あるジェダイが世界を変える為に命を掛けて戦う話 作:スッパーン//
あぁ...あの子の好きなアップルパイもっと作ってあげるべきだったかしら....もっとあの子と一緒に居たかったな....
引用 愛する者の為に命を掛けたある母親の言葉
[ふぁー眠ぃ〜お前らしっかり自主しとけよ〜]
と言って机の上に頭を乗せてそのまま寝てしまった。
このグレン=レーダス講師が来てから早数日経ったが、相変わらず学院の講師失格と言える授業をやっていた。授業中漫画を読んでゲラ笑いしていたり、偶に思い出したかの様に無気力な顔でチョークを持つも、字が汚すぎて読めなかったり、挙げ句の果てには黒板に教科書を釘で打ち付けて固定し、満足そうな顔をする始末だ。こうなってしまうと、授業どころでは無い。クラスの中でのグレン先生の評価は俺も真っ青なレベルで低い、特に女子からはかなりヘイトを買っている様だ、それに前日にシスティーナと決闘した際フルボッコにあった為魔術師としての評判もかなり悪い。今現在グレン先生は、ロクな授業もしない、学生に負けるレベルのド三流という事になっている。
[.......あんたはそうゆう人じゃ無かったはずだろ]
アーサーは何かもどかしさを感じている様な顔をしながら、誰にも聞こえない声でボヤくが、直ぐに黙りペンを持ち直し、それを走らせた。
と、そこで小動物の様な愛くるしさを持つ、リンという少女が少し小走りしながらグレンの元に駆け寄った。
[グ、グレン先生、お休みの所申し訳ありません、ここ分からないので教えて頂けないでしょうか?]
[ボクチン、お休みタイムだったんだけど、で、なに?何処が分からないの?]
顔をむくりと上げ、欠伸をして眠そうな顔をしながら教えようとすると
[ムダよ、やめときなさい]
[!]
[あ..システィ]
と、システィーナがリンを静止した。
[なんせそいつは、魔術の崇高さも偉大さも何一つとして理解していないんだから]
と、冷たく言い放ち、リンを連れてその場を去ろうとした時、グレンが言われた言葉に反応してしまう。
[...なぁ何処が魔術は崇高で偉大なんだ?魔術って?]
[フン、何を言い出すかと思えば、そんな事?魔術はこの世界の真理を追求する、いわば神に近づくに等しい学問よ]
とシスティーナが魔術の素晴らしさについて講釈すると矢継ぎにグレンが質問する。
[ふぅん、で?それがなんの役に立つんだ?それ?]
[え...]
少しクラスがざわつき始めアーサーもその言い合いに注視し始めた。
[そもそも魔術って人にどんな恩恵をもたらすんだ?例えばそうだな、医術は人を病から救うよな?農耕学や建築は人々の繁栄をもたらすには欠かせない代物だ、で?魔術はなんの役に立つ?普通に生きていたら一般人にはまず見る事の無い代物だ]
グレンがシスティーナにこの様な質問を投げかけている一部始終を見ていたアーサーは嫌な予感がし始めて、口喧嘩を止めに掛かる。
[お二人ともやめましょうッ!仲良く..]
だがそんな願い虚しく、ガン無視され二人の口喧嘩はヒートアップし始める。
[...ッ!魔術はッ!人の役に立つとか立たないとか、そんなレベルの話では無くて....]
システィーナが苦し紛れに論点を変えに掛かる。その姿を見てグレンがフッと鼻で笑いながら....
[....悪い悪い魔術は何より役に立ってるぜ?]
あまりの強烈なワードとグレンから醸し出されているドス黒い声と雰囲気がこの場を支配する。システィーナも一気に顔を青ざめさせる。止めに入ったアーサーも他のクラスメイトさえもグレンの殺気によって動きが止まった。
[剣で一人を殺す前に魔術は何十人と殺せる。これほど人殺しに長けた技はねぇぜ。]
[ち、違うわ!魔術はそんな...]
[違わねぇよ、ならどうしてこの国が魔導大国と言われているんだ?宮廷魔導士とか言う物騒な連中も居るほどだぜ?魔術ってのはな人殺しと一緒に発展してきた技術なんだよ!んでお前らが習ってるのは殆どが攻撃用魔術だろ?ハッ!こんなロクでも無いもんに時間を掛けんなんてやめちまえよ!もっとマシな!]
自分の魔術を否定されシスティーナが涙目になりながら手を振りかぶると、後ろからグレンの顔面に向かって、手袋が飛んで来た。
[そこまでだ....グレン先生。これ以上彼女の事を侮辱するなら...その手袋を拾え...俺が相手になってやる。]
アーサーがいつもの違う声色と雰囲気で、グレンを睨みつける。その姿にクラスはまたざわつき始める。
[ハッ!俺も人気者だな、一週間も経ってないのに、2回も決闘を申し込まれるとはな!つうか侮辱だって?笑えるぜ、俺が親切に魔術の現実について早いうちに教えてやってんじゃねぇか]
[...言い方ってもんがあるでしょ?それに頼んでも無い事だと思いますけど]
[頼んでも無い?いつかは直面する現実なんだよ、んな事も分かってないのか?]
[....私が言いたいのは!貴方が魔術に対してどんな考え方をしようと、どんな価値観を持っていようと貴方の勝手だ.....だが!それを他人に振りかざし!押し付け!!人の考え方や信じているものを否定すんのが間違ってんだよ!!]
[.....]
アーサーが正論を言うとグレンは押し黙りバツが悪そうに舌打ちをしながら教室を後にした。
[ありがとうアーサー...]
[気にしないでくれ]
システィーナは涙を拭い、アーサーに対して感謝の言葉を述べたが、等のアーサーは気にしないでくれの一言を残した後、足早に教室を後にした。
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[グレン先生]
[アーサーか.,.んだよ、口でも言い負かされて、魔術でもボロ負けした俺をざまぁって笑いにでも来たのか?]
[いえ、違います....先程はすみませんでした]
グレンは自嘲気味に笑いながらアーサーに問いかけると、彼はいきなり頭を下げた、グレンはいきなりどうした?と困惑の表情を浮かべていた。
[な、なんで謝るんだ?]
[僕があの時、怒りの感情に流されて失礼な言動と態度を取ってしまって、あまりに彼女の魔術に対する姿勢を全否定する言い方だったので我慢していたのですがどうしても頭に血が昇ってしまって...]
[お前...見た目によらず熱血漢なんだないい事じゃねぇか友達の為に誰であろうと怒れる事って]
[あはは...そうですかね.....それに彼女にとって魔術は祖父との大事な繋がりでもあって、彼女の祖父が成しえなかった夢を実現しようと小さな頃から日々努力して頑張っている。とルミアからも聞いていて...,それに僕自身彼女の努力している姿を見ているので、余計に怒りが込み上げてきて]
[そんで気づいたら俺にふっかけていたと]
[はい...恥ずかしながら]
少し顔色を伺うかのような顔でグレンにふっかけた理由を述べていた。さっきのナイフのように鋭い目つきと重低音のように響く低い声色も鳴りを潜め、親に悪事を白状しているまじまじとした子供のようであった。グレンはフッと笑みを浮かべてアーサーの髪をわしゃわしゃと撫でた。
[気にすんなって、あれは俺が全面的に悪いしな...明日みんなにきちんと謝罪してちょー真面目に授業やっから任せとけ!それに教員に喧嘩ふっかける事なんて男なら一度や二度とあるもんさ]
[良かった〜私のせいでやめられてしまったら、どうしようと考えていましたので....これで安心です]
[?なんでお前が一介の魔術講師...しかも非常勤の奴をそこまで心配するんだ?]
[ヒント第七階梯]
[あーオケ把握した]
第七階梯こと世界最高峰の魔術師セリカ=アルフォネアとアーサーはあるイザコザに巻き込まれた際、セリカに振り回された為それなりに少し縁があるのだ....あと借りも。その彼女にこれからくる講師を何がなんでもやめさせるな...そしたらあの借りはチャラだ、でも失敗したら...わかるよな?と脅されていたのだ。それはそれは恐ろしい感じで。そんな経緯を説明した後少し談笑してると、ふとグレンが質問する。
[なぁアーサー?お前と俺何処かで会ったことあるか?]
[どうしてそう思うんですか?]
[なんだか初対面じゃ無い気がするんだよな、気のせいか?]
[気のせいですよ、僕と貴方はこの間初めて出会ったんですから。それに貴方みたいな騒がしい人の顔を忘れる方が難しいってものですよ]
[それもそうか...悪いな変なこと聞いちまって。じゃあ俺もう行くけど、気をつけて帰れよ]
[はい!では失礼します!]
アーサーが走り去っていくのを見ながらボソリとグレンが
[あの変な喋り方ってやっぱりキャラ作りだったんだな]
と呟きフッと笑いながら歩いて帰路についた。
だが帰路につきながら当の本人は人知れず頬からは大粒の涙がポツリと溢れていた、嬉し涙か、それとも悲しいから泣いているのか、自分自身の情けなさに泣いているのか分からないほどぐちゃぐちゃな感情がアーサーの中で渦巻いていた。
続く