「あ"〜……」
ゾンビの様なうめきと共に石棺から這い出る。
盛大に自爆をかましたあの後、ソウルによる不吉な囁きで動きが止まっている隙に何処からか飛んで来た火矢らしき物が首に直撃、再生する間もなくあっさり死んでしまった。
いつも通り霧散するのではなく、灰の様に体が崩れていく死に方は正直恐怖しか無かったけど………
ただまぁ、これでいくつかわかった事がある。
1つ、やはり私は、
2つ、不死人は吸血鬼同様、死したとしても時間経過などで復活するらしい事。
3つ、不死人は他者からソウルを吸収する力があり、これは吸血鬼がヘイズを集める事と似た認識で良さそうだと言う事。
4つ、不死人は死んでも復活するが吸血鬼の様な再生力は無く、自己回復手段がおそらく存在しない事。
………以上の事から、不死人と
……ぶっちゃけ考えるのダルい。
あと、先程のソウルのメッセージだけど、今確認してみたら確かに、私の体に火の輪っかみたいなのがあった、しかも熱くないし服に燃え移らないのが地味に怖い。
「……まぁ、うだうだ考えても仕方ないし」
とりあえず今は探索だ。
どうやらソウルもヘイズと同じで、死んだ場所に落としてしまうらしいから、それを回収してからあちこち見て回る事にする。
ソウルを集めていけば、より多くの情報が手に入るかも知れないし…
「クギャ!?」
先程と同じ場所にまたミイラマンがいたので、とりあえず速攻で斬り伏せる。
【ソウルが枯渇し、人間性を失った不死人は亡者となる】
今回のソウル知恵袋のメッセージはコレだった。
どうやらこのミイラマンは"亡者"と呼ばれる人達であり、不死人の成れの果てらしい。
まぁ、
2人目もサクッと殺って、落としたソウルとヘイズを回収する。
【ソウルの業により、手にした物品をソウルとして所持できる】
あ、そこまでヘイズと一緒なのね…
あ、いや、ヘイズは限定的だけど多分ソウルはなんでもアリ…?
試しに自分のバルディッシュをソウルに変換、実体化を繰り返す。
……ヘイズ化出来るやつでやっても意味無いか…
2人目の亡者がいた辺りには欠けた石の盆?器?と、そこに寄りかかってピクリとも動かないまんま騎士の格好をした死体があった。
「うん、ファンタジー……」
ソウルとか出てくるし薄々思ってたけど、どうやら私はお伽話の世界にでも迷い込んでしまったらしい……
騎士の死体を眺めている(不謹慎)と、騎士から白いモヤの様な光、おそらくソウルが湧き出て滞留し始めた。
「何これ……」
猫をも殺す?知らんがな!、の精神で滞留するソウルに手をかざせば、ソウルが実体化し水色のガラス瓶になり残った残滓が私に流れ込む。
【エストの灰瓶。飲めば精神力を癒す。篝火で補充が出来る】
物品の説明までしてくれんの?マジで優秀過ぎないですかね、ソウル知恵袋大先生………
てか、篝火ってあの篝火?キャンプファイアー??
多分ソウル関係なんだろうけど、篝火だけじゃわかんねぇっすよソウル知恵袋センパイ……
その他にもあちこち亡者がいたり、ソウルのモヤ触って物品入手したりして軽く探索をしていると、真っ直ぐの道から外れた場所に私の腰上あたりまで浸水した通路があった。
日頃の探索で、泥沼に浸かるのさえ慣れているのでサクッと入ろうとすると、水面に浮かぶ赤い文字列が目に入る。
魔法の注意書きだね!わかるとも!!
さっさと引き返して元の道から崖の上へ出る。
何も知らないヤツが危険地帯に行くとか洒落にならない。いずれ行くかも知れないが今はダメだ。
綺麗な白い山脈と、すぐ右手の崖上にあるアホみたいにデカイ城に目を奪われそうになるが、マジの断崖絶壁なので観光気分にはなれない。
道なりに進むと、骨の燃えカスらしき山に刃がドリルってる剣が刺さった奇怪なオブジェがあった。
「何コレ?何かの墓標とか?」
近づいてみると、私の中のソウルが囁く。
【 不死人は小さな篝火を点火出来る】
は?これが篝火??
とりあえず、我が導きのソウル先生に従い剣の柄に手を置く。
「おお〜〜!」
するとあら不思議、私から火種っぽいのが剣を経由して骨の山に流れ、奇怪なオブジェが篝火として燃え始めた。
【篝火で休むと身体の傷と精神力を癒やし、エストを補充出来る】
「あ、ヤドリギ的なアレね?」
篝火の側に腰を下ろすと、灰の中に金色の瓶っぽい物があったので、何故かあったかいだけで害の無い火に手を突っ込み、ソレを広い上げる。
【エスト瓶。不死人の宝。飲むと身体の傷を癒やす。篝火で補充出来る】
なるほど、普通の不死人はコレで回復すんのね。
試し飲んでみると、中身は液化した熱その物みたいな形容し難いもので、少し飲み込めばそれだけで身体の内側からあったかくなった。
篝火って、良いなぁ……
篝火の火にあたりながらエストをちびちび呑んで休憩した後、また探索を再開する。
探索をしながら亡者をシバいていてわかった事がある。
どうやら、私がソウル知恵袋と勝手に呼んでいる情報源だけど、どうやらソウルに残った記憶の残滓らしい。
これは、亡者が持っていたボロい折れた剣を拾った時に、その亡者がまともだった頃の剣術の記憶を読み取れた事で確信が持てた。
その他、投げ砕くと炎上する壺やら武器の強化素材となる石ころなんかを拾いつつ、短時間で未探索の場所が何かでっかい人が膝をついている広間だけになってしまった。
わかる、わかるよ……
絶対アレだ、あの人の向こう側にある扉を開ける為には、あの人をどうこうしなくちゃいけないヤツだ。経験あるもん。
絶対アレでしょ。
あの人にぶっ刺さってる篝火用の剣っぽいヤツが鍵でしょ……
「うわぁ…嫌だなぁ……ここに転がってる斧槍、絶対この人のでしょ……何か背中で黒い触手がウネウネしてるし……」
サイズが常人向けでは無い斧槍と、近くで見るとより大きく感じる戦士?の背中で蠢くモノにゲンナリしつつ、その胸から捻れた剣を引き抜きソウル化する。
「………」
「ほらやっぱり動いた!」
剣を抜いた途端に力強く立ち上がり斧槍を構える戦士を前に、こちらも
【灰の審判者グンダ】
ソウルの記憶により、この戦士の名前が明らかになる。
何で亡者達の魂が彼の名前を知っているのか少し気になるけど、今はそのグンダさんの対処で精いっぱいだ。
リーチの長い斧槍による突きや払いでは止まらず、蹴りやタックル、掴みなどの格闘攻撃まで仕掛けてくる。
幸い、鎧が軽量で隙間が多少あり、衝撃も良く通すために何とか善戦できている。
今も右手のジャブを掻い潜って背後に回り、左肩の鎧の隙間にバルディッシュの切っ先をねじ込んですぐに離脱をしたところだ。
そうやって地道にチクチク削っていると、グンダさんの背中から黒い何かが飛び出し、それと共に変化したグンダさんの巨大な左腕に殴り飛ばされる。
「…うっぐっ…ゲホゲホ……」
ここまで削るまでに何発かクリンヒットを貰った為に再生力はすっからかん。
残ったエストをガブ飲みしてから、変わり果てたグンダの全身を視界に収める。
銀の鎧と仮面で覆われたその巨体の背中からドス黒い半不定形の化け物を生やし、変質したのか化け物が覆っているだけかは分からないが、その左腕は巨大な物へと変わっていた。
「何かありそうとは思ってたけど……こんなヤツが出てくるなんて…」
言ってるそばから突っ込んで来たので、牽制として手のひらサイズの壺を投げつける。
【火炎壺。投げ砕く事で爆発、炎上する壺】
「……!!??」
壺が当たり、その炎がグンダに降り掛かるとグンダから生えたバケモノ部分に激しく引火、油でも頭から被った?と言いたくなる様な勢いで炎上し大きく怯む。
「なんだ……お前良い可燃物じゃん!!!」
その隙を見逃さず一気に肉薄する。
私達
その血液型により、吸血鬼の身体能力や特殊な力の傾向が異なり、中でも吸血鬼特有の特殊な能力・技の事を
私の血の型はあまり恵まれているとは言い難い物であり、耐久力と持久力の強化意外は微妙。
挙句に練血は一つしか使えない。
その練血とは、自分の肉体への多大な負荷の代わりに、自身とその周囲を巻き込む爆炎を放つという物……
つまりは自爆だ。
「吹っ飛べぇぇええ!!!」
六四様、誤字報告ありがとうございました!