斬る、斬る、斬る、斬る……
目の前で起こっている出来事。それはあまりにも非現実的で、確かな現実だった。
「よお、少年。」
大丈夫かと、あとに続けて無数のモールモッドの残骸を作り出した男は僕の方に向かって声を掛けた。
「だ、大丈夫、です…」
声が震える。でも仕方がない。だって今は戦争をしているんだ。間違いなく今後の人生における重要なターニングポイントなんだ。なのに…
「あ、あの!」
「ん?何だよ。」
この男が使うトリガーは僕達が使っているのとは違う。つまり、それは相手が敵、もしくは第三勢力の可能性があるということ。
「あなたは…」
僅か一分という時間の中で方法は分からずとも、ざっと五十は下らない数を倒す。そんな未知の相手をしなくちゃならないかも知れない。
「敵なんですか」
馬鹿正直に聞く。いつも僕は冷静だと思っていた。それしか僕はこの場での長所はないと思っていたのに、何故かこう聞いていた。でも、それで良かった。覚悟はでき…
「いや、違うぞ。」
…たと感じたが、その言葉を聞いて安堵した。だが、そうならば、この男はいったい…?
「俺は味方だな。それも君たちを助けに来た。」
は?とつい口を滑らせ困惑する。
「ああ、そうか。まだ言ってなかったな。」
俺はなと続けて、それを聞いた僕は今度こそ困惑し、驚嘆した。
「黒木悟。あの大規模侵攻で拐われ、戻ってきた帰還者だ。」
同時期 ボーダー本部指令部
「き、帰還者だと!」
あの男、黒木悟が発したその言葉にその場にいた全員が愕然としていた。
そもそも何故彼らがあの会話を知っているのかと言えば、強烈なまでのトリオンを感知し、その発生源特定の為に探りを入れていたからであった。
そして見つけたのは無惨なまでにボロボロとなったモールモッドを軽く見積もっても五十体は討伐する
初めは
「本当に、そうなのか…」
忍野田本部長の一言はただただ、指令部の中で響いていた。
「あー、おーい。反応してくれ。」
大丈夫か?と黒木は少年の頭を優しく叩いた。
「は、はい!だ、大丈夫です。」
正直に言えば、全くもって大丈夫ではなかった。目の前に居るのは、あの大規模侵攻の行方不明者であり生還者であり未知のトリガーを使う
「そう言えば。」
ふと、黒木の言葉で思考の海から脱出させられた。
「君の名前は?」
そうだ、まだ名前を言ってなかった。
「僕は、三雲修と言います!」
慌てて自身の名を口に出した。
「三雲修、ね…うん。良い名前じゃないか。」
はっはっはと笑いながらうんうんと頷く姿に修は黒木に掴みづらさを感じた。
「ところで修君。」
急に名前を呼ばれて少し反応が遅れたが返事をすると。
「少ししゃがんでくれ。」
声が違った。修自身には経験は無かったが、それが成す意味を本能的に理解し、すぐさま伏せた。
ギュルルルルルッッッ!
不気味さと猛烈さを含んだなんとも形容し難い音と共に、修は自身の真上で斬撃が通ったのを感じた。
修はまだ理性的には分かっていなかったが、何かしら倒したのだろうと把握し、自然と体は後ろを振り返った。そして、ただそこにある事実に身を固めてしまった。
それも仕方ないだろう。黒木が今倒したのはラービットと呼ばれている新型。それを一振りで五体薙いでいた。
「いやー、危なかったねえ。でもまあ、相手がわるかったわな。」
黒木は自身右手にブレード持ち、意気揚々と佇んでいた。そして、修は気づく。
「黒木さん、あなたが使っているトリガーは
彼の持っていたブレードは端的に言って異質だった。修たちが使う孤月などに形状は似ているが、よく見てみると小刻みに振動を繰り返しそしてとても柔らかい。だというのにそのブレードは原型を留めている。自身の知っているものとは到底かけ離れていた。
それ故に修が出した答えが黒トリガーの保持者ということであった。
「違うぞ。」
しかし、返ってきたのは否定だった。
「え?いや、でもそうじゃなきゃ一体…」
「あー、そういやこれも言ってなかったな。」
修の反応を見て黒木は己の持つトリガーの話を始めた。
「修君はさ、黒トリガーのことは知っているんだよね。」
「ええ、知ってます。僕の周りに持っている人がいるので。」
「となると、造られ方とかも分かっていると。」
「はい。」
「なら修君、君は黒トリガーのその先は知っているかい。」
「え?」
ブラックトリガーのその先。修は何を言っているのかが分からなかった。
「黒トリガーは白トリガーと白トリガーを混ぜ合わせて完成する。まあ、ざっくり言えばこうだ。」
息を飲む。まさか、いやそんな。修の中である可能性がよぎる。
「じゃあ、黒トリガーに黒トリガーを合わせたらどうなると思う。」
この時の言葉が全てだった。そして理解してしまった。
「黒木さん…あなたのトリガーは…」
「そうだよ。俺のトリガーは黒トリガーの混ぜ合わせ、黒トリガーのその先。通称…」
「
ご閲覧ありがとうございました。次回の作品にご期待ください。