腐れろ夢よ。終われよ世界よ   作:食卓の英雄

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昨日は私の誕生日!祝って。
原作通りのところ出来るだけさっさと済ませたいマン!


夜のとばりが降りる頃

「――今、オベロンと、そう言いましたか?」

「え?」

 

 ぴくり。その長い耳が強く存在を主張し、これまでとは打って変わって戦場にも似た雰囲気を醸し出していた。

 詰問する店員からは、嘘を言うことは許さないとばかりの視線と、どう考えても酒場の一ウェイトレスが出していいものではない緊張感を帯びていた。

 

「えぇっと…はい。い、言いました」

「知っているのですね!」

 

 クワァッ!

 そんな擬音が聞こえてきそうな程に目を見開いたウェイトレスさんに体が竦み上がる。

 確かに僕はエルフ好きだと思うけど、こんなのは望んでない。

 

(ど、どうしよう…オベロンさんに恨みでも…いや、オベロンさんが何かしたのかも……)

 

 アワアワと、思考が堂々巡り。されどその間にもこちらを見る視線は止まず、一体どうしたものかと困っていると横から救いの手が差し伸べられる。

 

「もー、リュー?お客様なんだから怖がらせちゃだめでしょ?ほら、そんな怖い顔しないで、笑って笑って?」

 

 シルさんだ。リューと呼ばれた店員はハッとした顔で雰囲気を元のものに戻す。どうやら無意識にあの気迫を生み出していたらしい。

 

「も、申し訳ありません。私としたことが、つい…」

「い、いえ、大丈夫です。それで…その、オベロンさんが何か…?」

 

 伸ばしても無駄だと本題に入る。そのリューさんは、僕の声音が震えていたのに気づいたらしく、「そうではない」と慌てて否定する。

 

「この場で詳しい事はあまり言えませんが、私はかつてオベロンと名乗る方に命と、何より大切なファミリアを救われました。それ以来、直接礼を言いたいのですが…その、出会う機会がなく……。知っていると思わしきあなたに話を伺いたいと…」

 

 言葉尻がだんだんと下がり、遂には目を伏せ始めた。あんなにオラリオの街に馴染んでいたように見えるオベロンさんと、ここ数年出会った事が無いとの事。

 

「えっと、そのリューさん?が言うオベロンという方が、僕の知っている人と同じなら…」

 

 つい人と同じ数え方をしたけれど、妖精って何て数えるんだろうか。

 

「それは本当ですか!?」

「わっ、わわっ!?」

 

 ズイ、と更に顔を近づけるリューさんにたじたじだ。顔がいいというのは、目の保養と同時に毒にも成り得るんだなと思い至った瞬間である。

 

「是非、是非とも教えてはくれないでしょうか」

 

 そんなことならば別に良い、全然良いのだが…。如何せん押しが強い。シルさんは「むぅ…」なんて唸っているし、僕に救いは無いのか…!

 まさかあのプライドの高いと言われているエルフがここまで入れ込むとは…ギャップが激しい。

 

「お願いします。何故かファミリア内で私だけが直接礼を言えていないのです。義理も果たせず、仲間からもこれ以上からかわれるのはっ…!」

 

 リューさんの語りはだんだんとヒートアップしていき、とうとう僕の鼻の先まで息がかかる。ど、どうしたらいいんだこれ!?助けて、おじいちゃん!

 

『ベル………GO!キッスじゃキッス!ここまで近づいたのは最早相手が誘ったと見て間違いなし!据え膳食わぬはなんとやら、綺麗なエルフっ娘にちゅーする絶好の』

 

 ダメだ。神は死んだ。いや、神様は生きてるけども。

 

「坊主、ウチの給仕を二人も持ってくんじゃないよ!」

「え、いや、でもこれ僕悪く「男がガタガタ抜かしてんじゃ無いよ!」ハイッ!」

 

 女将さんの一喝により、本分を思い出したリューさんは「また後で」と言い残して仕事に戻る。シルさんは何故か言われないのだが、初めての店で一人寂しくご飯というのも味気ないので話に華を咲かせる彼女の存在は有り難い。

 

 想像以上に多かったパスタをつるりと完食し、またも話が飛ぶ。へぇー、ここの女将さんって元冒険者で、ファミリアから半脱退状態なんだ。そんなのありか、と思ったけど、主神の許しも得ているらしい。一体どこのファミリアなんだろう。

 

『豊饒の女主人?いや、僕は遠慮しておくよ。関わってるとこの主神が苦手だし、従業員にも……うん』

 

 ………あ。

 リューさんが会えない原因って、もしかしてここで働いているからでは…?

 思わぬところで点と点とが繋がってしまった。リューさんは今度オベロンさんを探す時は、私服の方がいいと思う。本当に。

 

 最後にジョッキ一杯の醸造酒をぐびっと飲み干し、女将さんにお金を支払おうと財布の紐を緩めると、何やら店内が騒がしい。

 人々の視線を追い、入口付近へと顔を向ける。

 見れば、どっと十数人規模の団体が入店しており、なれた様子で席へと案内されていった。

 その一団は感じる限り、全員が全員生半可な実力じゃないのが分かる。

 

「あれは…」

 

 その団体の中に、オラリオでは知らぬ者は居ない程の超有名人達が紛れ込んでいた。金髪の小人族、ドワーフの戦士、緑髪のハイエルフ等。他にも銀髪の狼人や二人のアマゾネス。山吹色の頭髪をしたエルフに、昨日出会ったアイズ・ヴァレンシュタインさん。

 

 周囲の客もその団体が【ロキ・ファミリア】である事に気がつくと、これまでとはまた別種のざわめきを広げていく。

 顔を寄せ合ってひそひそ会話をするグループや、美麗な顔に鼻の下を伸ばしたり口笛を吹かせている。

 

 山吹色のエルフはちょっと僕は知らないが、この錚々たるメンバーに入っているのだからきっと僕なんか足元にも及ばない人なのだろう。

 

「ダンジョン遠征ご苦労さん!今日は宴や!飲め飲めぇ〜っ!」

 

 黄昏を連想させる朱色の髪を持つ、糸目の神が音頭を取った。それに合わせて彼らロキ・ファミリアはジョッキ同士を打ち合わせ、あっという間に宴会さながらの賑わいを見せる。

 

「………ああ。【ロキ・ファミリア】の皆さんはウチのお得意さんなんです。彼らの主神であるロキ様に、私達のお店がいたく気に入られてしまって」

 

 呆けている僕が彼らの事を知らないと思ったのか、わざわざ補足を交えて教えてくれるが、今の僕はきっと上の空なのだろう。

 本当に、何故だか分からないのだが、昨日に会った金髪の彼女。アイズ・ヴァレンシュタインに目が釘付けになる。

 

 どうしたんだろう、昨日はこんなこと無かったのに。可笑しいな…。 無意識にというか、何か、そう。何かが胸の奥で疼いているような…。そんか不思議な気持ちが湯水のように、けれど細々と湧いて出るような…。

 

 もしかして、一目惚れ?おじいちゃんが一目惚れはいいぞ。なんて言っていたが、そういう事なのか?…いや、でも一目惚れなら何で昨日は…。

 

「そうだ、アイズ!お前のあの話を聞かせてやれよ!」

 

 そんな風に考えに耽っていると、狼人の彼が声を張り上げる。あの話……というとなんだろうか。やっぱりなんだかんだあって土産話とかは好きなのだ。それがオラリオでも最高峰の探索系ファミリアのものなのだから、聞き耳を立てるのも仕方がないだろう。しょうがないったらないのだ。

 というか狼人の彼も顔がいい…。美形でありながらも、男らしく、かといっていかつ過ぎない。今までにあまり出会ったことのないタイプのイケメンだ。

 

「あれだって、帰る途中で何匹か逃したミノタウロス!最後の一匹、お前が5階層で始末しただろ!?そんで、あの時いたコスプレ野郎とウサギ野郎!」

 

―――ドキリ。この青年が言っている言葉を理解するのに、そう時間はかからなかった。

 

「ミノタウロスって、あの17階層で襲い掛かってきて、返り討ちにしたら集団で逃げていった?」

「それそれ!奇跡みたいにどんどん上がっていきやがってよ、俺たちが泡食って追いかけた奴!こっちは遠征の帰りで疲れてたってのによ〜」

 

 成程、軽く経緯は聞いたが、今の情報を整理すると、遠征帰りのロキ・ファミリアに出くわした哀れなミノタウロスは、方方に散ったお陰で逃げる事に成功した。

 何とかそれを追いかけていき、最後の一匹を5階層へと追い詰めたあと、追いかけられていた僕をオベロンさんが救い、その直後――ということらしい。

 

「それでよ、いたんだよ!探索するのに邪魔にしかならねぇようなコスプレした優男に、いかにも駆け出しですって面で呆けてたガキが!」

 

 どうにも、少し認識に齟齬があるらしい。青年は続ける。

 

「抱腹もんだったぜ!何が起こったか分かってねえ様な顔で腰を抜かしちまってよ!もう一人のやつも王子様気取り!一体いつからダンジョンはガキの遊び場になったんだ?ってな!」

 

 ムカッ。僕はまだいい。あの時点の僕は無様で、そう。ダンジョンに出会いなんかを求めて死んでいった遊び場気分の子供一人が死んだだけだ。けれど、オベロンさんはそんな僕の命を救ってくれたし、何よりあれだって妖精王としての正装という奴だ。他人にとやかく言われるものじゃない。

 

「そんで?そいつらどうしたん?助かったん?」

「アイズがいきなり駆け出してレイピアで穴ぼこにしたんだろ?」

「………」

 

 酒の話と思っている一人と、得意げに話す青年に、あの人は若干の表情を崩す。

 

「それでよ、面白くねえのがそいつら、アイズに何度も謝らせてんのな」

「何やて〜?何なんそいつら恩知らずやな〜!むしろ礼を言うべきなんはそっちやろ〜!」

 

 どうにもあの朱髪の神は本心もあるのだろうが、囃し立てる為のセリフをわざと選んでいる様で、互いに酔いも回ってきているために青年は気をよくして更に声を張り上げる。

 

「えぇ〜?」

「アイズ、ぶっちゃけどうだった?格下の奴を助けてやったのに謝罪を請求されたの?ムカついたよな?助けなければよかったかもって、思わなかったか?」

「……いや、私は…」

 

 彼は、だんだんと語気を強めてアイズさんへと絡んでいく。その様子に他のメンバーは失笑し、他のテーブルの部外者達は「マナーが悪い」だの「人として風上にも置けない」だのと好き放題に言ってくれる。

 一応、ひそひそと「原因はロキ・ファミリアにもあるので、そこまでの事か?」との声も聞こえるが、声を大にしては言えないのだろう。

 

「しっかし、まぁ、久々にあんな奴らを見ちまって、胸糞悪くなったな。とてもダンジョンに潜る気概も全く感じられねぇしよォ」

「……」

「あんなのが俺達と同じダンジョンに潜ってるなんて考えたくもねぇ。命がけで深層まで潜って苦労してんのに、上層ではふざけた野郎がのうのうと彷徨いてやがる。これでムカつかないでどうしろってんだ!お前もそう思うだろ!?」

 

――イラッ。

 

「ああいう奴らがいるせいで、俺等の品格まで下がるっていうかよ、全く勘弁して欲しいぜ」

「いい加減その煩い口を閉じろベート。ミノタウロスを逃したのは我々の失態。巻き込んでしまった上層の冒険者に謝罪することはあれ、酒の肴にし嘲笑する権利など無い。恥を知れ」

「おーおー流石はエルフ様、誇り高いこって。でもよ、そんな救えねぇ馬鹿を擁護して何になるってんだ?てめぇの失敗を誤魔化す為の自己満足だろ?弱いやつはそれだけで罪だ。強者の都合に巻き込まれど、何で強者が謝る必要がある?助かっただけでも儲けもんだろうがよぉ!」

「これ、やめぇ。ベートもリヴェリアも。酒が不味くなるわ」

 

――イライラ、イライライライラッ。

 

「アイズはどう思うよ?目の前で巫山戯てるような雑魚どもをお前は自分と同じ冒険者と思えるのかよ?」

「私は……あのミノタウロスは…」

 

――イライライライライライライライライラッ!

 

「けっ、雑魚に気遣う必要なんてねえだろぉが。………じゃあ、質問を変えるぜ?…そうだな、あのガキと俺、ツガイにするならどっちがいい?」

「……ベート、君、酔ってる?」

「うるせぇ、ほら、アイズ選べよ。あのコスプレ野郎は論外として、雌のお前はどっちの雄に滅茶苦茶にされてえんだ?」

 

 ガンッ

 

「ふざけるなっ…ふざけるな馬鹿野郎っ!!!」

 

 やってしまった。ああやってしまった。悪態をつき立ち上がった僕に酒場中の視線が注がれる。だがしかしそれでも止まれない。

 シルさんが止めるのも振り切り、件のロキ・ファミリアの席へと歩を進める。

 

「そこの貴方!」

「あァ?てめぇ、あん時の…」

「僕の事はいくらでも馬鹿にして下さい!どうぞ酒の肴にでも使えばいい!でもっ、違うだろ!それは違う!オベロンさんはあなたの言う通り情けなく逃げ回った僕を助けてくれた!恩人を馬鹿にされて黙ってるようじゃとんだ恩知らずだ!」

 

 まさか当人がその場にいるとは思わなかったのか、笑っていたロキ・ファミリアの多くは気まずそうな顔で沈黙する。

 

「確かに僕は情けなくて弱虫で、貧弱だけど、強くなったからと自分より下の人を馬鹿にし、仲間をも傷つけるような人にはなりたくない!」

 

 分からない。分からないがつらつらと言葉が出てくる。それに逆らう気も起きなかったので胸中のもやを晴らすまで口から吐き出した。

 

 一瞬の空白。けれど与えた影響は大きかったようで、ロキ・ファミリアのメンバーの殆どは元の冷静さを取り戻し、素直に恥じる。そしてずっと黙していた小人族の男の人が口を開く。

 

「ア゛ァ?テメェ、いま何つった」

 

 よりも前に狼人が目の前に立ち塞がる。他のメンバーと違い、酔いが回っている様だ。

 

「だ、だから!僕はあなたみたいにはなりたくないと!」

 

 本当は怖い。僕は駆け出しのレベル1で相手は第一級冒険者。虫けらと人間ほどの力の差があるといっても過言ではないだろう。

 

「ちょっと、ベート。止めなって!悪いのはこっちだし、アンタのせいでファミリアの評判悪くなったらどうすんの!?」

「うるせぇ馬鹿ゾネス!いいか?お前みたいなガキは今出来なくても次で挽回出来ると思ってるみてぇだが、世界はそんな風に出来ちゃいねぇんだよ!そんな都合よく自分が勝てる相手だけが出てくると思うか!?守りたいその時に力が足りてる保証がどこにある!?」 

「ベート…?」

 

 顔は赤いが、それ以上に今日初めて見せる真剣な顔。思いもよらぬ反応に一同は揃って困惑の表情を浮かべる。

 そしてベル自身も、何故かは分からないが、その瞳の奥に悔恨や悲哀の感情を視た。

 

「―――っ…それでも、それでも、今ベル・クラネルがやらねなければ僕は僕を一生認められない!」

 

 今にも泣き出しそうで、けれど決して相手の目から視線は外さない。それをしたら、この人が言う弱者すらを通り過ぎた憶病者になってしまうから。

 

「………」

 

 無限にも思える時間が流れ、やがて青年は席へ戻る。

 

「チッ…ガキが…。お前は弱い。雑魚だ。それは誰がなんと言おうと変わらねぇ。お前が弱けりゃ仲間も守れねぇ、噂話一つ覆すことは出来はしねえ!」

「……っ…!」

 

 言葉を取り下げる事は出来なかった。自分がやったことがただ上位の他派閥を刺激しただけとなってしまった。何より、こんな啖呵を切っている自分が弱いままだなんて、相手からすれば失笑ものに決まっている。

 悔しさと申し訳無さに顔を歪め、拳を握りしめる。

 

「まぁ……んな雑魚だろうが、今からにでも潜れば少しはマシになるだろ」

「!」

 

 ジョッキを呷る青年から、小さくそんな言葉が漏れる。既に背を向けている為表情は伺えない。だがその台詞からは酔いというフィルターが消え去っているようにも感じられた。

 

「チッ…雑魚は雑魚らしくとっとと行っちまえ」

 

 またも、僕に向けた一言。虫でも払うかのようにしっしっ、と手を振られ、その延長線上がオラリオの中心。バベル、ひいてはダンジョンである事に気づく。

 そうと分かれば、足を止めることは無理な話だ。

 

「絶対っ…絶対強くなってやるからなぁーーっ!!」

 

 酒場からそんな声で駆け出す僕を奇異の目で追う住人達。だがそんなこと知ったことか。今僕が気にするべきは強くなる事、モンスターを如何にして倒すかだ。

 

 高揚する気分、普段よりも力が湧いているかの様な錯覚すら感じさせるそれは、神の気まぐれか、はてさて虫の奸計か。

 しかし、ベル自身にとって有り難いものであることに変わりは無いのであろう。

 

 

 

♢♢♢♢

 

 

「ベート…珍しいね」

「うるせえ、酔って出た言葉だ。忘れろ」

 

 ベル・クラネルの立ち去った店内にて、開け放たれたドアを眺めてアイズは零す。

 

「そうだよアイズ、さっきのだってあの冒険者くん怯えてたじゃん。まあ、ベートに向かってあんな風に言うのはカッコよかったけどね〜」

「ああしまった。当人がいたとは…無理矢理にでも止めさせるべきだった」

「あの子、大丈夫かしら?気概はいいだろうけど、今からダンジョンに行くにしては武器も鎧も無いし…ま、流石に一回は帰るわよね」

 

 まるでさっきの喧騒が無かったかのように静まりかえった店内。しかしてそれも数分後には盛り返すであろう。

 

「さて、彼がどこのファミリアかは分からないが、ミノタウロスの事と今回の事。謝る事が増えたね」

 

 そう言ったのは団長であるフィン。それもそうだと考え直してみれば、本来謝罪するべき相手を馬鹿にした挙げ句ダンジョンに向かわせたことになる。

 

「ベ〜ト〜?」

「違え!アイツが勝手に出てっただけだ!タイミングならいくらでもあっただろ!俺だけのせいにすんじゃねぇ!」

 

 さて一同により簀巻きにされ、されるがままに踏みつけられるベートの前に、何か紙が差し出された。

 

「あ?んだこりゃ?」

 

 顔をあげると、鈍色の髪のウェイトレスと目があった。

 

「ミア母さんからです」

 

 その内容とは、店での騒ぎを起こしたことによる罰金と、ベートだけに向けられた暫くの来店禁止状。そしてベル・クラネル分の代金であった。

 

「ふざけんなっ!何で俺だけっ」

 

 ギャーギャーと喚くが、シルはのらりくらりと躱していく。しまいには「いい薬になった」「頭を冷やせ」等という言葉が出てくるくらいだ。

 

「クッ…クソッタレーー!!」

 

 真夜中に、狂狼の咆哮が虚しく轟いた。




ベルにはあるバフがかかっています。
あと、ベルのスキル。実はこのあとの物語のヒントが地味に隠しています。

この中で好きなキャラは?(一位のキャラは登場し、最下位は愉悦展開にする予定)

  • アーディ・ヴァルマ
  • フィルヴィス・シャリア
  • レフィーヤ・ウィリディス
  • シャクティ・ヴァルマ

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