TS転生先がエロRPG世界っぽいので最高の敗北を味わうために全力処女プレイしてみせる!   作:北京院

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ファンタジー世界に生まれたなら魔法を使いたい!

 俺が記憶を取り戻して、二年ほどの年月がたった。

 身体はひらべったくってずんぐりとした幼児体型からは離れていき、手足がすらっとしはじめて大人に近づいた。

 濃い目の茶髪だった髪は少し伸びて肩をちょっとこえるぐらいになり、色が若干明るくなった気がする。

 時々いろんな髪型を試してみるのは楽しい。可愛くなっているのだと実感するし磨きがいがある。

 

 胸も大きくなって……大きく……少し大きくなって、そう、成長期になって、それから子供が作れる身体にもなったみたいだ。

 最初は混乱のあまりお母さんに泣きついてしまってから冷静になり、前世の知識と擦り合わせれば当然わかる結論すらでてこず恥をかいてしまった。

 あらあらと笑いながらも祝ってくれたし諭してくれた時には顔から火がでるかと思った。出そうと思えばだせるけど。

 

 でもそれはそれとして子供が作れるようになったのは、嬉しい。

 いつか愛しい人と大切に育むべき愛の結晶を身体に宿せるようになったのだから。

 

 その身体を、愛を蹂躙され取り返しのつかないことになるかもしれないリスクが増えたから。

 想像するだけで興奮が抑えられない。お母さんからはいろいろと気を付けるようにと言われたが当然だと思う。

 そんな貴重な体験そうそう起きてたまるものか。墜ちきったあとのことを初体験前に考えたくはない。

 

 

 魔法の訓練はかかさず続けているおかげでなかなかに器用になったと自負している。

『魔力を動かす』感覚は、感情を伴わせると存外に掴みやすくて想像力豊かなことがとりえである俺には向いていた。

 

 たとえば火の魔法には怒りや恥などの『熱くなる』感情を魔力に込めれば効率よく変換できて威力も上がったし、お母さんに怒られた時の感覚やいつか来るかもしれないバッドエンドへの恐怖を込めれば『凍てつくように』氷の魔法が使えた。

 

 魔法使いは誰よりも冷静でなければならない、とは前世で聞いた話だった気がするが、今世では感情の引き出しを多く持つことも優れた魔法使いの才能なのかもしれない。

 

 俺は将来は人助けのために旅にでて、負けるまでは困っている人を助けられる人間になれるように──どこかでちゃんと力およばず倒れてしまう絶望的なバッドエンドを迎えるために──強くなっておく必要があると思っている。

 

 苗床エンドで人類の敵対者みたいになるのだけはごめんなので、その時は楽しむだけ楽しんだら来世に期待して胎を焼いて子供を作らせないようにしてから死ぬつもりだ。

 正気を失うほど気持ちよくされてしまったらどうしよう? というのは懸念事項だ。

 あへあへはらみちゃんになってしまっては自殺はできないかもしれない。

 

 あと、相手に無理やり蘇生されるのもちょっと怖い。

 悪い魔術師的な奴に洗脳されて手ごまにされるのはなかなか興奮するシチュエーションだけど主観で気持ちよくないのはもったいない気がする。

 

 自爆魔法的なものを作って練習しておいた方がよいのだろうか? 

 練習しようとして粉々になって死んでしまうかもしれないのは怖いから手段だけは考えておこう。

 

 痛いのは嫌だけれど、前世から今世で特別なことなどなくてもこれたのだから来世もきっとあるだろう。

 ひょっとしたら死んでからも助けた誰かへ名が届いて誰かが悼んでくれたなら、それはとても価値のあるものになると思う。

 

 今世は意味のある生と死を謳歌したいものだ。

 そうすれば来世も楽しんで生きられるし、気持ちのいい人生として幕を下ろしたい。

 

 教わった『魔法』は基礎的なものばかりで『唱えると自爆して死んでしまう呪文』なんてものは知識にない。前世のゲームには存在していたけれど。

 

 ──というか、呪文も本当はこの世界には『必要ない』みたいだ。

 身体に宿る魔力という純粋な力を、形を与えて制御し世界に影響を与えることが『魔法』なのだ……と、俺は少し前に気が付いた。

 

 恥ずかしい気持ちを込めたり怒りを込めて魔力を動かせば『熱い』から、そのまま放出すれば火の魔法になる。

 しかし瞬時に恥ずかしい思い出や怒りのイメージを作るのは難しい。

 

 このイメージを作りやすくするために例えば『炎よ我が敵を焼き尽くせ』と相手を燃やすイメージを作る。

 もしくは『火球よ我が敵を撃て』と炎の弾を飛ばすイメージを作る。

 あとは形をイメージしやすくするために『フレイム』とか『ファイアボール』と声と一緒に魔力を放出してやれば、イメージ通りの結果が起こる。

 

 これが『魔法』だ。俺に魔法を教えてくれた村長は呪文と詠唱が必要だと思っていたみたいだけれど、どうやら違う。

 

 

 ある時俺がつまずいてしまったのをユートが支えようとして体勢を崩してしまい押し倒されるような形で胸を触られたことがあった。

 まだ感度も何もない無垢な身体への初接触者がユートになるのは予想外だったので混乱してしまい、突き飛ばそうとした。

 ユートは謝りながら離れようとして──『勢いよく吹っ飛んだ』のだ。

 幸い怪我ひとつなく無事に着地したけれど、明らかに自分が腕力以外のものでユートを弾き飛ばした感覚があった。

 

 いわゆるイヤボーンというやつの軽度なものだ。

 拒絶する意思が斥力を──もしくは風か、とにかく自分から離そうとする力になって放出された。

 

 魔力の単純放出は本来なら大変効率が悪いと言われたし、与えられる影響は微々たるものだ。

 だけどユートを吹き飛ばしてしまったときはそれほど魔力も込めていなかったのに大きな結果を得られてしまった。

 腕力だけで突き飛ばせるほどこの腕に筋力はない。ならばどうして? 

 

 その疑問を解決するためにいろいろと試してみた。

 結果としてわかったのが『魔法に呪文が必要ない』ということだ。

 魔力に最初から形を与えてから放出すればそれはすなわち呪文を唱えての魔法と同じ効果で、形を与えるには想像力が必要だった。

 妄想が趣味みたいなものだった俺には『魔法(・・)』はとても向いていた、というわけだ。

 

 ……なかなかすごいことだと思うので、他の人の前ではちゃんと呪文を唱えている。

 悪目立ちがしたいわけではないし、詠唱破棄というのはカッコイイ要素だ。

 俺は可愛い系だけど、いざ! って時に使えたらすごくいいと思うし『とっておき』という響きはロマンがある。

 

 本当に追い詰められた時とか、誰かを助けるために使っていくうちに異端審問みたいなことになってえっちな尋問みたいなのもちょっとだけ期待している部分もあることは否定しない。

 信じた人や助けた人たちに裏切られるなんて最高に絶望的だと思うし。

 

 それはそれとして普通の呪文というのは才能さえあればある程度誰でも使えるというのが『イメージの共有』としての詠唱と呪文がシンプルに働いていて効果があるのだなぁと思った。

 どうすれば魔法が使えるのか、どんな結果が起こるのか。それをイメージしやすく体系化することで魔力を扱いやすくするというのは生活を豊かにすることにも繋がる。便利だ。

 声に出すというのはイメージを豊かにするし、俺もとっさに使うならこちらのほうがやりやすい。

 

 

「サナ、どうしたの? なやみごと?」

 

 自爆魔法的なものを用意すべきか、その手段はどうとるべきか。

 そんなことを悩んでいたらユートに声をかけられた。背もちょっと伸びて、少しだけたくましくなっている。

 でも俺の方が先に成長期に入ったのでまだ負けてない。たぶん。

 すこーしだけこちらが上だと思う。そんなに近くで比べないからわからないけれど。

 

「少し、新しい魔法とか作れないかなぁって悩んでたところ。できると思う?」

 

「新しい魔法? それは……どうなんだろう。僕は魔法が使えないからわかんないや」

 

「あはは、だよね。うーん……」

 

「でもサナならできるよ。サナがすごいのはよく知ってるから」

 

「……ありがとう。うん、できる気がしてきた!」

 

 ユートはよく相談に乗ってくれる。彼は剣の訓練をいつもしているけれど魔法の才能はないらしい。

 でも率直な意見をくれるのでとても参考になるし、いろんなことに詳しいみたいでとても助かっている。

 

 あと誉められると単純に嬉しい。

 そして嬉しくなると元気がでてテンションが上がり結果として魔法のコンディションが上がるので助かる。

 自らのメンタルケアも、この世界の魔法使いには必須技能だと思う。

 

 記憶を思い出してからも口調はできるだけ変えずに幼馴染として接している。

 素では『俺』といいたいけれど、そんな細かいところで不思議がられて距離を離されたくはないし。

 あと将来はやっぱりちゃんとかわいい女の子として振る舞って旅をする予定なので言葉遣いは丁寧にしておくにこしたことはない。

 

 魔王がどうこうみたいな話は聞いたことがないのであてのない旅になりそうだなぁとは思っている。

 昔に旅に出ることを相談した時はお父さんにもお母さんにも反対されたけどちゃんと大人に──この世界では15歳からは一人前扱いだ──なって心配ないと証明してからまた話をしよう。

 わざとケンカして追い出されたり内緒で飛び出すことも考えたけれど『私』を……サナリアを育ててくれた人にひどいことはあまりしたくはなかった。

 

 まぁ親不孝にもバッドエンドを迎える気はマンマンなんだけれども。あんまりにも辛かったら泣きつきに帰ってこよう。

 望まぬ子とか身籠ってたりしたらごめんねの精神で。登場人物はすべて18歳以上です。

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

「ユートはまた特訓してたの? すごいね」

 

 サナがころころと可愛らしく微笑んで僕を褒める。

 うれしかったけれど、少し恥ずかしかった。サナには内緒で強くなりたいと思っているのに毎回バレバレで、しかもあんまり上達はできていない。

 

 サナは魔法の才能がすごくあるみたいで、あれやこれやと試しては僕に意見を聞いてくれたりする。

 すごいな、と思うことはできても僕は魔法がつかえないから具体的なアドバイスなんてできないけれど。

 綺麗だとかすごいとか、そんな思ったことを伝えるだけでサナは「でしょう?」と胸を張ってにっこり笑ってくれた。

 

 ただ誉めるぐらいしかできない僕にアドバイスを聞いても仕方ないんじゃないかと思って愚痴るような形で文句を言ってしまったこともある。

 でもサナはそれを否定して「ほめてもらえると元気が出るからもっとすごいことができるようになるんだよ」と笑った。

 すごく可愛くて、嫉妬と愚痴をぶつけた自分が恥ずかしくて目をそらしてしまった。

 

「誰かにみてもらった方がイメージがしやすいし魔力もうまく動かせるから」とサナはいうけれど、サナはもう大人顔負けの魔法使いになっていると僕は思う。

 

 一度だけ詠唱も呪文も無しで魔法を使ってるのを見たときはすごく驚いた。

 とてもとても難しい高等技術……だと思う。少なくとも僕は見たことも聞いたこともなかった。

 

 そのことを聞いたら「みんなには内緒にして! 私とユートのヒミツ!」と少し慌てた様子で言われたので他の人には話していない。

 大々的にアピールすれば王都の騎士学校や魔術師学校に召し上げられることもできるかもと思ったけど、サナはあんまり興味がなさそうだと思った。

 

 

 でも大人になりたがってるのは知っている。サナは、困ってる人を助けたがっている。

 ちょっとした悩みの相談に乗ることを魔法の訓練の名目にしたりだとか、そんな当たり前をする彼女に僕は憧れている。

 

 彼女のとなりにいたい。剣を振るぐらいしかできないけれど、その剣だって大人に勝てないけれど。

 いつかどこかへいってしまいそうなサナから離れたくないと僕は思っている。だから訓練はかかさず続けていた。

 

 ……成果はあまり芳しくなくても。

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