TS転生先がエロRPG世界っぽいので最高の敗北を味わうために全力処女プレイしてみせる!   作:北京院

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準備が必要なら楽しいショッピングがしたい!

「……あら? どうなさいましたの?」

 

 頭を抱えるルジィさんと助けを求めて視線をそちらにやった俺とユートを見て、シャルリアと名乗った少女は首を傾げた。

 自分が原因とは欠片も想像していない顔だ。世間知らずのお嬢様って感じがすごくする。

 

「シャルリア……真面目な話をしているんだ、下がりなさい」

 

 大きなため息をついてルジィさんがそういうと見るからにムッとした顔をしてお嬢様が反論する。

 

「わたくしはいつだってマジメですわ! 周辺に被害をもたらす魔物どもを討伐するならば戦力が多いにこしたことはないでしょう!」

 

 それは正論ではあるが、何度か調査が空振り……というか戻ってすら来なかったことを考えれば偉い人の娘さんを向かわせたいとは思うまい。

 俺たちに関しては勇者を名乗っているわけだし、最悪情報を持って帰ってくればよしぐらいで思われてる可能性がある。実力の証明はユートが道中で狩った魔物の素材ぐらいのものだし。

 

 そういう意味でも試金石的な意味合いが強い依頼でもあると思っているし、うまくこなして信頼を勝ち取ってこれからの支援を受けられればいいなぁとは考えている。

 本気で魔法を撃てば洞窟を崩してしまうこともできると思うので最悪の事態ならそれで撤退してもいい。

 

 大抵の問題は勇者(ユート)魔法使い(サナリア)の二人で十分なんとかできるとは思うが、知らないお嬢様を守りきる自信があるかと言われるとNOだ。

 ……いや、人質を取られてしまうシチュエーション自体は嫌いじゃないのだけれども避けられるトラブルは避けておきたい。

 

 しかし納得がいかなさそうにお嬢様は不満を隠そうとしない。

 

「人の上に立つものは責務がある! そう教えてくださったのはお父様ですわ」

 

 だから偉い人の娘として危険に飛び込む必要がある、とはならないんじゃなかろうか。

 (サナリア)よりも年上に見えるが結構な世間知らずのようだ。危なっかしくて心配になってしまう。

 

「ですからきちんとこの街の誰よりも強くなりました! 剣すらこの身体に傷ひとつつけることはかないません!」

 

 ……この街の誰よりもとは大きく出たな。

 剣が身体に傷ひとつつけられない……よほど技量に自信があるのだろうか? それとも素早さか。

 そういう問題ではないと一発叱ってやって欲しいなとルジィさんのほうを見るがお嬢様の調子は変わらない。

 

「ご心配無用ですわ! 全ての障害はこの拳で切り開いてみせます!」

 

「メインは調査だ。何があるかわからんところに大勢は送れないが対応に必要な人数を把握してからなら動かせる。わかるな?」

 

「ええ、つまり必要な人数がその場にいれば解決してすぐに終わりにできるということですわね!」

 

 ……ひょっとしてこの子はとんでもない脳筋……いや、まっすぐすぎる思考回路の持ち主なのではなかろうか。

 ルジィさんの眉間にシワがよる。まぁ洞窟をまるごと攻略できずともどんな状況なのかの報告をするだけでもよいとはいわれてたのでそこまで危険を背負わせる気はなかったのだろう。

 それでも実の娘がぐへへなことになりかねないところを快く送り出す親はそうはいまい。俺たちを送り出す時もお母さんたちがめちゃくちゃ心配してたしなぁ……

 

「勇者様がいらっしゃるのならば、わたくしの力をあわせることで下手な部隊を差し向けるよりも戦力になります。真贋を問うならばわたくしの眼が確かなのはお父様はよくご存じでしょう?」

 

 この子はとんでもなく自信があるようだが、はたして実力も相応しいのかルジィさんは悩むようなそぶりをみせた。

 あと勇者の実力を量る意味でもお目付け役がいるといい、というのもわかる。なにも確認せず適当なことを報告されても困るだろうし。

 

「……いや、それでも許可はできん。お前は世間を知らんのだ」

 

「ですから今から知るのです! それに、家で手をこまねいていたらじいやが……」

 

「シャルリア」

 

 トーンを落とし、凄みのある声でルジィさんがお嬢様の名前を呼ぶ。

 何やらお嬢様の事情を察せそうな話はけっこうな失言だったのかハッとした顔で黙ってしまった。

 

 ……うーん、気まずい! とりあえずこの場を離れたい。

 お嬢様もなにかしらの事情はあるかもしれないし実力もあるかもしれないがそのあたりを深掘りするのも得策じゃなさそうだ。

 

「あの、私たちは洞窟の調査の準備に向かおうと思います。危険と判断したら撤退して報告しますので……」

 

 そそくさと立ち上がって宣言し、ユートに目で合図する。

 ユートも察してくれたのか付き合って立ち上がるとルジィさんも頷いた。

 

「ああ、よろしく頼む」

 

 うつむいてしまったお嬢様を放置して部屋を出る。すこし気にはなるがとりあえずは目の前の依頼をこなすことにしよう。……これ以上ここにいると面倒なイベントが起きる気がするし。

 

 

 

 ──で、道中狩ったツノウサギのツノとゴブリンの内臓は領主様買い上げという扱いにしてもらえたようである程度の資金を手に入れることができた。

 何が起こるかわからない以上は準備は万全にしておくに越したことはないだろうしとさっきは足早に通り過ぎる形になってしまった出店通りと商店街に戻ってくる。

 

 単純に大きな街へ初めて来たことと、前世では見たことがないようなファンタジーのあふれる通りにテンションが上がってしまう。ちょっとぐらい無駄遣いしても大丈夫そうなお金で魔物素材を引き取ってくれたロジィさんには感謝だ。

 剣とか鎧を見てみるべきだろうか? 日が暮れる前に宿屋は確保しておいた方がよさそうだ。薬草とかポーションの類も見てみたい。

 ファンタジーな世界自体に対する興奮が確かにあるので、武器屋防具屋薬屋道具屋と非日常を巡るワクワクで頬が緩む。どこからいこうか。

 

 情報収集するなら酒場とかにいくべきだろうか。15歳で一応は大人ということになっているのだしお酒を飲んでみたい気持ちがなくもない。

 ……いや、間違いなくろくでもないことが起きる予感がする。所持金をスられてお金を稼ぐためにバイトをすることになるけど客にセクハラされる的な奴だ。

 ユートに心配かけまいとするけど給金をはずむからなんて言われてちょっとずつエスカレートされる段階堕ち系イベントが起こるんだ。間違いない。酒場はえっちな場所だ。

 

 君子危うきに近寄らず。えっちなお店でのイベントは気になるが今は我慢だ。

 相手が魔物なら最終的にぶっ飛ばしてしまえばいいが対人間で拒絶の意思が出過ぎて魔法が暴発するなんてことになったらシャレにならないし。

 初の詠唱破棄魔法はユートに事故で触られたときのイヤボーンもどきなのだから、知らないおっさんのセクハラに対して咄嗟に魔法が発動(イヤボーン)してしまわないとは限らないし、今の俺は昔よりはるかに強い魔法が撃てるようになっている以上思わず放った加減無しの拒絶魔法だなんて撃たれた相手がどうなってしまうかわからない。

 酒だってそんなに飲みたくて仕方ないってわけでもない。どちらかというと普通にちょっとおなかが減っているぐらいだ。

 

 ……意識したらだんだん空腹感が増してきた気がする。

 そっちの出店の串焼きとか美味しそうだな……あっちの鮮やかなオレンジ色の細長い焼き菓子はなんだろう? 

 氷の上に並べられたフルーツを好きに選ぶと混ぜてジュースにしてくれるなんていう店もあるみたいだ。魔法を使ってパフォーマンス交じりにやっているので目にも楽しいというわけか。

 

 すごいなぁ、おいしそうだなぁ、楽しいなぁ……いや、違う違う。とりあえずユートの剣と鎧を見に行くことにしよう。

 村から持ってきた剣は今のユートには軽すぎる気がするし、力強くなってるのだからもう少し頑丈なもののほうがいい気がする。

 もちろん本人の意思の確認は大事なので、振り返ってユートに確認しよう。

 

「ユート、なにを買うかなんだけれど──」

 

 そこまで声に出したところで、ぐぅ、と腹の虫が存在を主張した。

 

「……うん、何が食べたい?」

 

 ユートが苦笑している。は、恥ずかしい。

 まぁ確かに甘いものだとか、美味しいものだとか、ここ数日は外を歩いてきたわけだし取れてはいなかった。

 意識してしまった以上、まだまだ成長途上である身体が栄養を欲するのは当たり前のことであり仕方のないことなのかもしれない。

 なので新たな剣や杖の前に俺とユートの手には細長く甘い焼き菓子が握られることになったのは当然の帰結である。中にシロップが入っていてトロリとした幸せがあふれてきた。おいしい。

 

 魔法の使用には想像力が必要なため、新鮮なイメージを取り入れることは魔法の修練ともいえる。パフォーマンスまで含めて商品としているものは人の目を楽しませるための技巧が込められておりそこには多くの工夫が込められているのだから見学することは決して無駄遣いではない。

 選んだフルーツが宙を舞ってジュースになる様は大変勉強になった。ほんのりとした酸味が効いていて口の中がさっぱりするし疲労回復にも効果があるらしい。おいしい。

 

「……じゃなくて、ユートの剣を見に行こう! 準備はちゃんとしなくちゃ」

 

 そうだね、とクスクス笑うユートにムカっとしたので、早くいこうと背中を一発平手でたたいてやった。まったくこたえてなかった。おのれ勇者……

 さて空腹感も解消したところで向かった先は武具屋だ。イメージ通りというべきか剣や槍や斧、杖もあったしついでに防具も置いていた。

 少し重たい剣と丈夫な革鎧をつけるとユートも立派な冒険者という風貌だ。俺は杖を勧められたが、なるほど確かに魔力を流す感覚が違って面白い。詠唱忘れたとき用のカンニングペーパーなどをしこめるやつもあるんだろうか。

 でも咄嗟の感覚が変わるのは少し怖いので杖の新調はやめておいた。ここら辺は好みの部分も大きいらしいのでいいだろう。

 

 そして防具だ。魔法使いの防具は魔力を練ることの補助に使えるものが多く特殊な素材でできていたりするのだとか。

 割と大真面目に「集中力を取り戻すために袖口をこするとミントの香りがする」なんてものまである。

 明らかに「魔法使いです!」なんて見た目の装備もあり、形から入ることでイメージ力を高めて魔法の補助をする意味合いがあるのだろう。

 

 いろいろ見てはみたものの、正直なところ今の俺に性能的に必要だと思える品はなかった。

 ユートは単純に『重くてよく切れる剣』と『丈夫で軽くて体を守れる革鎧』を買ったが結局のところ俺は魔法使いでその根源はイメージ力だ。

 高い杖を買って万能感を増してついでに魔力を扱いやすくする、なんていうことをする必要もないし、魔法使いらしい服装に着替えて相手を威圧して魔法をかけやすくする必要もない。

 しかし自分だけ買わないとユートが気まずく思うかもしれない。別にお金はまだあるのだが遠慮していると思われても嫌だ。

 

 ならばと特別な性能はないが真っ白で可愛らしいワンピース型のローブを選ぶことにした。

 ちょっぴり田舎っぽいかもしれないが、美少女な(サナリア)の魅力をいやらしくなくアピールできる一品だ。

 可愛い姿をしている自覚を持つことで「簡単には負けないんだからね!」という気持ちがムンムン湧き、結果として魔力が増すという寸法である。

 姿見で見てみる。うん、可愛い。守らねばならない。守られたい。

 ユートにも意見を聞いてみた。

 

「う、うん……可愛い、と、思う……」

 

 顔を赤くしながらもちゃんと可愛いと言われたので満足だ。これは相当な美少女ぢからを発揮しているに違いない。

 自覚があっても褒められるのは嬉しいもので、少しにやけたが問題ない。いい買い物をして外に出ると夕方も近くなってしまっていた。

 

 商業都市だけあって宿屋はすぐに見つかったので、2人部屋を取って今日は眠ることにする。

 久々のベッドだ! しかも警戒の必要もなく、ぐっすり眠れるのは助かる。見張りを交代しながらの睡眠は何もなくても少々疲れが残ってしまったものだ。

 ユートもちゃんと眠るように言ってすぐに横になってしまう。高級ベッドというわけではないけれど、とても心地いい。すぐに眠ってしまいそうだ。

 

 忘れ物はないだろうかと考えつつ、目の前に迫ったクエストへの期待と覚悟で胸が高鳴る。

 突然現れた魔物が出てくる洞窟だなんて、勇者の物語の最初の一歩ならばきっと奥には四天王の一人とかがいるに違いない。

 ロジィさんのところのお嬢様にも何やら事情がありそうだったが流石に釘を打たれていたし踏み込む気はない。あちらはあちらで頑張ってほしいものだ。

 洞窟の問題を解決してしまいさえすればなんとかなりそうな口ぶりでもあったので、無理はしない程度に頑張って攻略しようという気にはなっている。

 

 ──そういえばポーションのお店にいってなかったな、だとか。こういう世界だとえっちな薬は本気で発情したりするやべーやつだったりするのかなぁ、だとか。

 ロジィさんのところのお嬢様のおっぱい大きかったなぁ、とか。関係ないことも頭の隅によぎったが、睡魔に勝つことはできなかった。寝る子は育つので仕方ない。

 ……いや、(サナリア)の胸は適正サイズだからこれ以上育たなくっても別に気にはならないけれど。

 

 

 

 翌朝ユートに「次からはお金がかかっても別の部屋にしよう」と強く説得された。

 そんなに寝相悪いかな俺……?

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