あるジェダイが世界を変える為に命を掛けて戦う話   作:スッパーン//

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平和は偽りだ、情熱があるのみ。
情熱を通じて強さを得る。
強さを通じて力を得る。
力を通じて勝利を得る。
勝利を通じて私の鎖はちぎれる。
フォースは私を自由にする。
平和は偽りだ。

引用 シス・コード


魔術競技祭

———————

———————————

——————————————アー..,!

------------------------------------------アーサー!!

 

[アーサー!!作戦会議中にボケっとすんな!]

 

まだ17くらいであろう、金髪緑眼の美青年がアーサーに荒い口調で注意する、アーサーはその懐かしい顔を良く知っていた。

 

[え?あれ?ユリウス?なんでここに?俺はさっきまでアルザーノにいたはずなのに]

 

[アルザーノ?何言ってんだお前?おいおい、アトラと夜な夜な宜しくやりすぎて、記憶でも飛んだか?]

 

ユリウスがアトラとの行為が原因だと言うと、横にいた少女が身を乗り出して反論する。黒髪で顔が整っていて、世間一般的には美少女と言えるであろう子だが気が強いせいで、可愛いより怖いの方が大きいのは玉に瑕だ。

 

[な!?ユリウス!!記憶飛ぶ程アーサーとしてないわよ!!]

 

[やってんじゃねぇか、うゎぁ僕から聞いといてなんだけど、親友のそう言った事情は聞くもんじゃねぇな]

 

[お前らうるさい!!もう少し私語は慎め!! ]

 

[まぁ良いじゃないですかマスター、ここには僕達しかいないんですし、ちょっとくらい騒いでもバチは当たらないですよ]

 

[はぁー何処でお前らの教育を誤ったんだろうか]

 

マスターと言われたのは長い髭と黒い髪が特徴の40手前であろう男だった、その双眸には今までいくつもよ修羅場を地獄の様な光景を見てきたのかわからない。

 

[?どうしたの?アーサー...なんで泣いてるの?]

 

その光景を唯黙って見ていたアーサーは、知らず知らずのうちに涙を流していた、それを見たアトラはアーサーの頬を優しく触ると、姉の様に慰めてくれた。

 

[どうしたの〜?何か怖いものでも見た?ふふっ、ここの所ずっと任務ばっかだったもんね、疲れちゃったんだよね〜ユリウスの事は気にしないで、今は吐き出しちゃいな〜]

 

[俺は....お前らを絶対に...]

 

------絶対に守る?ってか?そうだよなぁ、ここにいる人達はお前にとって家族同然だったもんなぁ、で?、ここにいる奴()()()()()()()()()()()()()()()()

 

アーサーがその声の方向に振り返るとその先にあったのは先程の幸せな光景では無く何も無い光すら当たらない虚無の空間、そこで自分に良く似た声が辺りを響く様に木霊する。

 

[ここはなんだ!貴様は何者だ!]

 

アーサーが吠えると、良く似た声は大きく笑う

 

[ここはなんだ、だって?ここは君が選んだ場所さ、君自身がこの道を選択したんじゃ無いか虚無と死の道を()()()()()()()()()()()()()?]

 

[ち、違う俺は違うんだ....]

 

[何が違うと言うんだ?もう一度見せてやろう...あの時の記憶を全て....]

 

全ての記憶がフラッシュバックする、凄惨で地獄の様な記憶が、余りのショックにアーサーは泣き叫ぶ

 

やめろ....やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぉぉぉぉぉぉ

------

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[ハッ!!はぁはぁはぁ、クソ....久しぶりアイツらの夢を見たな...]

 

アーサーは不機嫌な顔をしてベットから立ち上がる、どうやらさっきのは夢だった様だ夢は夢でも最低最悪の悪夢だったが....彼は、机に置いていた、いつもつけている蝶の模様と傷ついてほとんど見えないが何処かの家の家紋が刻印されているネックレスを首に掛けて、部屋を出た。リビングにいくと、ハンクが飯を作って置いてくれていた。

 

[おはようございますハンクさん、毎朝朝食を作って頂いて本当にありがとうございます]

 

[本来は弟子の仕事だけどよっ!お前はあのーなんていうか、、その、俺が作った方が美味いしな!それと傷は良くなったか?]

 

[ええ、お陰様で完全に癒えました、今日の魔術競技会には間に合いました]

 

[ははぁ、そいつは良かった]

 

なんだがはぶらかされた気がしたが、朝食を取りながらハンクとの会話を楽しむアーサーだったが、ハンクが一度箸を止めて今日の朝の事を訪ねてきた。

 

[お前うなされてたぞ?何か嫌な夢でも見たか?]

 

[えぇ、まぁ少し...]

 

[おいおい、下の世話してっか?欲求不満なんじゃねぇか?良いとこ紹介してやろうか?それが原因で悪夢って線も...]

 

[余計なお世話です!!なんでハンクさんに俺のリトル息子の心配されなきゃいけないんですか!!]

 

茶化してくるハンクに若干キレるアーサーだったが少し神妙な顔をしてハンクに尋ねる

 

[ハンクさん....]

 

[なんだ?]

 

[貴方は自分のした大きな選択に後悔した事はありますか?]

 

するとハンクは少し目を細める

 

[あぁ、数え切れない程ある、でも俺はその選択をした事によって、今があると思ってる、人生は選択の連続だよ..,でもそれが人生ってもんだろ?違うか?]

 

[はい...そうですよね、すみません変な事聞いてしまって...]

 

[ガキがんな事気にすんなって、今日の魔術競技祭頑張れよ!女王陛下も見にくんだろ?]

 

ハンクが激励を送ると、ハイ、頑張りますと答えて、家を出た。その姿を見ていたハンクは何処か懐かしむ様な表情を浮かべると共に、心に何かがチクリと刺さる感覚が襲う。

 

[....アリシアいや....今更だな、俺はこの道を選んだんだ、それにもう16年以上昔の話だ、それに行ったとしてもどんな顔して会えばいいかわからねぇな]

 

そう言って何処か悲しげな表情を浮かべゆっくりと玄関のドアを閉めるのだった。

 

--------------

今日は魔術競技祭というアルザーノ魔術学院の一台イベントが開催される、生徒同士で魔術の腕を競い、その結果によって順位を決めるそうだ

、普通なら成績上位者で固めるのが定石といえばそうなのだが、グレン先生はクラス全員で勝ちに行くというか、、、ハーレイ先生に給料3ヶ月分をふっかけたり、最初に決めた時にその定石を知らずに決めて、クラスメイト全員が乗り気になってしまって引くに引けなかったの方が正しいのかも知れない。そんなこんなで波乱の予感のする魔術競技祭が始まるのだった。

 

[あれ?俺2番目の競技じゃねぇか、のんびりしたかったけど時間もねぇな]

 

壁に貼り付けられた本日の流れと、競技のローテーションを見ながらなんとも言えない表情をする。彼がやる競技は魔術狙撃、数百メトラ先から飛んでいる的を打ち抜き、その数を競う競技だ、本来ならば決闘戦に入るレベルではあるものの、アーサーは魔術師の生命線である左腕が使えない、それは純粋な魔術戦では大きな不利になる。

普段ならばそれをカバーできるように、飛び道具やらフォースやらを使うが、正体がバレないようにしているのに、そんな事をすれば全てがオジャンだし、そもそも規定上そう言った類の物は使えない為、魔術狙撃を志願したのだ。

 

[なんとかなると思うんだけどな、俺的には魔術で狙撃するより、銃の方が得意なんだけど、たかだか数百メトラだ、いけるいけるいけるよな?]

 

[なぁーにぶつくさ言ってんだ?アーサー?]

 

[カッシュか、いや競技のことが心配で]

 

[はぁ?お前練習通りにやったら100%1番になれるってグレン先生からお墨付き貰ったじゃねぇか、そんな心配する事ねぇだろ]

 

[そうだな、そう思うわ]

 

そんなやり取りをしていると、騎士の甲冑を着た連中が奥の方からやってきた、煌びやかに装飾された馬車を護衛しているようだ。そして道の中心あたりで止まると、先頭にいた一人が猛々しい声を上げる。

 

[女王陛下のおなぁーりぃっ!!!!]

 

一同背筋が伸びる、騎士たちは皆膝をついて敬礼している、そして馬車の中から出てきたのは優しい顔をした妙齢の女性、遠目から見ても美人とわかる程凛々しいがその立ち振る舞いは威厳がある、只々目が離せない。この人こそアルザーノ帝国の支配者にして女王、アリシア7世だった。

 

[おいおい見たかよアーサー!あれが本物の陛下だぜ!]

 

[あぁ、すげぇ..,見ただけでわかる....この人は格が違うって]

 

[頑張ろうぜ..アーサー]

 

[勿論だ]

 

その後は祝辞を述べた後、女王陛下の名の下に魔術競技祭が開始が宣言された、今回の優勝候補はもっぱら1組という前評判だが、、最初の競技飛行競争では、、前評判をひっくり返すくらいの大健闘をした!!

 

[やったな!!ロッド!カイ!!]

 

[ああ!先生の作戦ピッタリハマった!!]

 

[流石先生!!]

 

[フン、当たり前だろ他の連中がペースを乱すのを待ち自滅するのを待つ、、なんとも楽な作戦だったぜ]

 

キメ顔でさも必然かのように話すグレンをアーサーは見破っていた。

 

(多分短距離じゃ無いのに救われたな...去年のように短距離の速度比べじゃなくて、交代式の長距離戦だったのがラッキーだったな、たった数週間じゃ速度上昇は望まないからペース配分だけ練習させたんだろ、自力じゃ差はあるだろうけど他で補ったな、次は俺の番か...適当に3番辺りを狙って...)

 

そうするとグレンが肩をポンと叩く。

 

[よし、次はアーサーだな、安心しろ、お前ならトップなんて掻っ攫う事なんて簡単だ!ていうかここでとってくれ!頼む!!じゃ無いと俺が死ぬ!!]

 

[頑張ってね!アーサー!]

 

[貴方なら一位くらい掻っ攫えるでしょ?]

 

[ルミアにシスティーナまで....そんな期待されても...]

 

[..,取ってくれたらこの間の数学の赤点と古文の追試...なかった事にしてやる...]

 

[な!?職権濫用ですよ!グレン先生!ほらアーサーも何か言って...]

 

[わかりました、ボス必ずや1位を取って参ります]

 

[......]

 

禁止カードを出され目の色が変わり、先程まで考えていた3位あたりを取ろうなんて考えは忘却の彼方に捨て去り、大人気なく一位を取りに行くようだ。そして競技場に足を踏み入れる、周りには観客だらけだがアーサーはその場で直立不動になる、すると1組の生徒が話しかけてきた。

 

[やぁ、アーサー君、わざわざ負けに来てくれるなんて感謝するよ、僕という狙撃の天才がいるのに、不幸だな君は]

 

[え?あぁ、ごめん、今なんか言った?ちょっと集中しててさ、用がないなら少し遠慮してくれるかな?後で....話は聞くからさ?]

 

[え。ぁあそれはすまない、邪魔したね]

 

アーサーの野生的な目を見た生徒は、背筋にゾクっと何か恐ろしい物が本能的に走り、冷や汗を掻きながら、その場を走り去った。アーサーは今一度目を瞑り集中する。司会が競技の説明をしていようが関係無かった、何故なら的を全て撃ち抜けば良いのだから点数も関係無い、只々待っていた、その時を始まりの鐘が鳴る時を....

 

[では二種目目、魔術狙撃..開始です!!]

 

始まりの鐘が鳴ったと同時にカッと目を開き、誰よりも素早く狙いをつけるとショックボルトを詠唱する。

 

[雷精よ・我が手の中で・踊れ]

 

その手から放たれた紫電は高速レーザーのように一直線に行くと、的のて前辺りで3つに別れると....全てが真ん中に必中した。

 

[神業!!神業だぁぁぁ!二組のアーサー選手いきなり300メトラ先の円盤を同時に3つ打ち抜いたぁぁ!!]

 

((ワァァァぁぁぁ!!!))

 

即興改変したショックボルト、これを遠距離仕様に変えて尚且つ瞬時に3つの狙いをつけて偏差を考えて撃ち抜く、正直人間業では無い会場からはドッと歓声が湧いた。

 

[凄い...あんな先の的を同時に3つも]

 

[なんだよあれ?ハハッ人間業じゃねぇだろ]

 

ルミアとカッシュが引き笑いをしながら言うと、グレンも正直あのレベルだとは思ってなかったのか、ドン引きしていた。

 

[きっしょ〜....あの遠距離狙撃の他に即興改変と距離が違えば威力も調整しなければいけないのに、あの寸分違わない威力調整...やっぱりアーサーはお前らの中でも頭一つ抜けてるわ、普通の学生にはまず無理だな....天賦の才ってやつだろうな、正直配点の高い魔術戦にぶち込みたかったけど、ここは2番目に配点が高いところだ...取れるだけ取っちまえ!!アーサー!]

 

その後も的を次々と撃ち抜いてくるアーサーまさに独壇場、最早他の生徒は戦意喪失していた、そしてこの競技は打ち抜くにつれてどんどん難易度が上がってくる特殊な競技でもある、最後は1500メトラ先の的が出てくるという、前代未聞の事態になった。しかしそれも

 

[遮蔽物も何も無い的を打ち抜くなんて、ただ威力を上げれば良いだけだ、他に比べると簡単だ]

 

そう言うと、超遠距離仕様に即興改変して、放つと的のど真ん中に当たると的はそのまま落ちていった。

 

[な、なんと....今回の点数...歴代最高得点です!!二組は繰り上げで3位から一位です!!分からなくなってきました!!今年の魔術競技祭!!このまま新生ダークホースである二組が逃げ切るのでしょうか!!]

 

[なぁ?見たかよあれ?本当に学生かよ?]

 

[ほんとだぜ、アルザーノの未来は安泰かもな]

 

観客席がざわつくと、その波は陛下のいる来賓席まできた。

 

[凄いですね...アーサーという子、あの年にしてあそこまでやれるものなのでしょうか?セリカ?]

 

陛下がセリカに質問すると、彼女はフッと笑い答えた。

 

[いくら最近の若い奴らの技術が上がってるからと言っても、正直アイツレベルの奴はそうはいないと思うぜ]

 

[まぁ!ではあの子は天才なのですね]

 

[んーそうだな〜厳密には凡人が死に物狂いで努力した感じだと思うけどな....本物の天才ってやつはシスティーナとかそこら辺じゃねぇかな?まぁでも、帝国で将来必要になってくる人材だとは思うから...今のうち唾つけておいたらどうだ〜ん?アリシア?]

 

[ふふっ、考えておきます]

 

会場や来賓席が湧くのを尻目にアーサーはインタビューも何も受けずに、その場を去った。

 

(ちょっとやりすぎたわ、、いやちょっとっていうかだいぶだけど、ま、まぁ天才って豪語する変人みたいた感じの設定だから、、平気......なはず、でもこう集中すると周りが見えなくなるのマジで良く無いな....注目浴びたく無いのにここまでやるのは、最早わざとの領域だぞ俺...,普通に接戦で一位取れば良い物を大人気なく本気で取りに行くのはよく無いわ絶対)

 

心の中で反省するアーサーだった、すると向こうの方から凄い勢いでカッシュ達が走ってきた。

 

[アーサー!!お前すげぇな!!歴代最高得点更新だってな!!]

 

[えぇ!!本当に私のお祖父様を超える人が現れるなんて思ってなかったわ!!]

 

どうやら最後にこの点数に近い点数を叩き出したのは、システィーナの祖父は著名な考古学者という一面と魔術師として第七階梯に届きそうな程腕の立つ人物だったそうだ。流石は名門と言った所か

 

[あはは、偶然だよ偶然....ちょっと集中力が極限値に行ってただけ]

 

[ハハッ、アーサーなんだよそれ?とりあえず行こうぜ次はウェンディの番だ]

 

[ちょっと待って!俺少し休みたいんだって!肩組むな!!いやお前力強!]

 

そう言って肩を組まれて、無理矢理連れていかれるアーサーだった。

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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