愛され過ぎて夜も眠れない炭治郎   作:紫煙隊

4 / 14
タグに“ボーイズラブ”とありますが
ボーイズラブと別物だと思いはじめております。



哀れ過ぎて笑えない水柱

 

人がもっとも油断している時とはいつか

食事中だろうか

もしくは寝ている時だろうか

もしくは情事に励んでいる時だろうか

もしくは

もしくは

もしくは

 

 

 

鬼殺隊 

 

文字通り“鬼”を“殺す”ための部“隊”である

 

 

鬼殺隊において最高峰の実力と実績をもつ丈夫(ますらお)である

九人の柱は文字通り鬼殺隊の戦力の柱である

柱となった人物の呼吸法から名を取り

炎の呼吸ならば炎柱、風の呼吸ならば風柱と呼ぶが

雷の呼吸ならば鳴柱と変化する場合もある

 

 

そして水の呼吸を修めし男は冨岡 義勇

(よわい)十七にして柱に至りし一騎当千の猛者なり

今は十九の歳を数え、その実力は益々伸びゆくばかり

その男、惡鬼滅殺すべく東京府は奥多摩に来り……

 

 

冨岡 義勇は油断をしていた

本人に訊けば否定するだろう

されど実際に被害があるのだから

やはり油断をしていたのだ

 

東京府と言えど夜の冷えは身体を蝕む

それも奥多摩方面の山中、周囲は雪化粧

凍えて当たり前である

 

柱と言えど人間である

暑さ寒さで体調を崩すことだってある

それは熱中症だったり低体温病だったりするが

冨岡の場合は寒さによって内臓が病んでいた

簡単に言えば腹が冷えて痛くなったのだ

 

町は、いや民家は周囲にはない

道を引き返して暫し歩けばあるにはあるが

いかんせん距離がありすぎる

仮に近くにあったとしてもだ

見ず知らずの男性が厠を貸して欲しいと

深夜遅くに現れたら素直に貸すだろうか

貸さないだろう

 

明治維新以降、文明開化の言葉通りに

西洋文化の取り入れや科学の発達、

日本文化と西洋文化を合わせた新たな文化も生まれた

しかし、時は大正時代である

平成、令和の時代とは異なり

公衆トイレや24時間営業のコンビニなどはない

 

ゆえに野糞だ

彼、冨岡 義勇の名誉のために言っておくが

別におかしな行動をしているわけではない

出物腫れ物所嫌わず

という言葉の通りに、時と場所を選べないのだ

特に腹痛を起こした時には、だ

 

 

帯革(ベルト)を外し下袴(ズボン)を下ろす

(ふんどし)を緩め、ずらそうとして目が合った

 

 

╰( U ・ᴥ・)「へっへっへっへっ」

 

 

犬だ

犬である

山の中なので野犬かもしれない

野犬は人を襲うこともあるし

噛まれたら狂犬病になり死に至る場合もある

だが、現状を鑑みればそれ程の脅威は無さそうである

元は人に飼われていたのだろうか

その犬は大人しく冨岡を見つめていた

見つめていたのである

今、まさに野糞をしようとしていた冨岡を

 

 

「何を見ている(怒)」

 

 

冨岡 義勇、渾身の殺気である

鬼と戦い続け柱になった男の殺気だ

相応の迫力がある

しかし、犬とて紀元前より人の友として

人の隣で生きてきた生き物だ

殺気程度で怯むことはなかった

 

 

╰( U ・ᴥ・)「ふんふんふん」

 

 

むしろ声を掛けられたことで

尻尾を振りながら近づいてきた

やはり人慣れをしている

飼い犬か、野犬でも餌付けをされていたのかもしれない

 

 

「嗅ぐな!!人の尻を!!(激怒)」

 

 

犬にとって尻や陰部の匂いを嗅ぐのは

人間でいうところの挨拶であったり、

名刺交換をするようなものである

相手を知るための行為であり社会的な作法だ

逆に匂いを嗅がない犬は社会性がなかったりする

もっとも野糞をしよういう時に

尻の匂いを嗅がれるのは御免蒙るが

 

話は冒頭に戻るが

人がもっとも油断している時とは

用を足している時ではないだろうか

体勢的にも即座に行動出来ない状態である

 

例えば男性に限るが

小用を足す時に後ろに並ばれると

なかなか尿が出ないという経験はなかろうか

おそらくだが、あれは無防備な状態になるために

周囲に人がいる場合、無意識か意識的にかは解らないが

身体が緊張し硬直するからではないかと考える

 

歴史を紐解けば

古来中国ではトイレでの暗殺が多く起きたために

トイレに扉をつけず視界を確保する

という方法がとられた歴史がある

 

つまり何が言いたいかというと

 

 

╰( U ・ᴥ・)「はっはっはっはっ」

 

 

「はやく、どっかいけ(哀)」

 

 

人に…いや、

この場合は犬に見られていると用を足せない

と、いうことだ

 

 

俺は頭にきてる

猛烈に腹が痛いからだ

 

╰( U ・ᴥ・)?「くぅ~ん」

 

 

状況は変わらず

冨岡は追い込まれたままである

しかし、冨岡の脳裏に電流が走った

天啓、まさに天啓といえよう

心頭滅却

無念無想

明鏡止水

自由闊達

行雲流水

堅忍不抜

融通無礙

磊磊楽楽

 

何事にも囚われず何事にも迷わず余計な感情は捨て

心は揺れず浮かず沈まずあるがままに

ただあるがまま

ただただ穏やかに

 

 

水の呼吸 拾壱の型

 

 

 

 

 

 

 

少なくとも用を足す時に至る境地ではないのは確かだ

されど心は波一つ無い大海のようであり

風は起たず、波も起きず

悟りに至ったとばかりに穏やかである

 

 

╰( U ・ᴥ・)カプ

 

 

「痛った!?この糞犬がぁぁぁ(憤怒)」

 

 

やはり悟りには程遠かったようだ

もっとも御釈迦様とて用を足そうとしている時に

尻を犬に噛まれれば悪鬼羅刹の如く怒り狂うに違い無い

 

 

三╰( U ・ᴥ・)「へっへっへっへっ」

     

 

「ま、待て俺の(ふんどし)を持っていくな!(必死)」

 

 

いかに冨岡が柱であり

身体能力に優れていたとしてもだ

下袴(ズボン)を降ろした状態で走ろうとしたらどうなるか

 

 

「ぐぺっ」

 

 

勿論、転ぶ

いい歳をして鬼殺隊の柱ともあろう者が

尻丸出しで雪の上で転ぶのだ

無様を通り越して滑稽、いや哀れである

 

 

「…ふっ」

 

 

もはや笑うしかないのだ

だが、笑ってられない事情もある

雪は冷たい

その冷たい雪の上に腹を乗せたらどうなるか

 

 

「~っ!?凪!凪!凪!凪ィィィ!!!」

 

 

もはや(なぎ)ではない

時化(しけ)も時化、大時化である

仮にこの場に原作の上弦の鬼が居たとしても

あんまりな事態に手を出さずに…

もしかしたら心配し

看病すらするかもしれない程の危機であった

 

 

╰( U ・ᴥ・)ジーッ

 

だが、それすらと犬には関係ない

むしろ冨岡が動けないのをいいことに近づいてきた

まだ褌は咥えたままである

 

だが冨岡は凪を維持するので精一杯である

目を綴じ祈ることしか出来ない

不幸の底も底にいるような男である

 

突如、冨岡は温かさを感じた

春の陽気、太陽の熱、温泉に浸かっているような温かさ

まるで、まるで…

 

 

 

╰( U ・ᴥ・)~♪ジョロジョロ

 

 

冨岡の明日の朝食が決まった

犬鍋だ

如何なる手段を取ってでも

この犬を屠り鍋にしてやる

 

不幸に底などないのだ

底だと思っても更に下があり

その下には更に下があるのだ

そして冨岡は更に下に落ちた

 

 

「禰豆子しっかりしてくれ…

 町でお医者さんに診てもらおう…だから頑張れ

 頑張れ禰豆子!…あれ?誰かいるんですか!?…あ」

 

「………」

 

 

人は第一印象が九割だともいう

少なくとも初対面時に尻を丸出しならば

良い印象は生まれないだろう

 

 

 




※冨岡 義勇の設定

犬に尻を噛まれたのは公式設定
シチュエーションは某作者の趣味
こんな出来事があったならば
そりゃ目もハイライト無くす

※╰( U ・ᴥ・)の設定


わんわんお
くんかくんか
冨岡の褌を奪ったあげくマーキングした

※少女を背負った謎の少年の設定

なぜか深夜、それも雪の中に山道を歩いていた少年
少女を背負っている
冨岡の(社会的な)生殺与奪の権を握っている
その正体はいったい!?

※少年に背負われた少女の設定

謎の少年に背負われた少女
よく見ると薄めを開けてしっかり見ている
むしろ凝視している
あ、鼻で笑いやがったコンチクショウ


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。