TS転生先がエロRPG世界っぽいので最高の敗北を味わうために全力処女プレイしてみせる! 作:北京院
村を出て数日、予定していたよりも早くセタロンの街にたどり着くことができた。
道中でツノウサギ以外に念願のゴブリンも見かけたが、ハグレだったらしく近くに仲間もいないし別に襲われている女の子もいなかった。
襲われそうになった女の子はここにいたが、残念ながら天才魔法使いで勇者のお供で処女プレイ中なのでまったく危なげなく撃退してしまった。
むしろユートがゴブリンの死体を普通に掻っ捌いてなんか内臓みたいなのを取り出したほうが一番の事件だったかもしれない。
モンスターを倒したらお金がドロップするタイプのゲームでも素材をはぎ取って売ってるみたいな設定の作品もあった気がするが、そこはファンタジーらしくお金だけ残して消滅してもらえないものだろうか。
いろんな意味でそのままにしておくのがはばかられたのでちゃんと倒した魔物は焼いて土に埋めている。そのまま埋めてゾンビ化されても困るし。
さて、街だ。立派な城壁に囲まれて門番の人までいるとなればやっぱり都会は違うのだなぁとしみじみとしてしまう。
通行料をいくらかと、ユートが道中で狩った魔物の話と素材を見せると問題なく入ることができた。
田舎者が簡単にはいれてしまうのでは人に化けた魔物とかがでたらマズいのでは? と思わなくもない。
あんまりそういうのはいない……というか認知されていない世界なのかもしれない。ユートも心当たりはなさそうだったし。
突然えっちな女の子モンスターが大量に現れたらどうするのだ。侵略されてしまうのではなかろうか。俺は嬉しいが。
領主様にも会うのだし、小汚ない格好だと思われることがあってはいけないと思いつき、自分とユートに清浄魔法をかけておく。
汚れが落ちて綺麗になり、ついでに消臭機能もあるすぐれもの……簡単にいえばすごいファブリーズみたいなものだ。
ちゃんと綺麗になっていることを確認したあと、匂わないかどうかも嗅いでみた。自分ではわかりづらかったのでユートを。ちょっと汗の匂いがするけれど臭くないし大丈夫だろう。
香り魔法みたいなものを重ねがけするのも考えたけれど、村から出てきたばかりの平民が変に色気付いてると思われるのもよくない気がするのでやめておいた。
表通りは栄えていて明るく、出店のようなものまでありいろんなものを売りつけられそうになったりと楽しい。
気のいいおっちゃんに「嬢ちゃんみたいに可愛い子は裏路地にいっちゃダメだぜ」とか言われたのでたぶん裏側には口に出すのも憚られるようなものが売られていたり闇があったりするんだと思う。
ビッチプレイでなら稼ぎポイントかもしれないが、君子危うきに近寄らずというし素直に離れることにした。
都会の人波に揉まれて少し疲れてしまったけれど、どうにか村長の紹介状に書かれていた人がいるらしいところまでたどり着く。
ルジィ・ロルロップさん……様。村長曰く義理堅く物事を公平に見てくれる領主様でとても頼りになるとのことだ。
見上げるほどのとても立派なお屋敷で正直気圧されたが、村長を信じて対応してくれた人に事情と紹介状を見せてしばらく待つと中に通された。すごいぞ村長。
立派な調度品やら、謎の美術品やら、噂に聞いたことがある魔法具がある待合室にてしばらく待つ。あまりキョロキョロしていると怪しいと思われるかもしれないのでできる限り大人しく、だ。
さらにしばらく待ったところでドアが開き、ちょび髭を生やした恰幅のいいおじさんが部屋に入ってきた。
すぐに立ち上がり、軽く頭を下げながら挨拶をする。
「お初にお目にかかりますルジィ・ロルロップ様。トラルス村より参りました、サナリアと申します。勇者ユートのお供の魔法使いをしています。お会いできて光栄です」
「あっ、えっと……ユートです。女神様のお告げを聞き旅立ちました。村長からはロルロップ様を訪ねるようにと申しつけられ、この度はお伺いさせていただきました」
続けてユートも挨拶をする。正直正式な礼儀について詳しくはないけれど、村長は何も言わなかったしちゃんと敬意を持っていることが伝われば大丈夫だろう。たぶん。
これで無礼とか言われて捕まったりとかしたらびっくりする。村長が頼れる人を見抜けない節穴か俺の願望を見抜いてたとんでも慧眼なことになってしまうので。
「あー……頭を上げてくれ、そうかたくならなくてもいい」
しばらく黙ったまま俺たちのほうを見ていたルジィ様がこちらに声をかける。
ゆっくり顔を上げると困ったような表情をしていた。礼儀的にまずいことやらかしたってことはない……よな? わからないがこちらに敵意があるというわけではなさそうだ。
「トラルス村の村長からの紹介状だ、疑っているわけではないが……少しなぁ」
うーん、とうなりながら困った顔で話を切り出された。
曰く、最近は魔物が多くあらわれるようになってきたということ。
ここ数日はその件について心当たりがあるといって大言壮語を吐く『自称勇者』が多く現れており、その対応に追われていること。
俺たちのような子供が『勇者』として対応されたとなればさらに面倒な輩が増えかねないということ。
「つまり……何かしらで実力を証明すればよいのですか?」
「そうなる。魔物が増えている理由も心当たりがないわけではない。解決してくれればわかりやすく名声も支援も与えられるだろう」
魔物増加の心当たりまであるとなれば対応はいくらでもできそうだ。
領主ともなれば支援にも大義名分が必要なんだろう。悪い領主だったら「金が欲しければ……わかるね?」みたいなことをいうだろうに村長の紹介だけあってしっかりした人みたいだ。
もしアテもなくこの街まで飛び出してきていたら街の別の有力者のところを訪ねてぐへへされていたかもしれない。おしい。もとい助かった。
さてと話を聞くとどうやら近くの山付近に見慣れぬ洞窟が現れたらしい。魔物がそこから出てくるところを見た人間もいるし、付近の村は魔物に襲われ被害も出たのだとか。
私兵や警備隊を送ることも考えたが周辺の魔物被害への対応や自称『勇者』がトラブルを起こしたりなどもあってそちらに回す手が足りていない。
ならばと餌をぶら下げて自称勇者たちを送り込んでも帰ってこない。少なくとも勇者を名乗る程度には腕に自信があるはずだが逃げ出したか中で死んだか、とにかくただの洞窟が自然発生したわけではなさそうだということしかわからない。
すべてを解決しろとは言わないが何が起きているかの詳細の調査をして報告をしてほしいとのことだった。
魔物が大量にいるであろう洞窟に乗り込むとなれば覚悟をしておかなければなるまい。
ゴブリンはたくさんいるだろうか。被害を受けた村があるそうだが村娘の人たちがさらわれてしまったりしたんだろうか。
悪い魔物は許せない、という正義感が燃える。自分も捕まったらどうしようという不安感でドキドキする。
まだ負けられない。しかし狂暴な野性動物の延長みたいな
期待感に胸を震わせながらも依頼を受けた。よほどのことがなければ二人でなんとかなるだろう。
勇者と魔法使いとしての大イベントの第一歩として詳細な計画をしようと話し合いを続けようとしたところで──
「お父様! 勇者様がいらっしゃったって本当ですの!?」
大きな音をたてて扉が開いた。半分吹っ飛ぶぐらいの勢いで。
ドアを開け放った『
「はじめてお目にかかりますわ、勇者様! わたくしはシャルリア・ロルロップ!」
キラキラと目を輝かせた彼女は、グッと握りこぶしを作っていい笑顔をしている。
「この度の魔物退治、お供させていただきますわ!!」
恐らく年上の謎の乱入お嬢様の無茶振りをどう対応したものか俺もユートも判断がつかずに助けを求めるように横を見た。
……ルジィさんが頭を抱えている。どうするんですかこの人?