正月が近い冬の季節
竈門家の長男 炭治郎は家業である炭焼として
炭を売りに家のある山を降りて町にいた
母と弟妹達に正月くらい腹いっぱいに食べさせたい
そんなささやかな願いの為である
父を亡くし生活は厳しくなった
弟妹達はまだ幼い
働きに出るにも嫁に行くにも早すぎる
せめて弟妹達が家を出るその日までは
自分が長男として家族を養い幸せにせねば
それが長男の義務であり役目だ
深夜、自分が寝た後
母と妹の禰豆子が何か作業をしているのを見た
おそらく自分が不甲斐ないばかりに
内職をしているのだろう
母がたまに町に1人で出掛けるのきっとそうだ
炭治郎はそう思い雪の中、1人町に降りた
それが悲劇の始まり
日常の終わり
幸せが壊れる前に見た家族の最後の姿
町の人達は優しい
よく気を使ってくれる
炭焼として未熟だった時
まともな炭を焼けず仕方なく
残らず買ってくれた
いつも畑で取れた野菜や果物、
時には豆腐や油揚げ、釣れた鯉や鮒をくれる
父を亡くして困窮した時には本当に助かった
だからせめてものお返しとして
障子の張り替えや荷物を運ぶのを手伝ったら
またそれでお礼だといって色々とくれる
炭を売って頼まれ事をこなして、また炭を売って…
暗くなるまで時間が掛かってしまった
日は沈み、西の空がぼんやりと赤いくらいの時刻
炭治郎は家に帰ろうとしていた
「こら炭治郎!!お前、山に帰るつもりか!」
三郎爺さんだ
言葉使いが荒っぽい人だけども
よく世話をしてくれる優しい人だ
でも苗字で呼んだら怒ってくるとか
少し偏屈なところもあるけど
「うちに泊めてやる!!来い!!」
前にも何度か泊めて貰ったことがあるけど
ご飯や風呂と色々と準備をしてもらい
とても申し訳なく思った
ただでさえ炭が売れ残ったら
全部買ってくれたりと気を使ってくれる人だ
あまり迷惑は掛けれない
「いいから来い!!」
遠慮しようとしたが
三郎爺さんは一度言い出したらきかない
泊まっていくと応えたら
三郎爺さんから嬉しそうな匂いがした
家族を亡くして独り暮らしだから寂しいんだろうな
今度、弟達を連れてこよう
「風呂沸かしてやっから囲炉裏に当たってろ」
大丈夫だからと遠慮したら、また怒鳴られた
この寒い中で外で風呂を沸かしてもらうなんて
本当に申し訳ない
何か俺に出来ることがあればいいんだけど
三郎爺さん、なんでも1人でやろうとするんだよな
前、手伝おうとしたら
逆に怒鳴られてお茶と菓子を渡されて休まされた
「おう、風呂沸いたぞ」
家主より先に入るなんて…と
遠慮をするとまた怒鳴られるので
大人しく風呂場に行く
三郎爺さんは傘造りの内職と
少しの畑くらいしか仕事をしてないけど
昔に、満州の方で活躍したとかで
お金には不自由してないらしい
だから家に風呂もある
うちにも将来は風呂を造りたいな
炭を焼くのと一緒に沸かせば…
いや、それだと熱くなりすぎるかな
脱衣場を出て風呂場に入る
風呂釜から湯気がたって優しい温かさがある
うちに風呂があったら母ちゃんもきっと喜ぶだろうな
「おう、炭治郎背中流してやる」
そんなことを考えてたら三郎爺さんが入ってきた
けっこうな歳なのに引き締まった身体だ
そして古傷が目立つ
痛くないんだろうか?
「い、いや大丈夫ですって!!」
「ああ?遠慮すんじゃねぇ!!」
「いや本当に…」
「ほれ、座った座った!!」
背中を向けて座ると湯を掛けられる
「熱っ!?」
「我慢しろ!長男だろうが!!」
「そうだ俺は長男だから熱くても…
いや本当に熱い!?」
「弱っちいな…熱っ!?水でうめんと駄目だこりゃ」
「やっぱり駄目じゃないですか!?」
せめて温度を確かめてから掛けてほしい
すごく温まったけども
「炭治郎……炭十郎によく似てきたな」
「父さんに!?」
「ああ…本当によく似て…」
三郎爺さんからの匂いが変わった!?
一体なにが!?
「このジジイの思いを受け入れてくれぇぇぇ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
炭治郎は命からがら逃げ出した
※竈門 炭治郎の設定
皆に愛される主人公
三郎爺さんに別の意味で愛されそうになった
将来は可愛い嫁さんを迎えて
子沢山の家族にしたいと夢見る長男
※三郎爺さんの設定
初回だけでなく最終話近くでも出たジジイ
“鬼”や“鬼切り”を知っているようであり
なにかと秘密がありそうなジジイ
今作ではただのエロジジイ