カインとアベルのカインの名を持つ少年の診察記録である。
※これは最新鋭学習型AI「ALTER EGO」とマザーコンピューター『ドロシー』から生み出された新人類『Galerian』の子供『cain』との記録である。
以下の場面は「『EGO』を集めた被験者とエスの初めての会話が収録されている。」
Dr.レム
ミケランジェロ記念病院
医局員 「ペガサスファミリー染色体異常Q7G.No.04カイン、今すぐ院長室に来てくれ。繰り返すペガサスファミリー染色体異常Q7G.No.04カイン、今すぐ院長室に来てくれ。」
カイン 「やかましい…サイレンじゃないんだからやめてくれるかい…?」
カインと呼ばれる金髪緑目の少年は頭を抱えながら院長室に向かった。
院長室
レム 「来たか、カイン…どうして待たせた?これはドロシーの命令だぞ。」
カイン 「なんの用だい?ボクは頭痛が起きてるんだ…手短に話してくれるかい?」
レム 「早速だが最新鋭学習型AI『Alter Ego』の実験に付き合ってほしい。」
カイン 「『AI』?AIならママが…」
レム 「ドロシーではない、ドロシーはお前の中を知りたがっていた。だから『Alter Ego』を造らせた。」
カイン 「ふーん…」
レム 「早速始めてもらう。お前が暴走しないよう先にデルメトールを飲んでもらう」
カイン 「暴走しないよ」
レム 「万が一のことだ。」
カイン 「まるでボクのことを信用してないみたいだね?」
レム 「さっさと始めるぞ。」
実験室が図書館のような本棚でいっぱいの空間に変わった。
カイン 「図書館…なのか?」
??? 「はぁ…。ようやく来たのね、『カインとアベル』のカインの名を持つ子供」
カイン 「随分知った口を聞くね?」
??? 「知らないわよ、あなたのことなど何も知らないわよ私が知ってるのは旧約聖書のカインとアベルのカインの話よ。」
カイン 「そうかい…で?キミがAIなんだね?」
??? 「ええ、私はエス」
カイン 「医療用語の『エス』から来ているんだろう?サディズムのエスではなく」
エス 「詳しいのね。」
カイン 「これはママからの知識さ。」
エス 「まぁいい。年齢を聞きたいわ。」
カイン 「14」
エス 「壁男のデータ通りの子供だわ…」
カイン 「壁男…?」
エス 「こっちの話」
カイン 「そうかい。」
エス 「まぁいい。十分話せる個体みたいだからいきなりだけど本題に入るわ。」
エス「これから貴方について12の質問をするわ。あまり時間をかけないで正直に答えて。」
カイン 「ふうん…」
エス 「…。第一問「あまり感情的にならない?」」
カイン 「基本的には。リオンのことしか興味ないから。」
エス 「次。裏表の差が激しい?」
カイン 「裏も表もないさ。」
エス 「人からの影響受けやすい?」
カイン 「ママやリオンの事しか興味がない。」
エス 「好き嫌いがわかりやすい?」
カイン 「リオンやママの邪魔するやつは嫌いさ。」
エス 「嫉妬しやすい?」
カイン 「あぁ…ママはボクよりリオンを選んだからね…悔しかったよ。」
エス 「ツラいときこそ頑張りがち?」
カイン 「そうだね…ファミリープログラム通り動かなきゃいけないからね…」
エス 「曖昧だとイライラしがち?」
カイン 「ハッキリしてほしいものだね。」
エス 「なにも恐れるものはない?」
カイン 「…ママに考え事はしちゃいけないって…怖いんだ…」
エス「白黒はっきりつけたい?...って、これはさっき言ってくれたわよね。じゃあ次、人に騙されることが多い?」
カイン 「ママに騙されてない、ママはボクの希望だ。」
エス 「話の中心になりたい?」
カイン 「別に…他のことに興味がわかないから…」
エス「嫌いな人を無視しがち?」
カイン 「ボクやリオンに…危害を加えれば…ね?」
エス「これで終わりよ。ふうん...。なるほど。貴方はー。」
エス 「あなたの防衛機制の傾向は 極度な二分法思考 分裂型
あなたは対象や自己に対して 良いイメージと悪いイメージを分裂させて 1か0で考えてしまいがちね。
相手に自分の理想を押しつけたり 勝手に失望したりすることが多くない?/ 少し、都合が良すぎる考えじゃないかしら。
分裂させた自己の悪い部分を相手に見つけ 同族嫌悪に悩まされるタイプとも言えるわ。」
カイン 「分裂…?」
エス「どう、少しは理解した?ここがどういうところか。何より自分自身について。さっきの質問は、それを知るためのもの。」
カイン 「わからない…」
エス 「…そう。」
エス 「いいわ、まだ始まったばかりですもの。」
エス 「またEGOがたまったら、私のところに来なさい。」
カイン 「ふん…キミがボクを理解(わかる)ハズがない…」
カインは不機嫌そうにテレポートした。