あるジェダイが世界を変える為に命を掛けて戦う話   作:スッパーン//

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二つの人生を同時に生きようとするな






引用 アーサーモーガン


平和な時間

[やっぱりあの人は、ああやって誰かを教えている時が一番なんだろうな、、]

 

フェジテから少し南に行った所にある小川の川沿いで寝そべり空を眺めながらポツリと呟く男がいた。アーサーだ、その横には釣竿が地面に刺さっている。

それはさておき、学院ではある事が起きた、グレンレーダスの覚醒、まるで人が変わったのかのように、わかりやすく、緻密で完璧な講義をし始めたのだ。瞬く間に生徒間で大きな話題となり、その講義の質の高さに驚愕し、他クラスの生徒や他の講師まで来る始末だ。みんな掌を返していた、此間までやれ三流魔術師だのデリカシーの無いろくでなし男だのなんだのボロカス言っていたのに。いや待て二つとも当てはまっていた、蔑称に関してはいい線行っていたようだ。

 

[な〜に考えてんだ?アーサー?]

 

そう言いながら釣竿を持ってニンマリと笑顔を浮かべこっちにやってくる、男がいた。ハンクだ横にはウルフを連れていた。

 

[下らない事です]

 

[今日くらい怖い顔して考え事なんてすんなよ〜折角釣りに来てんだからよ〜リラックスしとけ〜]

 

[貴方が無理矢理僕を連れていったの間違えでは?]

 

[まっ、いいじゃねぇか偶には]

 

[じゃあなんで普通に誘わなかったんですか?]

 

アーサーが少し青筋を立てながら問い詰めると、ハンクはニンマリ顔をした。

 

[だってよ〜お前普通に誘っても、やれ勉強だレポートが〜とか仕事が残ってる〜やら今忙しくて手が離せないやらなんやら言って断るじゃねぇか]

 

[だからって、帰ってる途中で投げ縄使って俺捕まえて、そのまま引きずるとか、クレイジーすぎるでしょッ!!]

 

[ははっ!!隣にいた美人の女の子めちゃくちゃポカンとしてたもんな、あれ?もしかして彼女か!?デート中にそりゃー悪いことしたかな〜]

 

[違いますよ、あの子はルミア=ティンジェル、唯のクラスメイト兼友達です。いつも一緒に帰ってる子が用事やらなんやらで一緒に帰れなくて、偶々同じ方向だったから、帰るついでに美味しい飯食いに行ったり、僕はあんまりよく分からないんですけど服とかも見に行ったりしてただけです]

 

アーサーがサラッと言ったことにハンクはそれ普通にデートじゃね?と顔を訝しんでいた。

 

[い、いやーにしてもいい天気だな〜俺も魔術学院の学生時代に友人と良く釣りに行ったもんだ]

 

ハンクが何処か懐かしそうに語る。当たり前だがハンクにも友人と共に学び、遊び、切磋琢磨した学生時代があったのだ、少し話を聞きたくなったのか、アーサーがこんな質問を投げかけた。

 

[貴方の学生の頃はなんだが凄そうだ、いつも周りでトラブルが起きてそうで]

 

[ハハッ、そんな事ねぇぞ!今でこそこんなんだが学生時代の俺は絵に描いたような真面目ちゃんだったからな!問題行動もしないしなんなら生徒会長だったからな!!ハハッ!]

 

[ハンクさんにしては、面白いジョークですね]

 

アーサーが呆れたように返す。

 

[ジョーク?ジョークじゃないさ、ほれから見てみ、2列目の横から二番目が俺だ]

 

そう言って古い写真を渡してきた、女王陛下を筆頭に皆帝国の界隈で活躍している人間やその分野の重鎮だらけだった。

 

[ゲッ!女王陛下とか各分野の重鎮だらけやんオールスターかよ、、まぁいい、で?ハンクさんは....おいおい冗談だろ?]

 

そこにいたのは資質剛健という言葉をそのまま人の形にしたような人だった、ハンクの面影はあるが飾り気もなく、がっしりとした体格といかにも真面目で勤勉な風貌だが逞しい顔つきをした威厳のある漢だった。横をチラリと見た後アーサーは何処か悲しそうな顔をした後こう言った。

 

[....時は残酷ですね]

 

今のハンクと180度違う風貌にアーサーはただそれしか言えないのであった。現在のハンクは、真面目で勤勉さなんて微塵も無いし何よりこの時のように威厳は存在してない、そこら辺のおっさんである。

 

[ハッハッハッ、人生何があるかわからないもんだよな!!]

 

[本当にそうですね、身に染みて知りました....というか、生徒会長になれる程の人がなんでフェジテで鍛冶屋なんてしてんですか?]

 

少し踏み込んだ質問をしてくるアーサーにハンクの反応は少し微妙だった。

 

[おいおい、忘れたか?お互い過去の詮索は無しだって、まぁでも今回は俺が悪いか]

 

[ふむ.,.ではルールを追加しませんか?]

 

[ルール?]

 

[ええ、お互い、その秘密を知りたい時は相手が知りたい秘密を教えるというルールです、嘘はダメですよ]

 

[..面白ぇいいぜ、確かお前が知りたいのは、なんで鍛冶屋やってるか?だっけ?えーっとな、一応俺卒業した後は軍に4年くらいはいたんだけぜ?どんどん出世しててこのままエリート街道を突き進むって思ってたんだけど、軍の考えと俺の考えが違ってな....所謂方向性の違いって奴で除隊したんだ]

 

[なんすか、その売れないバンドの解散理由みたいな言い訳]

 

アーサーが目を細めながら言うと、ハンクがまぁ聞けってと宥め話を続けた。

 

[んでその後、各地を放浪してたらある時、道端に死にかけのじいさんがいてな、そいつを助けたらなんと、伝説の鍛冶屋とかなんとか巷で言われてる人だったらしくてな、なんで道端に倒れていたかと聞いたら、もう先長く無いからせめて綺麗な湖で死にたかったらしいけど途中で力尽きてしまったんだと。でもじいさんが目指していた場所めっちゃ汚水まみれで水の色も澱んでる汚いって評判の沼地だったんだよ!笑えるよな!]

 

[ははっ、面白いですねそれ]

 

 

[だろ!んでそのじいさん、妻に先立たれて、子供もいなかったせいで鍛冶屋の技術を受け継ぐ、後継がいないらしくてな、死ぬ前に置き土産だーって言って、俺に鍛冶の知識と技術を教えてくれたんだ、んでそのじいさんが死ぬのを看取った後、12年前フェジテで鍛冶屋を開いて今に至るって訳]

 

[成る程、教えて頂きありがとうございます]

 

凄い半生だ、軍人としての地位も名誉も捨てて、鍛冶屋に転身する当たり、権力や名声に拘らず、自分の生き方を一貫してきたハンクらしいとも言える。そして今度はハンクがアーサーに質問する。

 

[じゃあ俺の番だな、お前その戦闘技術とまだ10代の子供とは思えない手を汚す事のできる覚悟と心構え、何処で誰から学んだ?]

 

めっちゃ踏み込んでくるやん、とアーサーは心の中で思うがルールはルールこちらも答えないといけない、あくまで嘘は付かずに。

 

[そ、そうですね俺の場合は師匠に教わったんですよ、魔術も戦闘スキルも心構えも、処世術とか外国語、勉学と多く学びましたね、人としての在り方、誰かの為に力を使うことや、時に手を汚さなきゃ守れない事とか....]

 

[その師匠にいろんな事を学んだんだな]

 

 

[はい、正直あの人がいなければ、力を振りかざし人を殺戮する品の無い下劣な人間に成り下がっていたでしょうね...

でもだからと言って今の私も品のない下劣な人間とはいかなくとも、教会の神父のように善人で聡明な人間ではないですよ...。例え俺が殺した人間が、何も関係の無い人を手にかけた奴であろうと、人を殺したと言う点で見れば、唯の人殺しと変わりないですから、でもあくまで必要が有ればってだけですけどね]

 

アーサーの戦闘技術や性格や考え方はその多くは師匠から来てるらしい、アーサーは普段貰ってる給料の半分を孤児院に寄付してそこの手伝いをしたり、地域のボランティアなどをやったり、友達を侮辱されたらどんな人間であろうとキレたりするくらいには善人?ではあるが、その反面、彼と本気で敵対した人間は大概二度と太陽を拝むことは出来ない、相手が誰であろうと一切の容赦も慈悲も掛けず徹底的に叩き潰すからだ。ただ冷酷に、アーサーモーガンとは凍てつくような冷酷さと損得勘定に縛られない大きな暖かい優しさとを持つある種の二面性を持つ人間なのだ。

 

[成る程....ありがとうな、アーサー]

 

[いえいえ、とんでもない、それより釣りしましょ、まだ数匹しか釣れてませんよ]

 

[そりゃお前が下手くそなだけだろ、こっちはバケツ一杯に釣ったわ]

 

[ハハッ、バレましたか、じゃあもう少ししたら帰りますか]

 

[そうだな]

 

 

そうして暫くの間平和なひと時を過ごすのだった。

しかしアーサーは忘れてしまっていた、例の遅刻の件であのマッドサイエンティストの助手として働かされている事を....そして明日までにやっておいてねと言われた、テイレル要素を用いる事によって空間ベクトルにもたらす影響についてのレポートと言う、一介の学生には到底理解できない物を....いくらアーサーといえど5枚書くだけでも苦労するであろう物が30枚ある事を...これが後日ある事件のきっかけとなる。

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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