愛され過ぎて夜も眠れない炭治郎   作:紫煙隊

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初回と続けて更新しましたが本来は不定期更新です。
ある程度、更新を周期的にしたいのですが
まだ未定です。




愛されて過ぎて家にもあがれない長男

走る走る

炭治郎は走る

雪道で足元が悪いにも関わらず走る

急いで着たために衣服も乱れているが構わず走る

 

なぜか

 

後ろから追いかけてくる惡鬼(ジジイ)がいるからだ

 

 

「炭治郎ォォォ!!

 逃げるなアア!!

(その気にさせた)責任から  

   逃げるなアア!!!」

 

 

「ひぃぃぃ!!」

 

 

なにを言っているんだあのジジイは

脳味噌が頭に詰まってないのか?

俺は責任から逃げてるんじゃない

貞操の危機から逃げてるんだ

 

 

最初はそう思えるだけの余裕があったのかもしれない

雪道を全力疾走しているため体力に余裕はなく

初めての貞操の危機に心の余裕もないが

そう思えたのだ

 

だが“存在してはいけない生き物”に追われる内に

物事を考える余裕はなくなった

足元、前方、或いは周囲全体を感じ、

無駄なく最短距離を最速力で移動せねばならない

走る跳ぶ滑る跨ぐ潜る

無様でもいい

少しでも前へ

少しでも遠くへ

 

 

日はとっくに落ちきり月が中天に座す頃

炭治郎は自宅の前にたどり着いた

自宅からは灯りが溢れている

たどり着けたのだ

後ろを恐る恐る振り向くが惡鬼(ジジイ)の姿はない

炭治郎は逃げ切れたのだ

 

息を吐く

白く伸びた息が消えてゆく

ゆっくり息を吸い呼吸を整える

冷たい空気が気管を抜け肺に至る

限界まで酷使された肺が痛む

肺だけでなく脇腹も痛むし全身の筋肉が軋む

寒いが、その寒さが熱を取ってくれて心地いい

 

額の汗を拭い

衣服の乱れを整える

乱れた格好で帰って家族に心配されないように

 

違和感

 

違和感があった

なんだ

なにがおかしい

 

自宅から灯りが溢れている?

この時間ならば家族は寝ているはずだ

仮に起きているとしたら

母か禰豆子が内職をしているかもしれないが

囲炉裏の火にしては明る過ぎる

蝋燭も油も家にはなかったはず

 

 

「━━━━━━━」

「━━━━━━━━━━」

「━━━」

 

 

風に乗って話し声が聴こえた

複数人の話し声が

なにを話しているかまではわからない

だが少なくとも家の中で話している

 

風が運んできたのは声だけではなかった

匂いも一緒に運んできた

嗅ぎ慣れない匂い

家族とは違う匂い

そして、血の匂い

 

 

幸せが壊れる時には いつも

血の匂いがする

 

 

 

足が痛い

肺が痛い

全身が痛い

身体はもう走るなと言ってくる

 

それでも炭治郎は駆け出す

家族の安否を確認するために

 

開けるな

 

きっと大丈夫だ

血の匂いは気のせいで

扉を開ければ

 

開けるな

 

扉を開ければきっと

きっといつも通りの家が、家族が

 

開けるな

 

家族が迎えてくれるんだ

扉を、扉を開ければ

 

開けるな

 

遅くなってしまって怒られるかもしれない

弟妹達は心配しているだろう

だから扉を開けて顔を見せなきゃ

 

開けるな

 

 

扉を、開けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁだ、無惨さんったら鼻血なんて出して!

 竹雄、ちり紙取ってちょうだい」

 

「いや私は悪くない、悪いはずがない

 こんな官能小説を書く葵枝さんが悪いのだ」

 

「無惨さーん、私が書いたのも読んで~」

 

「こら禰豆子、無惨さんじゃなくて

 お義父さんでしょう!」

 

「いやいや葵枝さん、気が早いですよ」

 

「あとは長男の炭治郎に紹介するだけですし、

 でもあの子、昔の夫にベッタリだったから…」

 

「ははは、そんなものですよ!

 しかし、ちゃんとした祝言も挙げずによいのですか?」

 

「そんな二度目ですし、…それよりも、

 無惨さんは私で良かったんですか?

 私なんて子持ちで年齢だって…」

 

「年齢を言ったら私こそ千を超えてますからね」

 

「あらやだ、私ったら」

 

 

 

 

 

なんだこれ

 

 

なにを見せられているのか炭治郎は理解出来なかった

談笑しているのはわかる、わかるのだが…

 

 

━━が、その男は誰だ?

“お義父さん”?“お父さん”?“オトウサン”?

俺の父さんは父さんで…

あの男じゃなくて…

 

いやいや、なんであの男は

人の家であんな寛いでいるんだ

それに匂いでわかるぞ

この匂いは牛鍋だ

俺が炭を売りに入ってる間に食べたんだな

 

肉なんて罠にかかったウサギとか山鳥、

たまにお裾分けでもらったイノシシくらいで

町で店屋の前を通る度に

どんな味なんだろうと思ってたんだ

そうか、みんなは食べたのか

そうかそうか、 俺抜きで牛鍋を食べたんだな

 

あ、禰豆子が垂れた鼻血を拭いたら

身体が大きくなったな

はは、成長期だものなぁ…

服も大きさが合わなくなってしまった

これは新しく服を買わないと…

 

 

炭治郎は現実を直視できなかった

目は虚ろで別の世界を映していた

口は半開きで魂が抜け出しそうだった

力が抜け背負い籠が音を立てて落ちた

 

 

「あっあら、炭治郎帰って来たのね

 紹介するわね新しいお父さんの無惨さんよ!」

 

「はじめまして炭治郎君、

 葵枝さんとは以前から付き合いがあってね

 私の名は鬼舞辻 無惨、貿易業と鬼の始祖をしている」

 

「無惨さんは部下もいっぱいいてすごいのよ!

 社長で会社もいくつも持ってるの!」

 

「……コフッ」

 

 

炭治郎は吐血した

貧しくとも温かな家で家族と慎ましい幸せを…

と、考えていた炭焼の家の長男の夢は

多くの部下を持ちいくつも会社を持つ(らしい)

ペイズリー柄の男に潰された

 

それだけでも男泣きしただろう

新しい“お父さん”?

今までの…俺の父さんは…

そうだ、約束が…ヒノカミ様との…

守らなきゃ…約束を…

 

 

「炭治郎君には私の補佐をしてもらいつつ、

 勉強をしてもらってゆくゆくは

 いくつか私の会社を任せようと思っている」

 

 

 

お前、何を言ってるんだ?

 

 

俺には炭焼の仕事が…

父さんの仕事を継いで…

この家を、家族を守らなきゃ…

 

「それでね炭治郎、私達も無惨さんの屋敷に

 引っ越すことにしたから安心してね!

 浅草よ、浅草!もう不便な山暮らしじゃないの!」

 

 

愛の形は其々(それぞれ)、人によって多々あるだろうが

結婚をするならば同居するのが一般的である

 

山暮らしで炭焼家業と

都会暮らしで複数の会社の社長

物好きでなければどちらを選ぶかは自明だ

 

炭治郎は助けを求めるように弟妹達を見渡す

 

 

竹雄、お前ならこの家に居たいよな!?

次男として家を守りたいよな!?

 

「兄ちゃん…兄ちゃんが良かったらだけど、

 俺の嫁に来てくれないか…?」

 

「ゲフッ」

 

炭治郎は再び吐血した

 

まさか、あの男に操られて!?

いや、待て…そういえば昔から行水する時とか

町の銭湯に家族で入った時に

やけに俺の身体をじっと見ていたけどもっ!

 

 

茂、お前は違うよな!?

お前は三男だけど強い子だ!物事をハッキリ言える子だ!

 

「あっズリィ!!兄ちゃんは俺の嫁になんだよ!」

 

「カハッ」

 

炭治郎は三度(みたび)吐血した

 

やっぱりみんな操られているにちがいない!!

でも、記憶を探れば…ことあるごとに抱き着いてきて

やたらと俺の尻とか胸を揉んでいたなっ!!

子供のおふざけだと思っていたけどもっ!

 

 

六太…お前は、お前だけは違う、違ってください!

まだ幼いんだ!上の兄弟達とは違うよな!

 

「お兄ちゃんは僕のペットだもんね!」

 

「ゴポッ」

 

炭治郎はやっぱり吐血した

 

もう操られていることを前提に考えよう!

けど、昔から六太と遊んであげようとすると

お馬さんやってだとか犬になってだとか…

俺のことを動物扱いしてきたんだよな…

 

弟達はもう駄目だ

妹達ならっ!禰豆子は大きくなった後は寝ているし…

 

 

花子、愚弟達とは違うよな!?そうだろ!?

 

「前に兄ちゃんを題材にした春画、よく売れたよ!」

 

「グハッ」

そうだ、そうだった花子はそういう奴だった

お絵描きをしていると思ったら題材になってと頼まれて

服をはだけさせてとか物欲しそうな目をしてとか…

そうか兄ちゃん春画になっちゃったのか…

 

 

炭治郎は逃げた

後ろから聴こえる家族の声を振りほどいて

唯一まともであろう禰豆子だけを背負って逃げた

 

なにから逃げたのか

家から?

家族から?

新しい父から?

逃げたのは現実からである

 

 

雪山を駆ける炭治郎、背負われた禰豆子

僅か13歳と12歳の兄妹はこれからどうなるのか

 

 




※竈門 炭治郎の設定

愛する家族に愛されて幸せ…のハズ
新しい家族が増えて幸せ…のハズ
家族の幸せは自分の幸せ…のハズ
だけど涙が止まらない13の夜

※竈門 葵枝の設定

炭治郎のマッマ
無惨との馴れ初めは昔書いた官能小説が原因
それ以降は文通友達だったが
夫を失くし喪も明けたので急接近した

※鬼舞辻 無惨の設定

炭治郎の新しいパッパ
原作無惨から残虐性を抜いて変態魂を足した感じ
簡単に言えばハイスペックな変態鬼
女装癖があるし触手も出せるし嬰児にもなる

※竈門 禰豆子の設定

無惨の鼻血に触れて鬼化してしまった
まだ目を覚ましていないのに
唯一まともそうだという理由で
長男の家出に連れてこられた

※竈門 竹雄の設定

『一緒にヤると思ってたのにさぁ』の方の弟
誘うのは手慣れているのに
いざという時は純情
泣き黒子がチャームポイント

※竈門 茂の設定

炭治郎に抱き着いていた方の弟
口より先に手が出る(意味深)タイプ
言うべき事も言わないでいい事もハッキリ言う
坊主頭がチャームポイント

※竈門 六太の設定

炭治郎に頭を撫でられていた方の弟
性癖とか倫理観がサイコパス
兄を飼い馴らしたいと常々思っている
前髪パッツンがチャームポイント

※竈門 花子の設定

炭治郎に『(ついて)イキたい』とねだってた妹
兄達や弟を題材にした春画(エロイラスト)を描いてる
最新作は“麩菓子を咥える兄”であり内容は
半裸で上目遣い+涙目で麩菓子を咥えている春画である

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