あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
「ウインディ、準備はいいか?」
オレは控え室でウインディに問う。
オープン戦とは言え、久しぶりの本番でヘンに緊張していたり、食欲が無くなっていたりしないだろうかと心配だからだ。
「ふふ〜ん。しんぱいしなくても、ウインディちゃんは今日もぜっこーちょーなのだ〜♪」
ピースをしながらそう言うウインディ。可愛い。
これなら、クラシック初戦も問題なく勝利できるかも知れない。
「それじゃ、トレーナー!!いってくるのだ〜!!」
いい笑顔でそう言うウインディ。可愛い。
「おう。ゴールでまってるからなぁ〜」
そう言うとウインディは手を振って返事をした。可愛い。
クルリと振り返り、再びターフに向かうウインディの足取りは堂々としたものだった。
「さぁ、はじまりました。曇り空の下、東京レース場で今年初のクラシックダートレース、ヒヤシンスステークスが幕を開けます」
「オープン戦ですが、各ウマ娘大変気合が入っていますねぇ」
「距離は1600メートルのマイルの左回り。バ場状態は少し雪が降った影響があり、やや重との発表です」
「どの子にも頑張ってもらいたいですねぇ」
アナウンサーの声が響く。
ゴール近くの観客席に戻ったオレはカメラを構えつつ、今か今かとゲートが開くのを待つ。
パドックでのお披露目も終え、今まさにレースが始まろうとしている。
「各ウマ娘、今ゲートインです」
「一番人気は八番シンコウウインディ、とてもリラックスしている様子です」
「クラシックに上がって更に成長した姿を見せてほしいですね」
「二番人気は一番ミニロータス。こちらはやや不調気味でしょうか?」
「それでも流石の二番人気といったところでしょうか」
「三番人気は十一番リボンバラード」
「今日こそ勝ちに行きたいですね!!」
緊張の一瞬。
「今、ゲートが開きました!!」
先頭を行くのはリボンバラード。二番手にはハートシーザーがつけている。
三番手にはサニーウェザー、ウインディは四番手か。
「おっと!?これは!?」
アナウンサーが驚きの声をあげる。
「逃げウマ娘三人が横並びになって、シンコウウインディの進路にフタをしているようですね」
こうも露骨にやって来るか。
ウマ娘のレースは出る杭を打つような策が取られやすい。
もちろん他にも戦略はいくらでもあるが、やはり一番の有望株が警戒されやすいのは勝負の世界の常だろう。だが…。
「ウインディ、この二ヶ月ただ遊んでたわけじゃ無いってとこを見せてやるんだ」
オレはそう息巻いて、ウインディをカメラ越しに見るのだった。
□
(悪いな。だが勝負の世界ってのは残酷なんだよ)
リボンバラードは心の中でそう呟く。
後は他の二人をどう出し抜くか。
スタミナはどのくらい温存しておくべきか。
加速や減速のタイミングは、などなど考えを巡らせる。
そしてそれは他の二人も同様だ。
(シンコウウインディ。アンタは強いよ。多分ウチらの世代じゃナンバーワンのダートウマ娘だ。文句のつけようも無いほどにね)
(だが、私らだって負けっぱなしは嫌なんだよ)
三人は駆ける。前だけを見据えて、もう脅威でも何でも無いライバルを後ろに。
もう最終コーナー手前、勝負は合ったかのように思われた。
だが……。
「どくのだ…」
!!!
瞬間、背後から何やら恐ろしい気配がする。
「トレーナーがまってるのだ…」
それはまるで、鋭い歯の並んだ巨大な口を開けた怪物に追われているような感覚。
海でサメに遭遇してしまった時のような、あるいは山で熊に追いかけられているような。
そんな感覚が三人を襲う。
「や、やばい…」
「食い殺される…」
「で、でも…どくわけには…」
サニーウェザーは歯を食いしばり、グッと堪えようとするが、隣りのリボンバラードは思わず溜めていた足を炸裂させる。が、余りにも仕掛けるタイミングが悪すぎた。
「そこを…どくのだぁ〜〜!!」
瞬間、シンコウウインディが加速した。
□
「おぉ〜っと!!リボンバラード!!早めに仕掛けたか〜!?」
「しかし、まだ最終コーナー手前ですよ?曲がるときに減速するのになぜ今なんでしょう?」
ウインディが空いた隙間から抜け出す。
あのブロックを凌いだのか。ウインディ。
「さぁ、抜け出して来たシンコウウインディが、グングングングン加速します!!」
二番手からは二バ身から三バ身、いや、もっと突き放すか。
「完全に抜け出した!!これは強い!!」
ウインディ、やっぱりキミは最高だ!!
「今ゴールイン!!今年のクラシック戦線!!ダートマイルで今年の初勝ち星を挙げたのはシンコウウインディ〜〜!!」
その声と共に歓声が上がる。
「ウインディ〜〜!!」
声をかけるとウインディは笑顔で駆け寄ってくる。可愛い。
「トレーナ〜〜〜!!」
そのまま華麗にジャンプからの
「ガブーーー!!」
「やっぱりなぁぁぁ〜〜!!」
いつもの流れだね!!知ってた!!
「おお、ジャンプからかみつきまでのロスが短くなっている気がする!!」
「成長してるんだなぁ。うんうん」
そして特に止めないお客さんよ。
まったく。まるでオレが変なヤツみたいじゃないか。
まぁ、ウインディに噛まれるのは最早苦ではないがな!!
◇
エヘー♪
やっぱりまっててくれたのだ〜。
がんばってよかったのだ〜♪
ウインディちゃんの次になぁ!!
あとオベイちゃんもトリックスターっぽくてすき。