愛され過ぎて夜も眠れない炭治郎   作:紫煙隊

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扱いが雑過ぎて臭い立つ天狗

 

狭霧山(さぎりやま)、その山中に一件の家がある

鱗滝 左近次の家である

もしも時代が令和の世ならば

“ポツンと一軒家”などに出てたかもしれない

 

さておき、炭治郎は鱗滝から課せられた修行のため

山頂付近にいた

そこから日の出までに鱗滝の家に帰ってくるのが修行だ

夜の山道は見通しも悪く、

木の根や地面の起伏、石等で転び易いだろう

そんな道を駆け降りるのだけでも大変なのだが

 

例によって鬼殺隊関係者は頭がおかしい

かのワカメ頭も言っている

鬼狩りは異常者の集まりだと

 

危険な山道は鱗滝と鱗滝の知人の猟師の手によって

魔改造が成されていた

 

まず”鱗滝 左近次”個人のことを考えよう

原作でも明記されていたが

鬼殺隊は政府から正式に認められていない組織である

つまり、役場等に書類を出すならば“無職”扱いである

 

狭霧山近辺に住む人達は思ったに違いない

定職に就いている様子がなく、

夜な夜な刀を持って出歩く一人暮らしの仮面を着けた老人

しかも、たまに子供を連れて来ては

なにやら怪しいことをさせ、

その子供もいつの間にか居なくなる

事案だ

もはや犯罪の匂いしかしない

 

そして鱗滝の知人の猟師も異常者に違いない

山鳥や猪、熊、鹿、鼬、狸…

日本の猟師が狩るならばこんなところだろうか

その猟師は何故、対人用の罠を仕掛けられたのだろう

きっと日頃から人に対して使いたいと妄想していたのだ

獲物を狩る度に

もし、これが人だったならとニヤニヤしてたに違いない

鱗滝から罠の設置を頼まれた時には

掛かった者を思い(よだれ)を垂らしながら設置したことだろう

 

 

さて、炭治郎が山道を罠に転がされながら走っている頃、

鱗滝宅では家主である鱗滝 左近次が悩んでいた

原因は鬼と化した少女 禰豆子である

 

西洋女中服(メイド服)満州盛装(チャイナドレス)か…

 迷い処だのぅ…いや短裾着物(ミニスカ着物)も捨て難い」

 

 

鬼とはいえ年頃の少女である

良い物を着せて着飾らせてあげたいという老人の善意だ

少なくとも二分(2%)くらいは善意なのだ

悪意はない

ただ、少しだけ欲望に忠実なだけである

 

まぁ、そのような言い訳が禰豆子の目を通して

終始監視をしていた新しい父上(鬼舞辻 無惨)に通じる訳もなく

鳴女の血鬼術により移動してきた某上弦の参により

後ろから頭を引っ叩かれ(ひっぱたかれ)鱗滝は気絶した

 

 

 

また別の日である

滝の近くに鱗滝と炭治郎は居た

滝行や水垢離(みずこり)が目的出はない

水と一つになるための修行として

滝の近くの崖から遥か下の水面へ飛び降りる修行である

 

「いや、死にますよね!?これは!?」

 

「早く逝け」

 

「行けの発音が違いません!?」

 

「安心しろ生命保険には入れてある」

 

「ちっとも安心できる要素がないんですが!?」

 

「…ッチ、さっさと逝け」ドカッ

 

「禰ぇぇぇぇ豆ぅぅぅ子ぉぉぉぉぉおおおおおお」

 

 

はっきり言って事件現場である

普通の子供ならば死んでいてもおかしくはない

しかし、鬼殺隊の隊士ならば

鬼殺隊の隊士を目指すならば耐えねばならない

人外の鬼を相手にするのだ

自らも人間を辞めねばならないのだ

精神的にも肉体的にもだ

俗に”人でなし”と呼ばれる

 

 

「ふぅ、やっと邪魔者が居なくなったか…

 あの世(あっち)はきっと楽しかろう」

 

 

 

「そうか」

 

 

 

 

 

 

ガシッ

 

 

 

 

 

「なら、お前も来い」

 

 

 

 

「ぬおぉぉぉぉおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!?」

 

 

 

自分がやられたら嫌な事は人にやってはいけない

逆に言えば

人にやられたならば自分がやっても文句は言わせない

と、いうことである

この後、師弟での水中戦が勃発した

なお、水と一つに成れたかは不明

 

 

 

修行と一度やったからよし

一度出来たからよし、とはいかない

技を自らの身体に刻みこむために

幾度となく繰り返すのだ

一度成功したなら二度、三度と出来るように、

十度、百度と成功するように、

どんな時、どんな場所でも失敗せぬようにする

それが修行である

 

炭治郎は刀を持たされ無手の鱗滝と対峙していた

戦闘訓練である

武器を持った者と持たぬ者

普通であれば武器を使用した者の方が強そうだが

戦闘に馴れていない者に武器を持たせた場合、

持った時は武器の重さを感じて強くなったと感じる

それが曲者なのだ

使い慣れていない武器を持ったところで

十全に活かすことなど出来はしないだろう

それどころか武器を持ったところで慢心し、隙ができる

この時点で攻められれば反撃も出来ぬままやられるだろう

 

さらに相手と対峙した際に気付くのだ

自分が持っている武器は人を殺せる物だと

そうなると嫌な想像は止まらない

もし、怪我をさせてしまったらどうなるか

もし、殺してしまったらどうなるか

もし、相手に武器を奪われたらどうなるか

先程まで慢心していたのが不安に押し潰される

思考が身体の自由を奪ってしまう

かといって武器を捨てることもできず、

武器を使うしか選択肢はないのだ

 

慣れていない武器でぎこちないまま挑む

当然、負けるだろう

そうすると武器を使っても無手の相手に負けた事実から

相手に対して畏怖が刻まれる

そしたらもう駄目だ

対峙する度に恐怖心から動きが固まり負ける

負ける度に恐怖は刻まれ、より動き難くなる

決して勝てない相手だと思いこみ

従順な弟子の完成である

この修行法を考えた師匠の性格がよくうかがえる

 

 

「なにをしている 早くかかってこい炭治郎!」

 

余裕綽々の鱗滝に対して、

炭治郎は抜いた刀を構えた

まるで弓を引くような姿勢、半身となり刀身を隠す

 

 

(あの構え…来るなら“突き”か…

それだけでは儂は倒せんぞ)

 

 

「うわぁぁぁああぁぁぁぁぁ!!!」ブンッ

 

 

炭治郎は脚から腰、腰から肩、肩から腕へ

流れるように力を伝達させ

鱗滝が睨んだ通りに刀を突き出した

ただ、少し違ったのは刀が逆手に持たれていたこと

そして、“突き”ではなく“投擲”だったことだ

 

 

「あぶなっ!?」ヒョイッ

 

「竈門家流の炭焼術は全て隙の生じぬ二段構え」

 

「鞘だと!?」

 

「死に晒せぇぇぇぇぇえええ!!!」

 

 

刀を投げた勢いそのままに鞘を構え一回転、

遠心力の乗った鞘での一撃は

打撃武器として十分な威力を秘めていた

木製とはいえ頭や首に当たれば死にかねない、

素手で防げば骨が折れるだろう

回避するにも初撃の到底を避けた後の不安定な体勢である

 

しかし、元とはいえ鱗滝も柱である

不安定な体勢から片足だけで跳躍

木々の生い茂る山中に転がるように飛び込むことで

炭治郎からの追撃を免れたかに思えたが

鱗滝が逃げ込んだ茂みには先客がいた

昼間でも日の差さない山の薄暗さゆえに行動できた少女

禰豆子だ

手には白い玉状の物体を持っている

“ソレ”は丁度大人の頭ほどの大きさで…

 

 

ポイッ(´・ω・)ノ⌒○

 

ゆっくりと投げられた“ソレ”を鱗滝は受け止めてしまった

受け止めた瞬間、茶色い煙が吹き出し…

 

 

「くさいっ!?」

 

 

 

━━オニフスベ[ 鬼燻 鬼瘤 ]

 

食用にもされるキノコであり

子実体は一晩で巨大に成長するのが特徴

大きい物では二尺(約60センチ)にも至る

食用可能なのは未成熟の子実体であり

成熟すると内部は茶褐色になり

胞子を茶色の煙状に吹き出すため食用に向かない

非常に臭う

別名をテングノヘダマともいう

 

 

小便を煮詰めて濃縮したような臭いが漂う

鱗滝も嗅覚が非常に優れている

その鱗滝の全身は茶色く染め上げられていた

臭いの元となるキノコの胞子で…

 

その後、追撃しようと接近してきた炭治郎まで

臭いにやられてしまったが

それは禰豆子が狙ってやったかは不明である





※竈門 炭治郎の設定

鬼殺隊に入隊するべく鱗滝の元で修行中
現代風に言うならOJT(オンザジョブトレーニング)中
好色天狗から目を離すと禰豆子の貞操が危ないので
常在戦場の精神で日々を過ごす…臭いには勝てなかったよ


※竈門 禰豆子の設定

兄の就職を見守る妹 (´・ω・)っ○キノコナゲルヨ
ただ、就職先が政府に認められていない組織のため
現代風に言うなら白タク運転手になるために
運転免許を所得しようとしている兄だろうか


※鱗滝 左近次の設定

独特なファッションセンスの元柱
過去にはあの格好で柱合会議に出ていたのか…
近所に住んでいたなら引っ越しを検討するレベル
通称 ビンタ天狗…臭いには勝てなかったよ


※鱗滝の知人の猟師の設定

なぜか対人用の罠も仕掛けられる猟師
鱗滝と同年代なら日露戦争で活躍したに違いない
修行用にと聞いていても殺傷力を緩めない
原作の鬼が相手でも通常の鬼ならゲリラ戦で勝てそう

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