三次創作 とある装蹄師に自覚と反省を促す取材記録 作:zenra
いやぁ、今回は取材を受けて頂いて感謝ですよ
「いえいえ、店子の皆さんは手が掛かりませんから…割合時間は自由になるんですよ」
それでは早速お話を伺っても?
「構いませんよ、何処から話したものか…」
では、デビューからお願いしても?
「はい、ではそのように。私はデビュー戦で2着に敗れ、次戦では3着。そこから休養を挟んで翌年6月に改めて未勝利戦で3着…、もう勝てないのではないか、そんな思いが過ぎりましたね」
それは…メイクデビューを勝ち抜けるのはただ一人、それを考えれば仕方のない面もありますが、やはり重たいモノでしょうね
「そうですね…誰かひとりの勝利、その足元には敗者が犇めいている。それがレースというモノの本質、その一面でしょうね。」
「ですが、私達が走るのは敗者を踏みつける為ではないのですよ?」
「ただ、勝ちたい。誰よりも速く走りたい。それだけを見て走り出し、その背中に色々なものを背負って走り抜けるんです。」
その背から零れ落ちるモノがあったとしても、ですか?
「そうです。私達は止まらない、止まれない。この胸に宿る熱が突き動かす限り走る。私はそう思ってましたね。」
「あら…話がそれてしまいましたね、7月に4戦目に挑み、漸くの勝利。続き9月10月と条件戦ですが連勝、勢いに乗って京都新聞杯へと挑み、敗れました…」
「そこからは条件戦とOP戦で勝って負けて…12月の鳴尾記念への挑戦」
ヤエノムテキさんとの激しい競り合いの末、ハナ差での惜敗でしたか
「惜しかった、もう少しだった。そう言われましたけど、私はそうは思えなかった。」
「続く次走の京都記念では一番人気に推されながらも10着と惨敗、更に次走の朝日チャレンジCで勝利を掴むも、その次走…京都大賞典でスーパークリークさんとミスターシクレンさんに惨敗、大差負けでした…」
あのレースではスーパークリークさんが頭一つ抜けていた、という評判から、終わってみれば食らいつけたのは独りだけ、でしたからね
「そうですね、流石はオグリキャップさん、イナリワンさんと並ぶ3強の一角と言う他ない結果でした(苦笑」
高速ステイヤーとして頭角を現した辺りでしたからね…
「次走のOP競争で勝利しましたが、鳴尾記念、日経新春杯、京都記念と敗戦して引退。長かったような、短かったような…文字通り駆け抜けた時間でしたね」
成程…貴重なお話ありがとうございました
話はかわりますが、現在は何を?
「今はアパートの管理人をやらせていただいております」
ほほう、因みに何というアパートか聞いても?
「構いませんよ、馬沓館、と申します」
あっ(察し
「何か?」
いえいえ、何でもありませんよ
それでは、ありがとうございました、ハツシバエースさん
「いえいえ、私も懐かしい話が出来て、少し嬉しかったですよ」
それなら、良かったです
では、シツレイシマス
ふぅ、私もまだまだですねぇ…名前を聞いて思い出すとは
彼女が主導して名家の協力を取り付けて建てた、『新築の年季の入ったボロアパート』警備会社も裏手に常駐していた筈ですし…これは、入居者も…
いやぁ、流石にこれは手が出ませんね
ま、仕方ないですね
トモダチと約束した件もありますし
さて、次の取材先は、と
短い…?
短いな…まぁ、ええか!