結婚破棄を前提に許嫁にしてください   作:哀上

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第二話 裸の少女に弱い所を握られる

 第二話 裸の少女に弱い所を握られる

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「もしかして王子様好きな人でもいるんですか!?」

 

 そう身を乗り出して聞いてくる少女。

 さっきまでどこか幻想的で人形のようだった彼女は、顔いっぱいに笑顔を浮かべまさに年相応の元気一杯な少女といった様子だ。

 

 興味津々といった様子でジリジリと詰め寄ってくる。

 女子が恋バナ好きとは聞いたことあったけど、ここまで食いつくものなの!?

 

「え、えっと」

 

 ジリジリと後退しながら少女との距離を一定に保つ。

 

 人形さんよりはまだ接しやすいが、それにしたってこう前のめりで来られると対応に困る。

 なんたって、こいつまだ全裸のままだ。

 結果として年相応の少女がテンション高めに全裸のまま僕に詰め寄ってくるという惨状が出来上がったわけである。

 

「と、とりあえず落ち着いてくれ」

 

 なんとか少女を宥める。

 裸のままの少女に詰め寄られるというのは非常にくるものがある訳で、これまでの俺の理性による制止が一瞬で無に帰しかねない破壊力を誇る。

 

 淡々と来られる人形モードもそれはそれでやばかったが、無邪気に来られるとそれはそれで……

 

 いや、違う。

 断じて俺はそんなとこ見てなんか、って誰に言い訳してるんだ僕は。

 このままじゃ僕本当に頭がおかしくなっちゃうよ。

 

「誤魔化すんですか? 女の子に恥描かせておいて」

 

 頭を抱え悶え苦しむ僕に少女がそんなことを言ってきた。

 

 恥?

 まぁ、誘って断られるというのは常識的にいえば恥なのだろうけど、全然そんな風に思ってそうには見えないんだが?

 というか、仮にそれを恥ずかしいと感じたとして初対面の男に裸を晒すのは恥ずかしくないの?

 

 僕が首を傾げると、少女がじとっとした視線を向けてきた。

 目は口ほどに物を言うとはよくいったものだ。

 僕の感想への抗議の意がこれでもかと伝わってくる。

 

 まっすぐ目を見返して僕も抗議の意を

 

 ……だめだ。

 どうしても視線が下がってしまう。

 目をまっすぐ見ようとしても、膨らみとポッチがチラチラと視界に入って。

 この状態で勝ち目はない。

 

 男のサガなのだ。

 そこにあれば、自然と視線が行ってしまう。

 

「は、話すから。とにかくさっさと服を着てくれ」

 

 とにかく服を着てもらわないと話が前に進まない。

 

「絶対ですよ」

 

 服を着て欲しい一心で、深く考えることなくうなずく。

 

 少女はそんなことを言いながら、いそいそと服を着込みだした。

 決して残念なんて思っていない。

 当然だ。

 僕は紳士だ。

 

 むしろ、女性が服を脱ぐ姿はもちろんいいが、着込むのもそれはそれで……

 って、何を考えているんだ。

 

「はぁ〜」

 

 やっと服を着てくれた。

 助かった。

 断じて残念なんて思ってないぞ。

 ほんとだよ?

 

 そういや「絶対ですよ」って、俺話さなきゃいけないの?

 恋バナを?

 

 いや、気恥ずかしさとかもあるけどそれ以上に王子が平民に一目惚れって結構なスキャンダルでは?

 僕こいつに弱み握られるの?

 しかも色仕掛けで?

 

 なんか、すっごい屈辱的なんだけど。

 

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