことに、あの状況からベルは復活したのだ。
「何で…」
今までの度重なる過酷な鍛錬の賜物か、気絶からの復帰が習慣レベルで体に染み付いていたのだ。他にも、瞬間的に体を丸め防御態勢を取っていた事が幸いだろう。実戦では一度耐えたとしてもその後が不利になる姿勢だったが、圧倒的強者であるという客観的事実から追い打ちが無かった事が今の復帰の時間を稼いだのだ。
「まだ…やれますよ」
息も絶え絶え、衣服も襤褸になりかけ、尚も闘志を燃やす姿は、どこまでも真っ直ぐだ。
「雑魚が、一丁前に吠えやがるっ…!」
語られる侮蔑の言葉、されどその視線に悪感情はなく、目の前に立ち上がる戦士を迎え討たんとしていた。
先手を譲られたベルは大きく息を吸い込み、猛々しく叫び、片の腕を砲身の様にベートへと向ける。
その行動に疑問を呈する者はいない。遠距離武器を持たない冒険者が何かを掲げる仕草をする場合、それは大抵が必殺の一撃だと決まっている。
【魔法】。人の理を超えた超常現象にして想いの力。自身を上回る決死の攻撃だ。それを予感したレフィーヤは焦った。こんな市壁の上で魔法などを放ったら、何が起きるか溜まったものではないと。下手をすれば、市壁を破壊し、無駄な破壊活動を為してしまうかもしれないと。
慌ててアイズの方を向き直るが、当の本人は目を僅かに見開くのみで声は上げない。
そうしている間にも、状況は進んでいく。ベートは撃たれたところで耐える自信があり、撃って見せろと挑発する。
そしてようやく、ベルは右腕だけに意識を集中し、左手で砲身を固定する。そして紡がれるのは魔法の始動
「【穿ち抜け、希望の
炎雷が迸った。それは空に走る回路。導火線を辿るが如く雷の性質を持った炎が相手へと迫る。激しい光を伴いながらベートへと直撃。もうもうと煙が立ち込め、命中したのであろう痕跡は伺える。だが無傷。皮膚の一枚を焦がす事も出来ず、その威力に凶狼は溜息を吐く。
この程度か。たったこれっぽっちが必殺だと勘違いしているのか。そんな厳しい冷ややかな視線がベルに向けられ、苦い顔を隠さない。
そして威力こそ物足りなかったものの、その完成度にはレフィーヤは声を荒らげていた。
「短文詠唱っ…、いや、レベル1であれほどまで…!?」
率直に言って、驚嘆していた。普通、レベル1の魔法職は詠唱に手一杯でダメージを負った状態では魔力の維持が困難でよく魔力暴走をしてしまうものだ。だというのにこれは魔法の出来こそ並程度だが、短文詠唱にしては効果が高く、それでいて本来の近接職としての動きが並外れているときた。
もし自分と同レベル帯であれほど動け、魔法も安定して放つ事が可能な人物がいたら自分は勝てるのだろうか。
そう胸中で密かな戦慄を覚えているレフィーヤを尻目に、一同は全く違う意味で驚愕、というより困惑していた。
「な、何でベルくんは要りもしない詠唱を…?」
「…分からない」
今の一撃が再戦のゴング代わりになったのか、ベルは気を引き締めて走り出した。姿勢は低く、鋭く。一本の槍と化したベルは現状最高値である『敏捷』を最大限に引き出した。
レベル1とは思えない加速。けれど相手とて敏捷型。同系統ならばより洗練されている方に分があるのは分かりきっている。
その吶喊を迎え撃つように繰り出した足は予想に反して空を切る。
「!」
「…っ!ぜやあぁぁぁっ!」
より深く身体を倒し、まるで地を這う虫のようになりながらも避けることに成功する。頭スレスレを通り抜ける暴風に恐怖を覚えど、それを打ち消すように雄々しく叫び、一撃。
「チッ…!」
「ハァ…ッ、ハァッ!……止め、ましたね…!」
全力の斬撃は何も纏っていない腕で止められている。だがしかし、防御させたという事実は大きい。素手と短刀の鍔迫り合い。ギシギシと音を立てているのは短刀。そもそものスペックが違う。
「【穿ち抜け、希望の…」
「調子にのんじゃねえッ!」
再びの詠唱、けれど今度は鍔迫り合いごと弾かれる。ベルは肩で息をして、たたらを踏みながら持ち直す。
飛びかかる追撃をもつれながら回避し、けれど姿勢が悪かったのか、二転三転と土煙を立てて転倒する。
「ぐうっ…!【穿ち抜け、」
「させると思ってンのかっ!!」
石畳ごと削り飛ばすように振るわれた斧のような一撃が掠る。ほんの僅かに触れただけで激痛を伴い意識が飛びそうになる。だが、あと四手。まだ倒れる時じゃないだろ…!
「〜〜〜〜〜〜あぁっ!」
最初に戻ったかの様な連撃の嵐。今の体では持つ時間も極僅か。それでも耐える。耐える。耐える。
時にカウンターを仕掛け、皮を削がれながらも腕でいなし、兎に角がむしゃらに、力の限り駆け回る。
(息が苦しい…!燃えるように肺が熱い。さっきまで興奮して気づかなかったけど、やっぱりあの一撃が重い。体の傷もそろそろ誤魔化しが効かなくなってきてる…!もっと、もっと速くしないと…!)
真正面では敵わないから、ベートを軸に円を描くように強襲を繰り返すが、どれも足の一振りで大幅に吹き飛ばされる。
「あぐぁっ!?」
そして、とうとうその時が訪れた。
ベルの体に限界が来たのだ。制御を失った体が神速の一撃を避けられるはずもなく、それはベルの腹に深く突き刺さった。制御下から短刀が離れ、カランカランと石畳に落ちる。
「ごぼっ」
ベルの口から血が溢れ出す。その量は並の怪我の比ではなく、すぐに血溜まりが生成された。
「そんな…」
「ベルくん…!」
「ベル!」
膝をついたベルの体が倒れ込み、血の池に伏す―――
―――かに思われた。
「ン゛ッ゛ッ゛ッ゛!!」
ゴン!と鈍く嫌な音が轟いた。
何事かと目を向ければベルが膝をついたまま額を地に叩きつけた音だ。どうやら今ので無理やり意識を保っているらしい。血溜まりのせいで伺えないが、確実に額は割れている。血まみれの皮膚の上からでもわかる負傷。その傷口を直視してしまったヘスティアとレフィーヤは真っ青になった。傷や生死をより多く見てきたアイズですら、あまり気持ちの良いものとはいえない。
「ガアアァァッッ……!!」
それでも尚立ち上がろうと渾身の力を込めるベルに、ベートは呆れたように吐き捨てた。
「チッ、…テメーいくら何でもしぶと過ぎるだろうが。いい加減くたばっとけ」
それはベートなりの優しさだったのかもしれない。弱者を気遣った言葉。強者は弱者を守るものと考え、弱者が下手な相手に挑み死ぬのを見ていられないと思ったが故の優しさ。
ベルの諦めない姿勢は存分に共感できる。何故なら彼にもまた弱者であった時期があり、最も大事なものが守れなかった。
だからこそ、問う。
「オマエは何でここまでしやがる」
彼は言った。たとえ諦めたところで、誰が死ぬわけでもない。殺されるわけでもない。今までが可笑しかった。それが当たり前の日常に戻るだけなのだと。
「そんなの、ゼエ…決まってる」
既に息をするのですらとてつもない苦痛が生じる身でありながら、声を大にして答えた。
「ただ諦めるだけなのは、簡単なんだ…!ましてや、それが自分にとって不利益な事なら。諦めて、逃げて、ただ簡単な方に流されて…。でも、そんなことを続けてたらいつか絶対に必要な時に諦める!僕はそんな人間にはなりたくないんだ…!」
うつらうつらと、焦点のあっていない瞳を開閉させる。それは何処までが正気で言ったことか。果たしてそれはベル以外には分からない。
この言葉も、冷静にとればマナー違反の指導を受けておいて尚求めるなど、何を言っているのかと冷笑する者が現れるのだろう。
だが、この無茶苦茶な癇癪にも聞こえる答えに狼人にとっては正解だったらしい。納得したように顔を歪めた。
「だが、それも雑魚じゃ届かねえ」
「ごほっ…分がっでいまず。だから、これが最後でず」
震える足で立ち上がり、残ったナイフを必死に構える。あれほど熾烈な攻撃に晒されていた体は血だらけで、最早死に体とも言える。それでもベルは姿勢を崩さない。戦う姿勢だけは最初と変わらず、強い信念を込めた瞳に光が宿っていた。
バトルパートむずかしすぎる。ごいりょくなさすぎてしぬ。
感想、高評価をくれると滅茶苦茶喜んで次話を投稿する頻度が高くなります。高くなります(大事な事だから2回言った)
なんにちもなんにちも何もたべていない虫がいました。虫はずっと我慢していたのです。そんな虫の目の前に、美味しそうなお菓子が入ったバゲットがありました。虫はどれくらいたべたのでしょう?
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たべていない
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